※この記事は2021年7月21日に掲載されたものです。
▼Profile
株式会社ウェルスペント 横田健一さん
ファイナンシャルプランナー。大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。YouTube「資産形成ハンドブック」も人気上昇中。
FIREとは何か
最近、さまざまなメディアで「FIRE」というキーワードが取り上げられ、若い世代を中心に注目を集めています。ここでいうFIREとは、Financial Independence, Retire Earlyのことで、経済的自立と早期リタイアを実現していく新しいライフスタイルです。
「経済的自立」というのは、自分に必要となる生活費を、基本的に金融資産や不動産などの資産から得られる収入で賄っていける状態です。例えば生活費が年間400万円であれば、資産収入として400万円ほど確保するということです。
一方、早期リタイアというのは、一般的には定年と言われる60歳よりも前に退職することを意味しますが、FIREでは60歳の少し手前というより40代や30代でリタイアする方が出ており、中には30歳前後という方もいます。
このリタイアというのは、必ずしも働くことをやめるわけではなく、「お金のために働く人生から脱却する」といったニュアンスです。働かねばならない人生から、働きたければ働く、そうでなければ自由に過ごす、そんな人生へと舵を切ることを意味しています。
このような話をすると、「起業して一攫千金を狙うのか?」「宝くじでも当てるのか?」などと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
FIREを実現していくために筆者は次の3つが重要だと考えています。
1.自分の価値観を再確認し、今後のライフプランを決めていく
2.足るを知り、無駄なものにはお金を使わない
3.再現性が高く仕組み化できる運用方法で資産を維持管理する
上記3点なら、一会社員でも、実現不可能なプランではありません。以下、もう少し具体的に説明させていただきます。
1.自分の価値観を再確認し、今後のライフプランを決めていく
人生は一度きりです。どこに住み、どんなことをして過ごすのか、人生は人それぞれです。人生100年時代、60歳定年で完全リタイアする方もいれば、65歳、70歳まで働き続ける方も増えています。
お金のために働き続ける人生を選ぶのも、できるだけ働く期間を短くする人生を選ぶのもあなた次第。また、働き続けるとしても、負担が大きいものの食べていくために必要な「ライスワーク」なのか、やりがいと手応えを感じられる「ライフワーク」なのか、で大きく異なります。
長い人生いつまでどのように働いていくのか、どのような家族を持ちたいのか、などご自身のライフプランを明確にすることが重要です。
2.足るを知り、無駄なものにはお金を使わない
もっともっとと上を見上げたり、他人と比較して、より大きな家を、より高い車を…と比較してもキリがありません。筆者は、人生の目的は「幸せな人生を送ること」だと考えていますが、その幸せの感じ方は人それぞれです。ご自身にとって満足のいく幸せな人生を送るためには、どのくらいのお金をどのように使っていけばよいのか、自分と向き合ってしっかり考えていくことが大切です。
筆者が知る、FIREを達成した方の中には、コンビニで買うペットボトル飲料は、自分には無駄な使い方だと考え、ご自宅で白湯をマイボトルに入れて持ち歩いているという方もいます。これは少し極端な例に思えるかもしれませんが、コロナ禍でリモートワークが浸透する時代において、例えば家賃12万円の方が、少し郊外に移り家賃を8万円に下げるといったことなら現実味があるのではないでしょうか。
また、日本人は保険好きと言われますが、本当に必要な分だけ保険に加入されている方は非常に少ない印象があります。例えば生命保険で言えば、遺族年金を含めた公的年金保険や、死亡弔慰金、遺児育英年金などのお勤め先の保障といったすでに存在している保障を考慮した上で、足りない分だけ民間の保険に加入すればよいのですが、きちんと確認されている方は多くありません。
さらに預貯金に偏重しているのも日本人の特徴です。現在の預貯金金利ではいつまで経ってもお金は増えません。ある程度を確保できたら、適切に投資をしていくことで、より豊かな人生につながる可能性が高まります。
FIREを実現するためには、現在の支出、お金の使い方をゼロベースで見直すことが大切です。
3.再現性が高く仕組み化できる運用方法で資産を維持管理する
FIREのうち、最初の2文字、Financial Independenceを実現できたと思っても、その後の人生では構築した資産を適切に維持管理していくことが重要です。そして、そのためには再現性が高く、仕組み化できる方法が適切だと考えています。
例えば、一日中スマホで、株式やFXなどマーケットの動向を見ながら取引したり、将来の値上がり益を期待して海外不動産を購入したり、といった方法は再現性が低く、また仕組み化もできません。
負担が少なく継続しやすい、という点で、有力な選択肢は、投資信託を利用して株式を中心とした金融資産へ分散投資する方法や、家賃収入を生み続ける不動産を所有する方法だと考えていますが、とりわけ手軽に始められるのは前者でしょう。
FIREを達成したのであれば、マーケットを見てハラハラドキドキすることなく、心穏やかに思う存分その後の人生を楽しんでいただくのがよいと思います。
最後に
今回はFIREというライフスタイルをご紹介させていただきました。
ライフスタイルは人それぞれです。FIREというのはその中の1つにすぎませんし、FIREと言っても実際にはさまざまなスタイルがあります。
結果としてFIREを選ぶかどうかは別として、ご自身の時間とお金をどのように使って今後の人生を歩んでいくか、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
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