基本は長期保有。でも、日々「売る?」のムズムズとの戦いです
トウシル:現在、夕刊マダムさんが保有している株は何銘柄くらいあるんですか?
夕刊マダムさん:毎月アレコレ買っているので、増えていく一方なんですが、大体200銘柄ですね。今は優待銘柄と高配当中心ですが、「もしかしたら化けるかも?」という銘柄もたまに入れています。
私は、優待も配当も両方あって、できれば年に2回優待がある銘柄が好きなんです。半年に1度優待があると、権利付き日が過ぎても株価が暴落しづらいですし、下がったとして、株価が戻るのも比較的早いのがお気に入りの理由です。
トウシル:優待廃止が決まった銘柄は売却一択ですか?
夕刊マダムさん:廃止する理由によりますね。最近は優待を廃止する会社が多くて寂しいです。オリックス(8591)も日本取引所グループ(8697)も優待は2024年で最後ですし、JT(日本たばこ産業)(2914)も優待を廃止してしまいました。
ただ、業績悪化ではなく、優待に回していた分を配当で還元する、という方針転換で廃止している銘柄は、焦って売る必要はないと判断しています。JTはウクライナショックで株価がかなり乱高下しましたが、優待廃止後も保有していますし、日本取引所グループも優待を廃止すると言ってからのほうが株価が上昇しているんですよ。
なので、優待を廃止するから売る!と短気にならないほうがいいかなと思っています。
トウシル:売買タイミングって悩みの種だと思うのですが、夕刊マダムさんの売買基準はどこで判断していますか?
夕刊マダムさん:何か新規で購入したい銘柄があるときは、他の銘柄を見繕って売却します。実は、保有銘柄がどんどん増えていって管理が大変なので、少し減らしたいと最近思っているのですが、1回売ると買い戻せないくらい株価が上昇してしまうことが続いたので、慎重に様子を見ています。
例えば、大成温調(1904)という銘柄ですが、配当も優待も年に1回なので、3月に優待権利月が終わったら売却して、来年の3月までに買い戻そうと思っていたら、2023年11月に「300株以上保有でQUOカード3,000円分だったのを、1万6,000円に拡充する!」という発表があったんです。当然株価は急騰して、買い戻せなくなってしまいました。
トウシル:では、今は、基本は保有型の投資スタイルに落ち着いてきた感じですか?
夕刊マダムさん:はい。優待と配当のいい銘柄の長期保有が基本です。
長年続けてきて思うのは、「ほったらかし」って最強だなということ。「一番パフォーマンスがいいのは、故人の口座だ」とよく言われますが、あれはその通りだな、と思います。私もしばらく放置している口座に久々にログインしたら、一番パフォーマンスがよかった(笑)。
トウシル:よく、長期分散投資が基本、と分かっていても、売りたくなってムズムズしちゃいますよね。
夕刊マダムさん:ムズムズしますよ! いつもムズムズとの戦いです(笑)。
トウシル:夕刊マダムさんのブログやSNSでの発信を見ていると、すごくおしゃれ感があります。「マダム」の名の通り、優雅に優待を楽しんでいる様子が伝わります。
夕刊マダムさん:自分ひとりが楽しい優待品はあまり選ばないですね。みんながハッピーになれる優待が好きなんですよ。
おしゃれ感を満喫させてくれる、クリエイト・レストランツホールディングス(3387)やWDI(3068)の株は、ずっと持っていて大好きな株です。WDIは今売ったらもう絶対買い戻せない、右肩上がりを続けている銘柄なので、今後も手放さないです。
優待の金額はそれほど多くないんですが、優待券があると、自分のお会計だけでなく、友達の分も一緒に割り引いてくれるんですよ。それが魅力で! 自分1人だけがお得になるのはすごく嫌なんですよね。この間も優待券を使って、カキのオイスターバーにみんなで行ってきたところです。
夕刊マダムさんが注目する3~6月優待の銘柄
トウシル:夕刊マダムさんが3〜6月で注目している優待銘柄を教えてください!
夕刊マダムさん:コツコツ買いだめしているのは青山財産ネットワークス(8929)です。ここは2,000株以上が優待発生の条件とかなりハードルが高いので、資金が200万円ぐらいないと優待をもらえないんです。でもその分、優待の廃止はたぶんないだろうと思って2,000株までコツコツ、積立貯金感覚で10万円ずつ買っていこうと思っています。
あと3月だとニプロ(8086)は配当利回りが2%ぐらいなんですが、優待がJCBギフトカードでお気に入りです。期限に縛られない商品券の優待は、商業施設で使えるので好きなんです。
三井松島ホールディングス(1518)は、100株保有で1万円分の自社子会社商品券がもらえます。
あと5月に一括で配当があるタマホーム(1419)や、外食産業のきちりホールディングス(3082)も、買い戻したい銘柄です。コロナが明けて外食関係の株が上がっているので、もう少し安くなったら買い戻したいと考えてぬかりなく様子見をしています。
「気になる」で終わらせず、調べてみて!連想ゲーム感覚で投資を楽しもう
トウシル:2024年からは新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が始まりました。夕刊マダムさんはどう戦略を立てていらっしゃいますか?
夕刊マダムさん:今回の新NISAの制度拡充のコトでも思うんですが、「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいに、一つの事柄が起こったら、その先に何が起こりそうか、いくつか選択肢を考えてみるようにしています。
例えば、今は新NISAが投資未経験の方の間でも話題になるほどブームなので、買いが殺到しているのかな、今買ったら高値つかみかな、いつごろおさまるだろう…と。連想ゲームみたいに、もしかしたらこうなるかもしれない、ここが影響を受けるかもしれない、とニュースや出来事にアンテナを張って頭の体操をしています。
実は投資って、主婦の方に向いているのでは…と思っています。例えば普段の買い物で「あ、これが売れてるんだな」とか「コレはやってるな」とか気づきがあるじゃないですか。そこで終わってしまわず、パッケージの裏側を見て「どこが作っているんだろう」「この会社ほかに何を作ってるのかな」など、気になるコトはどんどん調べていくといいと思います。
トウシル:消費の最前線にいる利点を生かすんですね。
夕刊マダム:はい。テレビで見たヒット商品、お子さんの間ではやっているおもちゃやゲーム、ママ友が着ているファッションブランド…。生活の中にヒントが満載です。
そういう情報が全部投資のヒントになるんです。
私も、一人暮らしをしていた娘に「やまやでワインを買ってきて」と頼まれたんですが、それまで家の近くに「やまや」ってなかったので知らなかったんですよ。でも立ち寄ってみたらすごくいいお店だった。調べてみたら上場している。さらにイオン系列だということも分かった。これはいい!と思ってすぐにやまや(9994)を購入し、今10万円近く含み益があります。
トウシル:何か引っかかったときにそのままにせず、調べたからこその結果ですね。
夕刊マダムさん:そうなんです。昔と違って、今はスマホ一つですぐに手元で調べられるので、「このはやりの店はどこがやっているんだろう、上場していないのかな?」と、調べてみてほしいですね。自分の生活につながっていたり、好きだったりするジャンルから、投資に入っていくのが主婦の方の強みだと思います。
トウシル:あらためて、初心者が投資を楽しんで続けるコツはありますか?
夕刊マダムさん:家族や友人と楽しめるという意味で、外食系の株は優待銘柄への投資を楽しむコツの一つだと思います。
あとは、健康。健康への投資が自分にできる一番の投資なので、外食先を選ぶときには健康面も考えるようになりました。ホテルのレストランの食事など、見た目にも映える食事は健康的でもあるので、そういった食事に使える優待銘柄もおすすめです。
見た目にも健康にも良いおいしい食事を、優待を使うことで、家族や友達みんなと一緒にお得に楽しめるのが本当に楽しいです。「こんな優待があるから、みんなで行こうよ」って誘うほうも誘われるほうも気楽でしょ? 私が投資を始めて35年、まだまだ優待での楽しみは一部の人のものでしかないので、もっと広がってほしいなと思います。
また、ライフステージによって持っている銘柄が変わっていくのも楽しいです。私はもうすぐ孫が生まれるので、赤ちゃん関係の銘柄にアンテナを張っているところなんです。その一方、好きな旅行も優待でお得に楽しんでいます。投資で得た利益や優待で、友達や家族とすてきな思い出をたくさん作っていきたいと思っています!
トウシル:本日はありがとうございました!
>>「みんなで楽しめる銘柄が好き!夕刊マダムさんインタビュー」[前編]を読む!
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