FOMC結果:金利据え置き

 米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は1月31日(日本時間2月1日午前4時)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を発表しました。事前の示唆通り、利上げも利下げもなく、FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標を5.25~5.50%(中心5.375%)に据え置きました。

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2024年1月31日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 以下の通り、これで4会合連続のFF金利据え置きとなりました。

2022年6月以降のFOMC結果

出所:FRBより楽天証券経済研究所が作成

 FF金利据え置きは事前示唆通りでまったくサプライズ(驚き)はありません。注目されたのは、FOMC声明文と、パウエルFRB議長による記者会見です。

パウエル議長は早期利下げに慎重、量的引き締め継続

 FOMC声明文から、「追加的な引き締めを判断するための条件」についての一節が削除されました。これ以上の利上げは必要ないとメッセージを出す一方、「2%の物価目標達成に向け、より確かな自信を得るまで利下げは適切ではない」との表現が追加されました。

 パウエルFRB議長も、記者会見で同様に、「確信が持てるまで利下げしない」「3月に利下げは実施しない可能性が高い」と発言したため、市場に広がっていた早期利下げ期待が低下しました。

 利下げの時期に注目が集まりますが、もう一つ、金融政策で重要なのは、量的引き締めを継続するか否かです。現在、FRBは、保有する金融商品を減らす「量的引き締め」を実施していますが、パウエル議長は、インフレ鎮静化に「確信が持てるまで継続」と発言しています。

 パウエル議長の会見は微妙な言い回しが多く、明確なメッセージはありませんでしたが、トータルで見ると、FF金利を5.25~5.5%の高位に維持しつつ量的引き締めを続けるという、タカ派姿勢に変更はなかったと解釈できます。市場に広がっていた、ハト派への転換期待を打ち消す内容でした。

ナスダック・NYダウとも下落

 1月31日のナスダック(ナスダック総合指数)は、前日比2.2%安と続落しました。NYダウ(ダウ工業株30種平均)は、前日比317ドル安の3万8,150ドルでした。

 米早期利下げ期待が低下したことに加え、この日発表された10-12月決算が期待外れで、ハイテク株の下落が目立ちました。広告収入が予想を下回ったアルファベット(グーグル)や半導体関連株が下落しました。

日本株は目先反落か

 今回のFOMCを受け、2月1日の日経平均株価は下落が見込まれます。「米景気堅調の中、早期の米利下げが見込まれる」という前のめりの期待が、肩透かしとなった反動が出ると思われます。

 ただし、今年どこかで利下げが見込まれるという見通しは変わりません。米景気が予想以上に堅調ということは、日本企業の業績に追い風です。

 結論として、日本株は割安で、長期的には良い買い場という見方は変わりません。短期的な下落に注意しつつ、押し目買い方針を継続します。

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