1月のビットコインイベント

NEW! 1月10日 SEC、ETF承認(日本時間11日)
NEW! 1月11日 BTC現物ETF10件ローンチ

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材料面から見た2月見通し

1月の振り返り

1月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

  1月のBTCは上に行って来いの展開。BTC現物承認期待で月初から大きく上昇、11日のローンチ直後に4万9,000ドル、715万円でピークを付けると、例によってSell the Fact(うわさで買って事実で売れ、という投資格言)で2割強調整すると3万8,500ドル近辺で下げ止まり、半値戻しとなる4万3,000ドル半ばまで反発している。

ETF承認まで

 SEC(米証券取引委員会)がETF(上場投資信託)申請各社に昨年末まで修正申請を求めたことで1月初旬の期待が高まる中、BTCは4万2,000ドルで新年を迎えると申請者の一人ギャラクシーのノボグラッツ氏のXが、承認が近いことを表していると受け止められ、4万6,000ドル手前まで急騰。

 ETFが否認されるといったレポートが出回ると4万ドル台に急落するなど、承認の思惑で乱高下した。

 ブルームバーグのアナリストは1月8~10日の間に承認される可能性が高いと予想、CNBC(米国のニュース専門放送局)も10日承認の見込みと報道する中、BTCは4万7,000ドル台に急騰した。9日にはSECのXアカウントから「ETFが承認された」とポストされたが、ほどなくして誤情報と判明するなど混乱が続いた。

 10日(日本時間11日早朝)いよいよ承認されると、BTCは4万7,000ドル台半ばまで上昇したが、すでに承認自体は織り込んでいたため反応は限定的だった。ETFの承認の可否やタイミングからローンチ後の値動きに市場の関心が移っていたからだ。

ETFローンチ後

 ブラックロックのIBITやフィデリティのFBTCを含む新規9銘柄と、既存ファンドからETFにシフトしたGBTCの、10銘柄の現物ETFが承認翌日の11日からローンチした。ローンチ直後にBTCは4万9,000ドルの年初来高値を付けた後、Sell the Fact気味に急落を始めた。

 大手運用会社バンガードがBTC関連のETFを取り扱わない方針としたことが影響したか。翌2営業日目も取引オープン後、急落。FTXが10億ドル超のGBTCを換金売りしたと伝わると、BTCは3万8,500ドルの安値を付けた。

GBTC売り圧力後退

 ETFへのシフトにあたりGBTCが手数料を2%から1.5%に引き下げたが、他の新規ETFはおおむね0.3%前後に設定、さらに無料キャンペーンを行うファンドも多かった。そのせいでGBTCから他のファンド、特にブラックロックのIBITとフィデリティのFBTCへのシフトがうわさされた。

 実際、GBTCの売りとIBIT・FBTCなどの買いが交錯する展開が続き、1月22~25日まで4営業日連続で、現物ETF全体でネットで資金流出となり、相場の足かせとなった。しかし、GBTCからの資金流出が徐々に下火となるにつけ、BTCは半値押しとなる4万3,000ドル台半ばに反発した。

3月利下げ観測後退

 FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測が後退したことも相場の重しとなった。

 昨年11月末にタカ派で知られるウォラーFRB理事が利下げに言及して以降、8割程度まで上昇した3月利下げの織り込みだが、同氏が「利下げは慎重に行うべき」と発言を軌道修正、アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁も利下げは第3四半期とするなど早期利下げ観測の修正を求める声が続き、織り込み度合いは5割を切った。

各材料の影響

利下げ観測後退の影響

 FRBが利下げをするロジックは、景気が悪くなるからではなく、インフレが低下すると名目金利が一定でも実質金利(名目金利―インフレ率)が上がって引き締め過ぎになるので、名目金利をインフレに合わせて調整するというものだ。であるなら利下げの時期を判断するにはインフレ率を見ておけばいい。

 その代表的な指標であるCPI(消費者物価指数)は3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までに2回あり、その数字を見てみないと何とも言えない。要は、今はまだ分からない事柄に対し、市場の思惑が揺れ動いている構図だ。

CME FF先物 利下げ織り込み回数

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 足元ではFOMC後の記者会見やその後のTVインタビューで、パウエルFRB議長が3月利下げの可能性は高くないとしたことや、非常に強い内容だったGDP(国内総生産)や雇用統計を受け、早期利下げ観測が急速に後退している。

 3月利下げの織り込みは1割台とほとんど解消した。ただ、その割にBTCも若干売られたが下げ渋っている。ここから先、強めの指標が出てもBTCの下げ余地は限定的となりそうだ。

 ちなみに米上院民主党の銀行委員会のブラウン委員長とウォーレン議員らが、パウエル議長に中小企業や住宅購入者の困窮を理由に利下げを求めている。議長がCBSの60ミニッツ(米国の長寿ニュース番組)に出演し、3月利下げに慎重なスタンスを示しつつ政治には左右されないと視聴者に訴えたのは、彼らへの返答だったのかもしれない。

 一方でトランプ元米大統領は、議長が年内利下げを目指すのは民主党への支援だとして、大統領選に勝利した議長を再任しないとした。このように利下げの有無を巡っても政治的対立が表面化する中、今月後半には年2回のFRB議長の議会証言が予定されている。

 すなわち、まだ利下げ見送りが確定的とはいえない状況下、見送りを9割近く織り込んでおり、この材料はBTCにはおおむねプラス方向と考える。

ETF事実売り後の展開

BTC現物ETF10銘柄の資金フロー

出典:BitMEX Reserchなどより楽天ウォレット作成

 上はBTC現物ETFローンチ後の資金フロー。特徴的なのはGBTC売りと新規の買いだ。2月2日までの約3週間の資金フローはGBTCが60億ドルの流出に対し、GBTC以外の新規9銘柄への流入が74億ドルで、差し引き14億ドルのプラスとなった。ちなみに、新規9銘柄の74億ドルの中では、IBITの30億ドル、FBTCの25億ドルが目立っている。

 GBTCから他の銘柄へのシフトと同時にGBTCの単体売りも指摘される。破産処理中のFTXによる10億ドル分の売却が象徴するように、それまでETF化によってマイナスプレミアムが解消したことで、これまで売るに売れなかったGBTCの清算が膨らんだもようだ。

 というのは2022年のテラショック後に連鎖破綻したレンディング・トレーディング会社の多くが、GBTC買い・先物売りの裁定取引(プレミアムによってはその逆)を行っていたからだ。まだジェネシスが申請中の、14億ドル分の売却が控えているもようだが、GBTCからの流出は減少傾向だ。

 逆に言えば、こうしたGBTCへの一時的な売りがありながら、ネットのフローがプラスで推移しているということは、他の新規9銘柄への根強い需要を示している。もしかするとブラックロックなどが宣伝を続けている効果が出ているのかもしれない。

 すなわち、これまでBTCを信用しきれなかった個人投資家が、ブラックロックが言うならば…と参入している可能性があり、相場の下支えとなっている印象だ。

テクニカル面で見たBTC相場見通し

BTC/USD(半減期前の戻り高値はピークの7掛け)

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 先月は「4万8,000ドルから5万ドルが強めのレジスタンスで、予想外にETFに資金が流入しない限り、半減期まではこの辺りが天井になりそうだ」と申し上げたが、BTCローンチ時に付けた4万9,000ドルがピークとなった。

BTC/USD CME先物第1限月(窓埋め完了)

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 また「いったんはSell the Fact気味に上値を押さえられそうだ。ただし、ETF誕生を機に参入を希望する投資家が、押し目では待ち構えていそうで、下値も堅い展開が予想される」と申し上げたが、3万9,000ドル近辺の12月初に開けたCME(シカゴ先物取引所)の窓埋めを完了、11月のレンジの上限である3万8,500ドルで下げ止まった、レジスタンスがサポートとなるパターンだ。

 そして、4万9,000ドルと3万8,500ドルの半値戻しとなる4万3,800ドルで上値を押さえられた。いずれも想定通りで、見事にテクニカルが効いた形だ。

BTC/USD(上下とも止まるべきポイントで止まる)

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 今後の展開だが、この水準で下げ渋り半値戻しをクリアすれば、次は全値戻しを目指していく展開が予想される。

BTC月別騰落一覧

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 少し想定外だったのは、月末の一時的な下げで1月の月足が微妙に陰線となったことだ。前月4カ月連続で陽線が続いた場合は約8割の確率で翌月も陽線になると申し上げたが、ぎりぎり陰線に終わった。ただ2月は年間で1番強い月でアノマリー的には陽線となる可能性が高いと考える。

中国の旧正月前後のBTC相場は5年連続上昇

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 もう一つご紹介したいのが、旧正月のアノマリーだ。かつては中国に集中していたマイナーからの売りが途絶えるので、旧正月の連休中はBTCが上がりやすいといわれていた。ところが2021年に中国国内におけるマイニングへの取り締まりが厳しくなって以降もそのアノマリーは通用している。

 上は中国の春節休みの前日(大みそかの前日)をDay0とした休暇明けまでのBTCのパフォーマンスだ。ここ5年連続で上昇、上昇率は平均で10%強だ。

まとめ

 以上、まとめると、3月利下げ期待後退の影響は限定的、むしろ再浮上した場合の上昇余地はありそう。ETFはGBTCの売りがもう少し残っていそうだが、徐々に買いが上回る展開。アノマリー的にも2月は陽線となりそうだ。

 逆に3月は1年で一番弱い月。BTC市場は期待先行で上昇して、事実売りで失速するパターンを繰り返しており、ここからは徐々に半減期への期待先行で上昇、4万9,000ドル全値戻しをトライするも抜けきれず、3月の利下げ見送りで失速する、そうした展開を予想している。

2024年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)

1月10日 SEC、ETF承認(日本時間11日)
1月11日 BTC現物ETF10件ローンチ

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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