株式投資の教科書によく書いてあること
株式投資の初心者、初級者の方は、株式投資の教科書を読んで学んでいることが多いと思います。
それは必ず必要なことですし、覚えなければいけない用語などもありますから、有意義なことです。
しかし、株式投資の教科書に書いてある内容には、そのまま受け取ると逆に大きな失敗につながりかねないこともある点には注意が必要です。
例えば株式投資の教科書で、チャート(ローソク足)の見方の説明をしている箇所においては、底値圏で長い下ヒゲが生じた場合、底打ちのサインであると書かれていることがとても多いです。
でも、その記述をうのみにして、長い下ヒゲが生じたときに株を買うことを続けていると、時に大きな損失を被ることになりかねないのです。
長い下ヒゲが生じた背景が重要
例えば、10月24日の日経平均株価は、寄り付き直後から株価が大きく下がったものの、そこから急速に切り返して引けました。その結果、日足の株価チャートを見ると長い下ヒゲをつけたローソク足が出現しました。
また、10月4日の底値を一番底とすると、10月24日の下ヒゲの先端が10月4日の底値の少し上の水準となっており、下ヒゲが二番底を形成しているような形に見えたのも確かです。
しかし筆者としては、長い下ヒゲが出たというだけで底打ちとは安易に考えないようにしています。
長い下ヒゲが出たことにプラスして、どのような背景で生じたかが重要だと思っているからです。
なぜ長い下ヒゲが出たら底打ちの可能性が高いかといえば、「我慢して売らずに株を持っていた投資家が我慢できずに投げ売りした結果、もはやそれより下の株価で売りたい投資家がいなくなったために底打ちする」からです。
しかし、10月24日の日経平均株価は、確かに長い下ヒゲをつけてはいますが、株価の位置的にはそれほど大きく下がったわけではなく、投げ売りが生じたような感じも受けませんでした。
長い下ヒゲが生じた位置も重要
例えば長い下ヒゲが生じるケースとして、
・朝方は前日の米国株下落を嫌気して日経平均株価も大きく下落
・その後中国株市場がスタートし、堅調な値動きであるため日本株も少し反発
・米国株の先物が大きく上昇し、つれて日本株も反発を強める
といった流れも十分考えられます。
しかしこの流れでは、持ち株を売らずに我慢していた投資家が我慢できずに投げ売りした、という背景は生じていません。
したがって、確かに下ヒゲはつけたものの、そこからの反発力は弱く、再び下げに転じてしまう可能性も高いと考えられるのです。
では、どのような状況なら長い下ヒゲが生じることで底打ちの可能性が高まるかといえば、
・日経平均株価の25日移動平均線からのマイナス乖離(かいり)が10%を超える
・年初来安値更新銘柄が数百銘柄に達する
・信用評価損益率がマイナス20%に達する
といった環境で、株価が大きく下がった後反発して下ヒゲを付けたような場合です。
長い下ヒゲが生じたら筆者ならどうするか?
日経平均株価や個別銘柄で長い下ヒゲが出た場合、筆者であればまず上記のように、長い下ヒゲが生じた時のマーケット環境を確認します。
そして、株価が大きく下がり、投資家からの投げ売りが生じる可能性が高い状況下で長い下ヒゲが生じた場合、新規の買いや、空売りの買戻しなどを検討します。
ただ、長い下ヒゲを確認した後の買いの場合、株価の位置関係としては
・長い下ヒゲの先端から10%ほどすでに反発している
・5日移動平均線や25日移動平均線からはかなり下に位置している
ということが多いです。この状況で新規買いすると、移動平均線の下に株価が位置していますから、移動平均線割れ絡みの損切りができず、下ヒゲの先端割れで損切りとします。
もし底打ちしておらず、損切りとなった場合、すでに下ヒゲの先端から結構反発していますから、損失が膨らんでしまうのです。
つまり、確かに底打ちの可能性は高いものの、下ヒゲの出現を確認してからの買いというのは、損切りがしにくい状況であることが多いです。
そこで筆者がよく行うのが、日経平均株価が上記のような底打ちの可能性が高い状況で下ヒゲを付けた場合、25日移動平均線をすでに上回っている銘柄や、25日移動平均線をいち早く超えてくるような、相対的に強い銘柄への買いを実行するようにしています。
25日移動平均線からの乖離が小さい銘柄を買うようにすれば、25日移動平均線割れとなった場合も、損切りの額がそれほど膨らまずに済みます。
「長い下ヒゲ=底打ち」の可能性は、他のシチュエーションよりは高いのは確かですが、必ずしも底打ちの可能性が高くない状況もよくあること、そして損切りとなった場合の損失が膨らむ可能性が大きいため、失敗したときのダメージが大きくなってしまいかねないことに注意が必要です。
個人的には無理して長い下ヒゲ出現後即座に大量に買い仕込むよりも、移動平均線超えで上昇トレンドの可能性が高まってから買ってもよいのではないかと思います。
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