2023年本決算、13%減益も確認埋蔵量の過去最高更新で価値向上へ

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)

株価 情報種類

18.22HKD
(3/22現在)

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 中国最大のオフショア石油開発会社、CNOOCの2023年12月本決算は、純利益が前年同期比13%減の1,238億元にとどまり、BOCIの予想を6%下回った。ただ、BOCIは生産量の増加と一過性損失の剥落を理由に、2024年には前年比10%の増益に転じると予想。さらに重要なポイントとして、180%という記録的なリザーブ・リプレースメント・レシオ(RRR:資源埋蔵量の回復率。期中の確認埋蔵量増加分÷生産量)を達成し、確認埋蔵量が過去最高を更新した点を指摘した。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 CNOOCの2023年通期の純利益は予想を小幅に下回ったが、これは2017年半ば以降に取得した採掘権の代金支払額が60億元と、予想(30億元)を大きく超えたため。ほかに予想外の資産減損損失35億元の計上も響いた。

 ただ、それ以外の主な業績指標はいずれも従来通りの力強い内容となり、石油・ガス総生産量は前年比9%増の6億7,800万BOE(石油換算バレル)。単位当たりの営業費用とオールインコスト(費用総額)はそれぞれ3%、5%縮小した。株主還元の強化に向け、通期の配当性向は前年の41.4%から、43.5%に上昇している。

 BOCIは続く2024年について、平均原油価格が前年比1%下落するとみる半面、同社の純利益は前年比10%増加するとの見方。経営陣が示した年間生産量に関するガイダンス(前年比3-6%増)や、一過性損失の剥落をその理由に挙げた。新たなルールの下、採掘権向けの支払額は年間10億元程度に落ち着くとみている。

 2023年通期決算においては、RRRが180%という高率に達したことが最も注目すべきポイント。石油・ガスの確認埋蔵量は期末に67億8,400万BOEと、過去最高を記録。生産量が増えているにもかかわらず、可採年数(埋蔵量寿命)は10年の水準を維持した。最近では南シナ海と渤海の深水深層部で油田・ガス田を発見しており、仮に回収率を30%と想定した場合、同社の埋蔵量は推定7%拡大することになる。

 BOCIは2024-25年の予想純利益を2%減額修正しながらも、確認埋蔵量の増加による価値の上昇を反映させ、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく予想NAV(純資産価値)を19.41HKドルから21.09HKドルに上方修正。引き続き、予想NAVに対する過去5年間の株価ディスカウント率の中央値を1.5標準偏差上回る水準(5.4%)をあてはめ、目標株価を引き上げた。新たな目標株価は、2024年予想PER(株価収益率)では6.4倍に相当する。

 一方、レーティング面の潜在的なリスク要因として、BOCIは原油価格が急落する可能性と、予想以上にコストが膨らむ可能性を挙げている。