3日の日経平均は521円安、ボックス圏の下値割れ
3日の日経平均株価は521円安の3万1,237円となりました(日中の安値は3万1,157円)。これで、7月以降に形成していたボックス圏の下値(8月18日の日中安値3万1,275円)を下回りました。
10月1日にも米政府機関が閉鎖になる危機は、米議会が11月中旬までのつなぎ予算を超党派は可決したことで、ぎりぎり回避しました。ところが、米インフレ収束が遅れ、米金利上昇が続いている不安は解消されていません。米金利上昇を懸念したグローバル投資家のリスクオフ(株などのリスク資産の組み入れを低下させる動き)がまだ続いている可能性があります。
日経平均週足:2023年1月4日~10月3日
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短期の動きはテクニカルで決まる。二番天井のリスクも
目先の日経平均を考える時、テクニカル分析は必須です。なぜならば、短期はテクニカル(需給)で決まることが多いからです。長期はファンダメンタルズ(景気・企業業績)で決まりますが、短期はファンダメンタルズを無視して、需給主導で動くことがあります。
そこで、ファンダメンタルズの議論は横に置いて、テクニカル分析の視点から日経平均を見てみましょう。
(再掲)日経平均週足:2023年1月4日~10月3日
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9月3日の日経平均が、6月以降に形成したボックス圏の下値を割ったことで、テクニカル分析の観点では、日経平均が二番天井をつけて下がる可能性も出てきました。
ただし、6月に高値を抜けた時にたてた大陽線は強く、3万1,000円辺りが強力なサポート(下値支持線)となる可能性もあります。以上が、日経平均週足を見た感想です。
次に、日経平均の動きを支配している外国人の投資スタンスに大きな影響を与える、米国ナスダック総合指数のチャートも見てみましょう。外国人投資家は今、米金利の上昇と米国株の下落を懸念しているから、ナスダックを見るのは大切です。
ナスダック総合指数週足:2023年1月3日~9月29日
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ご覧いただくと分かる通り、ナスダックも、二番天井をつけて下がる可能性のあるチャートとなっています。もし、このままナスダックの下落が続くと、外国人のリスクオフ姿勢が強まり、日経平均がさらに売られる可能性があります。
日本株が割安で、長期的に良い買い場との投資判断は変わりません。ただ、テクニカル分析からは、短期的には注意が必要です。
日本の景気・企業業績改善が続けば、二番底から反発の可能性も
前段では、ファンダメンタルズを横に置いて、テクニカルから注意すべきことをお話ししました。次に、日本のファンダメンタルズも併せて、考えます。
9月の日本銀行短観DIで示された通り、日本の景気・企業業績はあしもと好調です。東証プライム市場の平均PER(株価収益率)は約15倍まで低下しており、割安と判断しています。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2018年3月~2023年9月
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良好な日本のファンダメンタルズが変わらない限り、日経平均がこのままずるずると下がっていく可能性は低いと思います。
米国株・日本株ともに米金利上昇ショックで短期的に下がるものの、米景気が堅調を維持し、日本の景気回復が続けば、いずれ割安な株価が見直されて、日経平均は反発に転じると予想されます。
もし、日本のファンダメンタルズが変わらず、日本株が3万1,000円辺りを底に反発するならば、以下の通り、二番底をつけての反発となる可能性もあります。
(再掲)日経平均週足:2023年1月4日~10月3日
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日経平均をもう少し、長い期間のチャートで見てみましょう。
日経平均週足:2020年1月6日~2023年10月3日
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長期的に眺めると、日経平均は乱高下を繰り返しながら上昇しています。2023年4~6月の上昇ピッチが速すぎたことから、目先、スピード調整が続く可能性はあるものの、米景気がリーマンショックのような景気後退にならない限り、スピード調整の後、また上値をトライしていくと私は考えています。
結論として、短期的にシートベルトを締め直す必要はあるものの、時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与するとの考えは変わりません。
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