多額の減損見通しで2023年決算速報に失望感、ファンダメンタルズに底堅さも

現地コード 銘柄名
00902

華能国際電力

(ファネン・パワー・インターナショナル)

株価 情報種類

4.50HKD
(1/31現在)

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 BOCIは中国の電力大手、華能国際電力が発表した2023年12月通期の決算速報が市場の失望感を招いたと指摘。その理由として、2019年、2020年に続く多額の減損損失の計上見通しを挙げている。固定資産と、関連する繰延税金資産が減損の原因となったとみられ、今後も同じ状況が発生する可能性が皆無ではないとした。速報の発表に伴う高配当期待の後退で、短期的には株価が調整するとしながらも、その後はファンダメンタルズの底堅さや、火力発電事業に絡む減損余地が限定的であることなどから、反発する可能性があるとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 速報によれば、2023年通期の純利益は80億-90億元、コア純利益は51億-61億元(いずれも約28億元の永久債持ち分を含む)とされ、市場予想の150億元を大きく下回った。1-9月期の純利益が126億元だったことを考慮すれば、10-12月期には費用の増大とともに、推定約50億元の経常外損失(おそらく減損損失)を計上した可能性が高い。

 BOCIは固定資産絡みの減損のほかに、繰延税金資産(DTA)関連の減損が膨らむ可能性を指摘している。2021-22年の不採算期を経て、DTAが急拡大していたことが背景。貸借対照表(BS)上のDTAは、2023年9月末時点で52億5,500万元だった。BSから消去された火力発電資産関連のDTAがまだ残っていた可能性がかなり高く、すでに実現可能性が消えたDTAをBSから消去する必要が生じる。いずれにせよ、3月の決算発表までの間、減損の原因がどこにあったのか、投資家の懸念が続く見通しという。

 BOCIによれば、配当性向を50%超に引き上げない限り、2023年の予想配当は1株当たり0.09-0.18元。同社H株の現在株価の予想配当利回りはわずか1.8-4.4%。投資家の高配当期待とは裏腹に、配当見通しが後退した。

 半面、BOCIは同社のファンダメンタルズの底堅さ(発電燃料となる一般炭価格の軟調見通しや容量ベースの価格メカニズムによるプラス効果など)と、火力発電資産の減損余地が限定的であることを指摘。堅実なEPS(1株当たり利益)成長見通しと長期のキャッシュフローを前向きに評価し、特に全体相場が低迷する状況下では、同社株に依然、投資妙味があるとした。また、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)が国有企業のガバナンス強化に向けた行動計画を強化すれば、同社の配当意欲に対する投資家の疑念も消える可能性があるとしている。

 BOCIは2024年予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍をあてはめ、目標株価を現行水準に維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、予想外のダークスプレッド(火力発電の売電価格と石炭価格との差)の縮小、再生可能エネルギーの電力料金の下振れ、予想以上の減損計上の可能性を挙げている。