2024年に競争激化へ、長期的な成長期待も消費低迷が痛手
2024年に入り、中国の消費の先細りが意識される状況にあるが、BOCIはこの先、乳製品市場では需給双方の要因から、競争が激化するとの見方。乳業大手の中国蒙牛乳業(02319)の収益見通しを下方修正した。長期視点では、中国の乳製品消費の拡大余地は大きく、同社をはじめとする関連銘柄の長期成長が期待できるとしながらも、現時点では慎重。特に乳児用粉ミルクに関しては、1月17日に発表される中国の人口統計が一段の悲観見通しにつながる可能性があるとしている。
需要サイドでは、消費者の低価格志向もあり、乳製品需要は2023年下期から減速傾向にある。中国蒙牛乳業による12月の収益見通しの更新もその表れ。多くの投資家は上期決算が明らかになった段階で、乳製品消費の低迷を見越していたが、実際、7-9月期後半と10-12月期には減速の兆しが一段と鮮明になった。特に10月の国慶節における贈答品需要が弱く、2024年旧正月(2月10日)期も苦戦する可能性を示唆している。
ニッチ製品は高成長を維持しているが、全体の収益押し上げ効果は限定的となる見込み。乳製品の中でも高栄養価、機能性製品の需要は依然旺盛だが、消費者の低価格志向に直面し、収益の振れ幅が大きくなるとの懸念がある。例えば、2021-22年に高成長を遂げたチーズ需要は2023年に一転して低迷しており、この傾向は今後も続く可能性がある。
一方、供給サイドでは、売上原価の低下がメーカー各社の販促活動の強化につながる見通し。製品需要の弱さから、国内の乳価はすでに下落傾向にあり、2024年にはさらに下降圧力が高まる可能性が高い。さらに、中国がニュージーランド製の乳製品に課していた関税が年末に失効し、同国はこの先、より低コストで、中国に乳製品を輸出することが可能となった。これは乳業セクターの川下企業にはプラスに思えるが、BOCIは結果的に販促強化を誘発し、市場競争がさらに激化する可能性を指摘している。
また、2024年の大型イベントも競争激化を後押しし、販促費を膨らませる見込み。特にパリ五輪は、乳製品メーカーのブランド投資における主戦場になるとみられる。
BOCIはセクター全体に対する強気のレーティングを維持しながらも、ファンダメンタルズの悪化と慎重な投資家心理を理由に、乳業銘柄のバリュエーションが引き続き低下圧力にさらされるとの見方。相対的に安全性が高い製菓・飲料大手の中国旺旺(00151)をトップピックとした。中国蒙牛乳業に関しては収益成長の鈍化による短期的な下落圧力に触れつつも、バリュエーションは長期的には魅力的だと指摘している。一方、人口統計の発表を控え、乳児用粉ミルクに関しては慎重だが、成人用栄養食品やペット用製品への多角化を進める健合国際(01112)は例外であるとして強気の見通しを維持した。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、消費の一段の低迷や、投入コストの高騰、販促費の増大、乳価下落に伴う減損計上の可能性を挙げている。
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