「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第23回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ:PBR1倍割れ銘柄はどっち?
日本株で今、PBR(ピー・ビー・アール:株価純資産倍率)1倍割れ銘柄が注目されています。その背景を説明します。その前に、「PBRって何?」という方のために、PBRの意味を学べるクイズを出します。
それではクイズです。
A社はPBR0.5倍(いわゆるPBR1倍割れ銘柄)です。B社はPBR2倍です。
A社のバランスシート(貸借対照表)は下の【1】、【2】のうち、どっちでしょう?
バランスシートとは
クイズで掲載したものは、企業のバランスシートを簡略化して図にしたものです。まずバランスシートの意味から簡単に説明します。
バランスシート(貸借対照表)=資産、負債、資本の目録
バランスシートを見ると、事業に使う資産を得るための資金をどう調達したか分かります。上の例では、資産100億円を、負債(借金など)60億円+資本(株主の出資金など)40億円で調達したことが分かります。
この会社は、自己資本比率(資本÷総資産)が40%です。
ヒント:PBRとは、株価割安度を示す株価指標のこと
PBRとは、株式時価総額が、資本(純資産)の何倍であるか示す値です。
PBR=(株式時価総額)÷(資本)
倍率が低いほど、株価は割安と判断されます。
クイズの正解:時価総額が純資産の半分しかない【2】
正解は【2】です。【2】はPBR0.5倍を示しています。
【1】はPBR2倍を示しています。
PBR0.5倍とは、株式時価総額が、資本の半分(0.5倍)しかない状態です。
PBR2倍は、株式時価総額が資本(純資産)の2倍、という意味です。
PBR1倍とは
PBR1倍ならば、株式時価総額=純資産(自己資本)です。
1億円出資して設立、1億円借金し、合わせて2億円の資産を持つ企業を考えてください。その企業がいきなり株式市場に上場したとして、株式時価総額はいくらになるでしょう。まだ何もしていない会社ですから、普通に考えれば1億円です。それが、PBR1倍です。
純資産1億円でも、将来、利益をどんどん稼ぐ期待が高ければ、株式時価総額は3億円になることもあります。この状態が、PBR3倍です。ところが、将来、赤字が続いて資本を食いつぶしていくと考えられれば、株式時価総額は5,000万円となることもあり得ます。
その状態が、PBR0.5倍です。このように、PBRには、投資家による、企業の将来性への評価が反映されます。
なぜ今、PBR1倍割れ銘柄が注目されるのか、東証が改善要請
東京証券取引所の上場企業で、「PBR1倍割れ」銘柄が半数近くを占めています。財務内容が悪くて、収益力に問題があってPBR1倍を割れている銘柄ばかりならば、やむを得ませんが、そうではありません。財務内容が良好で、収益力もそこそこ安定しているのに、PBR1倍を割れている企業が、日本にはたくさんあります。
自社株買いを増やしてROE(自己資本利益率)を高めるなど、株価を上げる努力が足りないことが原因と考えられます。
これに対して、東京証券取引所は、PBR1倍割れなど株式市場での評価が低い企業に対して、「株主価値改善策の開示と実施」を要請しました。これを受けて、PBR1倍割れなど割安株で、自社株買いを増やす動きなどが出ています。
そういう背景があって、今、日本株市場で、PBR1倍割れ銘柄が注目されています。
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