今日は、楽天証券の「かぶミニ(単元未満株取引)」を使った、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)投資戦略をお伝えします。新NISAでの投資は来年からしかできませんが、今年の一般NISA投資枠が残っている方は、今年の一般NISAですぐ始められます。もちろん、特定口座でもこちらは非課税投資となりませんが、すぐに投資することができます。

日本株を1株単位で売買できます

 楽天証券のかぶミニを使うと、日本株を1株単位で売買することができます。対象銘柄は、最新の一覧で東京証券取引所に上場している1,602銘柄です。

 かぶミニ(単元未満株取引)取扱銘柄一覧

 日本株は通常100株からしか買えません。そのため株価1,000円で買える銘柄ならば、最低でも10万円(1,000円×100株)ないと投資できません。ただし、楽天証券のかぶミニを使うと、1株1,000円から売買が可能です。

 1株保有しているだけでも、株数に応じて配当金を受け取ることもできます。少額でいろいろな高配当利回り株に分散投資することができます。NISAや新NISA口座で、投資することもできます。

 詳しくは、以下を参照してください。
かぶミニ(単元未満株取引)

 今日は、みなさまに「かぶミニ」を使った、手作り「高配当利回り株ファンド」の作り方を解説します。米国で有名になった「ダウの犬」戦略を日本株に応用します。

「ダウの犬」戦略とは

 米国で有名になったことのある投資手法です。投資方法は極めてシンプルです。

【1】NYダウ(ダウ工業株30種平均)採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等しい金額を投資します。

【2】 1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。

【3】1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

 これだけです。このシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスをあげられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。

「ダウの犬」を日本株に応用

 この方法は、日本株にも応用可能です。NYダウは米国に上場する時価総額の大きい30銘柄から構成されます。日本でいえば、時価総額上位30社は「コア30」といわれる指数です。

 コア30に入る30銘柄から、配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略を採ることができます。楽天証券と資本関係のある、みずほフィナンシャルグループ(8411)は除外して選びます。

 10月30日時点で、上記の方法でコア30から選んだ配当利回り上位10銘柄は、以下の通りです。この10銘柄でポートフォリオを組めば、「ダウの犬」とほぼ同じ戦略を採ったことになります。

東証一部コア30採用銘柄のうち、予想配当利回り上位10社(除くみずほFG):2023年10月30日時点

コード 銘柄名 業種 配当
利回り
株価:円
10月30日
1株
当たり
配当金
:円
9434 ソフトバンク 通信 5.1% 1,681.0 86
4502 武田薬品工業 医薬品 4.7% 3,988.0 188
4503 アステラス製薬 医薬品 3.7% 1,893.5 70
8766 東京海上HD 保険 3.7% 3,282.0 121
8316 三井住友FG 銀行 3.5% 7,122.0 250
8306 三菱UFJ FG 銀行 3.3% 1,230.0 41
7267 ホンダ 自動車 3.3% 1,527.5 50
9433 KDDI 通信 3.2% 4,421.0 140
8001 伊藤忠商事 商社 3.0% 5,363.0 160
8058 三菱商事 商社 2.9% 6,924.0 200
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(2024年3月期会社予想)を10月30日株価で割って算出
注:ホンダの1株当たり配当金は2023年9月30日付で1株→3株の株式分割を行ったことを考慮して修正

新NISAで長期投資、手作り高配当株ファンド

 それでは、利回り上位10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。10銘柄にほぼ等しい金額ずつ投資することが求められます。

 完全に同じ金額にすることはできませんので、なるべく等金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。全体の金額は約4万6,000円です。このポートフォリオの平均配当利回りは3.6%です(実際に買い付ける場合にかかるスプレッドを考慮しないベース)。

東証一部コア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り3.6%)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 上記ポートフォリオの構成銘柄は、業種別に並べ替えてあります。景気敏感株は赤色で、景気変動の影響が相対的に小さいディフェンシブ株は水色で表記しています。ディフェンシブ65%、景気敏感35%で良いバランスにできあがっていると思います。

 新NISA「成長投資枠」で上記ポートフォリオを組み、長期投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると考えています。