米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出していることが挙げられます。
米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。
これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。
そこで2024年5月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。
▼参照データ |
その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。
(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。
ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。
※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。
(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。
(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。
そして、いよいよ2024年1月から制度改正された新NISAが始まりました。つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されます。
これまで1年間の枠を気にしたり、ロールオーバーなどで手間暇がかかったりしましたが、それもなくなり、非常に使いやすい制度になります。とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。
運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。
【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明はこちら】
米国高配当株1:テルニウム(TX)
ルクセンブルクを本社に、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、米国南部、中米に拠点を持つ中南米の大手平鋼メーカーです。
製造施設、サービスセンター、流通網、高度な顧客統合システムを通じて、自動車、家電、HVAC、建設、資本財、コンテナ、食品、エネルギー産業で活躍する顧客に幅広い高付加価値鉄鋼製品を提供しています。
時価総額は84億8,000万ドルで、日本円で約1兆3,000億円となっています(1USD=153.30円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「製鉄事業(steel)」と「マイニング事業(Mining)」ですが、日本製鉄との合弁会社である「ウジミナス社(Usiminas)」の売上もあります。
「製鉄事業」では、主にスラブ、熱間および冷間圧延製品、塗装製品、ロール成形品、鋼管製品、ビレット、棒鋼およびその他の製品から構成されています。
また、「ウジミナス社」では鉱業製品(主に鉄鉱石とペレット)の販売を取り扱い、鉄鉱石採掘会社ラス・エンシナスの採掘活動と、鉄鉱石採掘会社ペニャ・コロラダの操業から構成されています。
競合他社
競合他社として、北米フラットロール(フラットロール)、ミニミル、米国スチールヨーロッパ(USSE)、管状製品(チューブラ)の4つのセグメントで事業を展開するUSスチール(X)、米国の鉄鋼生産業者および金属リサイクル業者であるスチール・ダイナミクス(STLD)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は昨年増配しています。
業績は堅調に推移しており、ここ数年株価は一定の範囲内で推移し、配当は2020年以降毎年増配しています。
会社側は直近の決算において、メキシコの鉄鋼市場は2024年後半にペスケリアの川下プロジェクトを開始し、年産55万トンの新しい酸洗工場と新しいサービスセンターの最初のラインを稼働させる予定で、これにより、今年下半期の同市場での数量増加が見込まれ、ブラジルではウジミナスが産業システムの生産性向上に注力すると発表しており、今後も好調な業績とそれに伴う堅調な株価が期待されます。
業績動向
2024年2月20日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
決算について会社側は、2023年はテルニウムにとって素晴らしい年となり、メキシコの出荷量は前年比22%増という著しい伸びを示し、記録的な840万トンを達成し同国の鉄鋼需要は、ニアショアリング活動、製造業、インフラ投資に支えられて強化され、加えてテルニウムはペスケリアにある最新鋭の熱間圧延工場を稼働させ、メキシコの平鋼市場でシェアを拡大し続けたが一方で、南部地域の鉄鋼出荷は、アルゼンチンの生産プロセスに必要な投入資材の輸入を政府が制限したことによりマイナスの影響を受けたと発表しています。
2024年は、メキシコ・ブラジルにおいて好調だが2023年12月に新政権が発足したアルゼンチン経済の景気後退の影響を受けると予想しているものの、2024年第1四半期について、テルニウムは調整後EBITDAが2023年第4四半期に比べて増加すると予想しており、今後もメキシコ・ブラジルを中心に好調な業績を維持することが期待されます。
次回2024年4月24日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
売上の中心はメキシコで、続いてブラジルであることからアルゼンチンの新政権が業績に与える影響はそれらの国々に比べると低いものの、頻繁に制度変更を行う国であることから突発的な出来事による影響については注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.90ドル
配当利回り:6.71%
株価:42.60ドル(約6,500円)
この銘柄、権利落ち日は5月上旬の予定(権利実施は5月上旬)です。
配当利回りは4月13日時点で6.71%、株価は4月13日終値が42.60ドルでおよそ6,500円から購入できます(1USD=153.30円計算)。
2022年からの最高値は49.66ドル、最安値は26.75ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株2:ダイヤモンドバック・エネルギー(FANG)
独立系石油・天然ガス会社で、主にテキサス州西部のパーミアン・ベースンにおける非在来型陸上石油・天然ガス埋蔵量の取得・開発・探査・開発に注力しています。
この盆地は米国の主要な生産盆地のひとつであり、豊富な生産履歴、良好な操業環境、成熟したインフラ、長い埋蔵期間、複数の生産ホリゾン、増進回収の可能性、多数のオペレーターを特徴としており、2023年12月31日現在、パーミアン・ベースンにおける保有権益はグロスで約60万7,877エーカーとなっています。
時価総額は371億4,100万ドルで、日本円で約5兆6,900億円となっています(1USD=153.30円換算)。
事業の注目ポイント
事業は「アップストリーム事業(upstream)」の単一事業となります。
「アップストリーム事業」では、テキサス州西部のパーミアン・ベースンにおける非在来型陸上石油・天然ガス埋蔵量の取得、開発、探鉱、開発に従事する上流部門を取り扱っており、その中で売上の中心はOil, natural gas and natural gas liquid salesで、続いてSales of purchased oilとなります。
競合他社
競合他社として、主に米国の産油盆地、トリニダードトバゴ共和国(トリニダード)、オマーン国およびその他の国際地域で、原油、天然ガス液(NGL)、天然ガスを探査・開発・生産・販売する、独立した(統合されていない)原油および天然ガス会社であるEOGリソーシズ(EOG)、主に米国、中東、北アフリカに資産を置く国際的なエネルギー会社であるオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は昨年増配しています。
コロナ発生時の2020年は大きく株価を下げましたが、その後は業績回復とともに株価も上昇し、現在はコロナ発生前の水準を大きく上回って推移してします。
2月12日には、パーミアン・ベースン最大の非上場石油・ガス生産者エンデバー・エナジー・パートナーズを、現金と株式で260億ドルで買収すると発表したことでさらに株価は上昇しました。
この買収によって統合された会社は、エクソンとシェブロンに次いで、この地域で第3位の石油・ガス生産会社となる予定で、会社側も過去12年間パーミアン・ベースンにおける最高の低コスト事業者であることを証明してきたが、この合併により、このコスト構造をより大きな資産に導入し、より強力なプロフォーマ在庫ポジションに資本を配分することができると発表しており、今後の事業拡大とさらなる株価上昇が期待されます。
業績動向
2024年2月20日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
米国の原油生産は、企業が最も有望な場所に集中し、油分を含む岩石との接触を最大化するために水平方向に長い坑井を掘削することによって効率を高め、増加傾向にありますが、そういった好調な石油・ガス生産に支えられ、第4四半期の生産量は、前年同期の39万1,402バレル/日に対し、46万2,600バレル/日となったこともあり業績は市場予想を上回りました。
2024年のガイダンスでは、2023年と比較してさらに生産量が拡大する見通しを発表しており今後も北米で最も石油資源が豊富な地域のひとつであるパーミアン・ベースンでの事業を中心として堅調な業績が期待されます。
注意点
配当は、基本配当および変動配当から構成されていますが変動配当は大きく上下する可能性がある点に注意が必要なことと、2024年第1四半期より、株主への資本還元コミットメントを四半期フリー・キャッシュ・フローの75%から少なくとも50%に引き下げることが承認されたため今後の配当金の上昇幅は低くなる可能性がある点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:8.12ドル
配当利回り:3.89%
株価:206.34ドル(約3万1,600円)
この銘柄、権利落ち日は5月上旬の予定(権利実施は5月中旬)です。
配当利回りは4月13日時点で3.89%、株価は4月13日終値が206.34ドルでおよそ3万1,600円から購入できます(1USD=153.30円計算)。
2022年からの最高値は208.26ドル、最安値は104.87ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株3:モーリス(MC)
企業、金融スポンサー、政府、政府系ファンドなど、多様な顧客基盤に革新的な戦略および財務アドバイスを提供する世界有数の独立系投資銀行です。
あらゆる主要産業セクターにおいて、包括的かつグローバルに統合された財務アドバイザリーサービスを提供することにより、クライアントの戦略的目標達成を支援しており、経験豊富なプロフェッショナル・チームが、M&A(買収や合併)、資本再編、資本市場取引、その他のコーポレート・ファイナンスなど、クライアントの最も重要な意思決定についてアドバイスします。
時価総額は38億200万ドルで、日本円で約5,830億円となっています(1USD=153.30円換算)。
事業の注目ポイント
事業は投資銀行事業(investment banking business)の単一事業で構成されています。
事業の売り上げの中心地域は「米国(United States)」で、続いて「欧州(Europe)」、「世界のその他地域(Rest of World)」となります。
それらは、M&A、顧客先の債券交換オファーやエクイティ調達などの資本構造アドバイザリー業務、顧客先のIPO(株式の新規公開)や開発資金調達、転換社債型新株予約権付社債の募集などを手掛ける資本市場業務、プライベート・ファンズ業務などから構成されています。
競合他社
競合他社として、複雑な合併、買収、会社売却、カーブアウト、ジョイントベンチャー、スピンオフを含む企業売却の実行に関連し、また買収の準備と防衛に関連して、戦略的、財務的、戦術的なアドバイスを提供するペレラ・ワインバーグ・パートナーズ(PWP)、2つのセグメントを通じて事業を展開する独立系の投資銀行アドバイザリー会社であるエバーコア(EVR)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は横ばいで推移しています。
コロナ以降、2021年を除けば株価は一定の範囲内で推移しており、今年に入ってからも55ドル前後で推移しています。
会社側は直近の決算発表で、2023年当社は来るべきM&A活動の復活に向けて当社の体制を整えるため、主要な成長分野でマネージング・ディレクターの人員を積極的に拡大し、当社は2024年に入り、拡大した専門知識をお客さまに提供することに重点を置くと発表しており、今後の主要サービスにおいての業績拡大と堅調な株価が期待されます。
業績動向
2024年2月7日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
第4四半期のGAAP収益は2億1,490万ドルで、前年同期比6%増加する結果となりました。会社側は、企業が今後数年間、大幅な債務満期の壁に対処し続ける中で、資本構造に関するアドバイスを我々に求めることが予想されます。
また過去2年間、新規の債券・株式発行額は低迷しているが、当社の資本市場事業は、あらゆるセクターの企業に対し、資金調達や流動性ニーズに関するアドバイスを提供し続けており、マクロ経済情勢と投資家心理の改善により、資本調達と資金調達の状況は今後改善する可能性があると発表していることから、今後も堅調な業績が予想されます。
次回2024年4月24日に開示予定の四期決算で、前年同期を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
会社側は、将来的な成長はとりわけ人材の発掘、採用、育成に成功するかどうかにかかっており、さらなるリソースの投入が必要となるが、人材の採用・確保および競争に関してのリスクを懸念の一つとしてあげています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.40ドル
配当利回り:4.49%
株価:52.05ドル(約8,000円)
この銘柄、権利落ち日は5月上旬の予定(権利実施は6月下旬)です。
配当利回りは4月13日時点で4.49%、株価は4月13日終値が52.05ドルでおよそ8,000円から購入できます(1USD=153.30円計算)。
2022年からの最高値は63.07ドル、最安値は33.73ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4:ラザード・インク(LAZ)
世界有数のフィナンシャル・アドバイザリーおよびアセット・マネジメント会社であるラザードは、北米、南米、欧州、中東、アジア、オーストラリアで事業を展開しています。
その歴史は1848年にさかのぼり、企業、政府、機関、パートナーシップ、個人など、世界中の多様なクライアントが抱える複雑な財務および戦略的課題に対する解決策を生み出すことを専門としてきました。
米国、欧州、アジア、日本、中東に拠点を置くラザードの投資プロフェッショナルは、詳細にわたるファンダメンタルズ分析の知識を集約し、地域、セクター、資産クラスをまたいで共有することにより、比類なき見解を生み出しています。
時価総額は44億7,000万ドルで、日本円で約6,800億円となっています(1USD=153.30円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「財務アドバイザリー事業(Financial Advisory)」で、続いて「資産運用管理事業(Asset Management)」となります。
「財務アドバイザリー事業」では、世界中の企業、提携企業、機関投資家、政府機関、政府系企業、個人顧客に対し、戦略的アドバイザリー、M&Aアドバイザリー、資本市場アドバイザリー、株主アドバイザリー、などを提供しています。
また「資産運用管理事業」では、多様化したアクティブ運用の投資プラットフォームと、グローバルな顧客層に投資ソリューションを提供する当社の能力により、当社はアセット・マネジメント業界全体の機会から利益を得る立場にあります。
競合他社
競合他社として、関連会社と呼ばれる多様なパートナー所有の投資会社に投資することに注力するグローバルに独立した投資管理会社であるアフィリエーテッド・マネジャーズ・グループ(AMG)、個人投資家および機関投資家向けに、多様な投資商品体系と複数の販売チャネルを通じて投資管理および関連サービスを提供する会社であるバータス・インベストメント・パートナーズ(VRTS)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は横ばいで推移しています。
また、マーケット環境の改善とともに昨年の秋口以降、ラザード・インクの株価も上昇基調が続いています。
会社側は直近の決算発表で「財務アドバイザリー事業」において2023年のM&A発表件数は過去10年間で最低水準となったが、2024年には、金利が高水準で推移し、債務の満期が近づいていることから、リストラクチャリングが活発化するとともにM&Aも増加する可能性があると考えており、M&A、資本構成、事業再編、公的・私的資本市場に関する能力と専門性を高めるため、優秀なシニア・プロフェッショナルを厳選して採用し、事業への投資を継続しています。
「資産運用管理事業」では既存のプラットフォームを拡張する新たな投資戦略を継続的に開発し、潜在的な商品買収やその他の無機的成長機会を得ることができると発表しており今後も好調な業績とそれに伴う株価の上昇が期待されます。
業績動向
2023年2月1日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
「財務アドバイザリー事業」において、世界的に重要かつ複雑なM&A取引に携わってきことや幅広い複雑なリストラクチャリングおよび負債アドバイザリー業務に従事してきたこと、「資産運用管理事業」において第4四半期の平均運用資産が2,340億ドルで、2022年第4四半期を11%上回ったことなどもあり市場予想を上回りました。
決算について会社側は、ラザードの第4四半期決算は、困難な1年を力強く締めくくるものであり、長期的な成長戦略を実行する中で、その勢いに満足しており事業全体にわたって新規顧客からの委託案件の獲得が増加しており、今後数年間、経済機会と地政学的リスクを検討する顧客にサービスを提供できる体制を整えていると発表しています。
また、ラザード・インク2030年戦略では2030年までに収益を倍増させ、2030年まで株主総利回りを年平均10~15%にすることが発表されており今後も堅調な業績が期待されます。
次回は2024年4月25日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
会社側は、業界は変化を続けており、優秀な人材の確保に関して大きな競争圧力にさらされているため、当グループがプロフェッショナルを維持することはより困難になってきていると発表しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.00ドル
配当利回り:5.04%
株価:38.37ドル(約5,800円)
この銘柄、権利落ち日は5月上旬の予定(権利実施は5月中旬)です。
配当利回りは4月13日時点で5.04%、株価は4月13日終値が38.37ドルでおよそ5,800円から購入できます(1USD=153.30円計算)。
2022年からの最高値は46.39ドル、最安値は26.40ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株5:エンタージ(ETR)
フォーチュン500に選ばれた企業であり、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、テキサス州の事業会社を通じて300万人の顧客の生活に電力を供給しています。
よりクリーンで効率的なエネルギーソリューションへの移行を支援しながら、エネルギーシステムの信頼性と回復力に投資しており、100年以上にわたって地域社会に根ざしてきたエンタージは、持続可能性と企業市民活動において全米で認められたリーダーです。
2018年以来、慈善活動、ボランティア活動、アドボカシー活動を通じて、毎年1億ドル以上の経済的利益を地域社会に提供しており、ルイジアナ州ニューオーリンズに本社を置き、約1万2,000人の従業員を擁しています。
時価総額は221億4,100万ドルで、日本円で約3兆3,900億円となっています(1USD=153.30円換算)。
事業の注目ポイント
事業は「公益事業(Utility)」の単一事業となります。
「公益事業」では、メキシコ湾南部におけるユーティリティ事業に重点を置く経営陣の主要な組織基盤を反映しており、その中にはエンタジー・コーポレーションおよびその他の事業活動が含まれています。
エンタジー・コーポレーションの非事業活動には、非原子力発電所の権益を所有し、その発電所で生産された電力を卸売業者に販売する事業や、米国内の非関連事業体が所有する原子力発電所の廃止措置サービスを提供する事業が含まれています。
競合他社
競合他社として、Southern California Edison Company(SCE)とEdison Energy, LLC(Edison Energy)の持株会社で、それらを通じてクリーンで信頼性の高いエネルギーおよびエネルギーサービスを提供するエジソン・インターナショナル(EIX)、コロンビア、カナダ、および日本で顧客、商業、地域社会に不可欠な資源を提供する電力と発電の総合小売事業を行う企業であるビストラ・コープ(VST)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移していますが、配当は昨年増配しています。
業種柄、株価の変動は他の業種に比べて低く、コロナの影響で株価が下落したもののその後の株価は一定の範囲内で推移しています。
会社側は直近の決算発表で調整後EPS(1株当たり利益)は2023年の6.77から、2024年に7.05~7.35、2025年に7.50~7.90、2026年に8.05~8.45と年6~8%の成長を計画しており、配当性向60~65%を目指すと発表しています。
また、事業を展開するミシシッピ州でアマゾン・ウェブ・サービスの100億ドル規模のデータセンター施設を同州に誘致するための法案を承認したこともあり、電力の需要増が見込まれることから今後も堅調な業績とそれに伴う安定した株価の推移が期待されます。
業績動向
2024年2月22日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
決算について会社側は、2023年は、お客さまをサポートするための実行が成功した年でしたが、それは過去10年間で最高の強制停電率、記録的な夏の需要に耐えたシステム、急速に拡大する顧客ベースをサポートするための新しいサービスやクリーンエネルギーのオプションのタイムリーな提供など有意義な成果をもたらしたと発表しています。
2023年通期については、報告ベースで23億5,700万ドル(1株当たり11.10ドル)、調整後で14億3,800万ドル(1株当たり6.77ドル)の利益を計上したが、これに対し、2022年の利益は報告ベースで11億300万ドル(1株当たり5.37ドル)、調整後で13億2,000万ドル(1株当たり6.42ドル)で業績は順調に拡大しています。
次回2024年4月24日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
昨年ハリケーン・アイザックの影響を大きく受けたこともあり、突発的な自然災害の影響には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:4.52ドル
配当利回り:4.35%
株価:102.91ドル(約1万5,700円)
この銘柄、権利落ち日は5月1日(権利実施は6月3日)です。
配当利回りは4月13日時点で4.35%、株価は4月13日終値が102.91ドルでおよそ1万5,700円から購入できます(1USD=153.30円計算)。
2022年からの最高値は125.84ドル、最安値は88.87ドルとなっています(終値ベース)。
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