投資における税金の位置づけとは
株式投資、投資信託、債券、FX、暗号資産、外貨預金、金投資、不動産投資…。投資において必ずつきものなのが「税金」です。
NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のように利益が非課税となる制度もありますが、通常は投資で得た利益については税金がかかります。投資をするにあたっては、税金の影響を避けることはできません。
税金が引かれれば、その分投資のパフォーマンスは落ちます。ですから、投資のリターンを予測する際は、「税引き後」のリターンを踏まえて行う必要があるのです。
そして、税金が多ければ多いほど税引き後の利益は減りますから、税金が少ないに越したことはありません。
面白いのが、投資の種類によって、税金の中身が全くといってよいほど違うということなのです。
ですから、どの投資ではどのような税金がかかり、税率はどのくらいなのか、税金が軽減されるような仕組みはあるのか、という点は投資家であれば必ず知っておくべき重要事項です。
「損益通算」とはなにか?
投資の税金を学ぶ際に押さえておきたい概念として「損益通算」というものがあります。
例えばAという投資で利益が100万円生じ、Bという投資で損失が100万円生じたケースで考えてみます。そしてAの投資で利益が生じた場合の税率は20%とします。
もしAの投資による利益と、Bの投資による損失が相殺できれば、トータルで利益はゼロとなりますから、税金はかかりません。
しかしAの投資による利益とBの投資による損失が相殺できないとなると、Aの投資による利益100万円に対し20%の税率がかかり、20万円の納税が必要となるのです。
この、利益と損失を相殺することを「損益通算」と呼んでいます。
損益通算には2種類ある
実は損益通算には、異なる2種類の意味があります。
1つは、同じ種類の所得間での損益通算です。このことを特に「内部通算」と呼んだりします。
例えばFX取引をしていて、今年5月に50万円の利益、10月に30万円の損失が発生したような場合、両方とも同じFX取引により生じた利益ないしは損失なので、両者を相殺することができます。したがって、今年のFX取引による利益は「50万円-30万円=20万円」となり、この20万円に税金がかかります。
もう1つの意味は、異なる所得間における損益通算です。
例えば今年5月に上場株式の売却により50万円の利益、10月にFX取引により30万円の損失が発生したような場合、上場株式の売却益(分離課税の譲渡所得)とFX取引の損失(分離課税の雑所得)は所得の種類が異なるため、相殺することはできません。
したがって、上場株式の売却益50万円に対しまるまる税金がかかることになるのです。
まずは損益通算のルールを知ろう
このように、同じ「50万円の利益と30万円の損失」であっても、それがどのような投資によって生じたものなのかによって、支払うべき税金の金額が変わってくるのです。
まず、どの所得であっても、同じ所得内である「内部通算」は可能です。そして同じ所得というのはグルーピングがあり、例えばFX取引による損益、先物・オプション取引による損益、CFD(差金決済)取引による損益は同じグループです。したがって、これらについてはそれぞれの利益と損失をネットした上で、損益を計算することになります。
そして、投資ごとの所得の区分けは次のようになっています。
- 上場株式、投資信託などの売却損益:分離課税の譲渡所得(上場有価証券譲渡)
- 上場株式、投資信託などの配当金・分配金:配当所得
- FX取引、先物・オプション取引、CFD取引の損益:分離課税の雑所得
- 暗号資産(仮想通貨)の損益、外貨預金の為替差損益:総合課税の雑所得
- 金(ゴールド)の売却損益:総合課税の譲渡所得
- 不動産の賃貸収入:不動産所得(総合課税)
- 不動産の売却による損益:分離課税の譲渡所得(不動産譲渡)
次回は、各投資の所得による税率の違いや損益通算の仕組みなどをどのように活用し、税金をコントロールしていくのかを考えてみたいと思います。
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