2023年決算の下振れも先行き楽観、親会社から新規のソーラープロジェクト取得

現地コード 銘柄名
03868

信義能源

(シンイー・エナジー)

株価 情報種類

1.10HKD
(2/29現在)

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 中国の太陽光発電事業者、信義能源の2023年下期決算はBOCIの予想を下回った。人民元建て融資への借り換えがさほど進まず、金融費用が予想以上にかさんだため。ただ、BOCIは過去7カ月に及ぶアンダーパフォームを経て、同社株の魅力が再び増しているとの見方。新規プロジェクトの収益性の向上が向こう2年間のROE(自己資本利益率)とDPS(1株当たり配当)を押し上げるとみて、仮に約50%の配当性向を維持しても、現在の低バリュエーションが投資チャンスにつながるとした。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年12月通期の純利益は9億9,300万元と、BOCIの予想を下回ったが、これは金融費用が前年比34%増大したため。期末配当は1株当たり2.6HKセントの予定で、年間配当は6HKセント。経営陣は2024年の配当性向を約50%に維持する方針を示している。

 同社は親会社の信義光能(00968)から、790MWのソーラーファーム(大規模な太陽光発電所)を4億7,500万元で買収するために、コールオプションの行使を決定したと発表した。買収予定額から算出した単位当たりEV(企業価値)は推定で、1ワット当たりわずか3.0HKドル。一部未完成のため、最終的には上昇する可能性があるとはいえ、新規プロジェクトの採算性の高さを示唆した。また、BOCIは同社のプロジェクト・コストの効率的な管理実績とともに、モジュール価格の低下が全体の収益性の改善に寄与するとの見方。少なくとも市場ベースの電力販売価格の不確実性という逆風に立ち向かう上で、プラスに働くとしている。同社は2024年に、700-1,000MW規模の新規「グリッドパリティ・プロジェクト」(政府補助金なしで、石炭火力発電の価格指標に合わせて売電するプロジェクト)を立ち上げる計画。BOCIはこれにより、1株当たり配当が7HKセントに上向くとみる。

 同社の借入残高のうち、国内金融機関(オンショア)からの融資は約13%。米ドルと人民元との金利差に目を向け、2024年にはさらに、人民元借入れへのシフトを進める計画という。人民元建ての15年物プロジェクト融資は、「5年物LPR」(中国の事実上の政策金利。2月20日に3.95%に引き下げられた)より1.1-1.3ポイント低い水準で確保することが可能。これにより、同社の借入コストは安定し、最終的には軽減することが可能となる。

 BOCIは金融費用に関する想定値の引き上げに伴い、2024年、2025年の予想純利益を16%、14%減額修正。さらにWACC(加重平均資本コスト)の想定を6.1%に引き上げ、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げた。新たな目標値は2024年予想PBR(株価純資産倍率)で0.9倍に当たる水準。目標株価までの上値余地を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。