中東でリグ4基が稼働停止のサプライズ、海外事業戦略に打撃

現地コード 銘柄名
02883

中海油田服務

(チャイナ・オイルフィールド・サービス)

株価 情報種類

9.87HKD
(4/5現在)

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 中国の油田サービス最大手、中海油田服務が中東で受注した大型の石油掘削リグ7基のうち4基について、顧客側から操業を停止するよう連絡があったことが明らかになった。収益への影響はさほど大きくないとみられるものの、中東での積極的な事業拡大戦略が予想外の冷や水を浴びせられた格好。同社H株の株価は過去1カ月間で44%の急伸となったが、BOCIはこの段階でいったん利益を確定するよう投資家に提言。同社H株の目標株価を9.69HKドルに下方修正した上で、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

 中東で稼働していた大型ジャッキアップリグ4基の停止はネガティブサプライズ。中東から受注したリグ7基はすべて、2023年に稼働を開始したもので、うち一部は下期に稼働を開始したばかりだった。同社がこの契約に関する情報を発表した際には、市場は歓迎し、同社株価は上昇した経緯があった。

 BOCIによれば、サウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコが最近、「2027年までに持続可能な原油日産能力を1,200万バレルから1,300万バレルへ増強する」との計画を断念したことが、操業停止の原因になったとみられる。サウジアラムコは海洋石油開発プロジェクトの延期を余儀なくされた可能性があるという。実際、海洋掘削サービス会社シェルフ・ドリリングも、ジャッキアップリグ4基の稼働を停止した。

 仮に当該リグ4基が2024年4-6月期から10-12月期にかけて操業を停止し、中海油田服務がこの期間中、もともと想定されていた1日当たり使用料10万米ドルのうち半分を受け取ると想定した場合、同社の2024年の利益は約5%目減りする。現時点でジャッキアップリグ46基とセミサブ(半潜水型)リグ14基を保有していることを考えれば、業績への打撃は限られる。

 ただ、中東は同社が海外事業の拡大戦略において主力と位置付けてきた2つの地域のうちの一つであり、マーケット心理への影響は大きい。同社は今後、顧客側と、リグの停止期間がどの程度長期化するか、その間リグをどう扱うか、どう補償するかについて協議する予定。休止中のリグの新たな顧客を獲得する方向で努力することは可能だが、顧客を探すべき中東のリグはこれで8基に増えたことになり、状況はそう容易ではないという。

 BOCIは利益見通しの後退を反映させる形で、同社H株の目標算出ベースを2024年予想PBR(株価純資産倍率)1.05倍から0.95倍へ下方修正。目標株価を引き下げた。さらに、3カ月平均のAHプレミアム(H株株価に対するA株株価の比率)120%を基準に、A株の目標株価も下方修正している。一方、レーティングの上振れ要因としては、この先、海外市場の開拓が大きく進む可能性、利益が予想を上回る可能性を挙げている。