企業のIT支出低迷もファンダメンタルズ堅調、採算化などの目標達成へ
現地コード | 銘柄名 |
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00268 |
金蝶国際軟件集団 (キンディー・インターナショナル・ソフト) |
株価 | 情報種類 |
10.22HKD |
株価 企業情報 チャート |
2023年7-9月期の業務指標や直近の事業の進展を理由に、BOCIは金蝶国際ソフトが「2023年のARR(年間経常収益)30億元」「2025年の損益分岐点到達」といった自社のガイダンスを達成する可能性が高いとみている。また、中国のエンタープライズソフトウエア業界において、同社は財務、人事、税務SaaS(Software as a Service)分野の主要プレイヤーであり続けると予想。中国マクロ経済の回復に伴い、米国に比べて遅れていたSaaSセクターの再評価が始まる可能性を指摘した。目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
同社の7-9月期の業務指標はBOCIの予想を上回った。マクロ経済やIT支出の減速に直面しながらも、同期のARRは前年同期比40%増の26億7,000万元を達成。クラウドサービス「金蝶雲」のNDR(売上継続率:既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標)は大企業向けの「蒼穹」と「星瀚」の105%を筆頭に、中小企業向け「星空」、小企業向け「星辰」、「精斗」が95%、90%、86%だった。クラウドNDRの堅調に加え、賽力斯集団、吉利汽車(00175)、東風汽車などとの新規のクラウドサブスクリプション契約が、2023年下期のARRの伸びを支える見通しという。
マクロ経済が停滞する中、経営陣は2023年とそれ以降に関する以下のガイダンスを据え置いている。◇2023年末までにARRの30億元到達、◇2023年の純営業キャッシュフロー6億元と、2023-26年に年率平均50%超の拡大、◇2025年の損益分岐点到達。BOCIは7-9月期の堅調と、季節要因による10-12月期の新規契約の拡大見通しを指摘し、2023年通期に関する二つのガイダンスは達成可能とみる。
一方、同社は8月に金蝶GPTを立ち上げ、顧客向けに財務のAI機能を進化させている。BOCIはAIに対する市場の関心は段階的に、ハードウエアインフラから、川下のソフトウエアアプリケーションに移行しつつあるとの認識。中国の中核的なエンタープライズソフト・プロバイダーである同社への恩恵を見込む。また、マクロ経済の緩やかな回復を受けた企業のIT支出の拡大により、中国のSaaSセクターの株価はこの先、底入れするとの見方。2023年には米国でSaaS銘柄の再評価が進む半面、中国は遅れを取ったが、この先、米国とのバリュエーション格差は収束に向かうとみている。
BOCIは2023-25年の収益見通しを据え置いたが、この予想値に基づく現在株価のバリュエーションは、2024年予想PSR(株価売上高倍率)で4.9倍。クラウド、ERPの両事業にそれぞれ同8倍、同9倍をあてはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては企業のIT支出の低迷長期化、多額の研究開発費による利益下押し、一段の競争激化の可能性や、サブスク継続率に関する不透明感を挙げている。
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