今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは146.40

 ↓下値メドは144.70 

労働市場の不合理:人手不足だと騒いでいるのに、実質賃金は下がる一方 
ブランド市場:ヴィトン・ロング、エルメス強気、フェラガモ弱気、バーバリー中立  
AI:生成AIが人間と機械とのコミュニケーションを向上させるツールになることを期待
原油:年末まで減産継続した場合、サウジのGDPは2.0%縮小 
NZ金融政策:1年9ヵ月続いたRBNZの利上げサイクルが終了へ。2024年は大幅利下げへ
RBA:7月の利上げ見送りはRBAの「政策ミス」。インフレに対して十分に引締め的ではなかった  英インフレ:ベイリーBOE総裁「英国のインフレは受け入れがたいほど高い」
米インフレ:メスター・クリーブランド連銀総裁「米国経済の一番の問題はインフレ」

市況

 米カンザスシティ連銀が主催する、毎年恒例の経済政策シンポジウムが開催されるジャクソンホールは、ワイオミング州に位置する全米有数の観光地であり避暑地でもある。ジャクソンホール会合は24日から26日までの日程で、今夜25日にはパウエルFRB議長の講演が予定されている。

 この会合に参加するために世界各国から中央銀行総裁、政治家や学者が集まり、高級リゾートホテルに宿泊する。もちろん日銀の植田総裁も出席する。金融関係者の日銀の政策に対する関心は低いだろうが、植田総裁の新しいジョークには楽しみにしているだろう。

 2023年167営業日目のドル/円は、前日比「円安」。24時間の値幅は1.36円。

 8月24日(木曜)は144.76円からスタート。前日とは逆に、この日はドル買い優勢の相場だった。東京時間朝にやや下げてつけた144.60円がこの日の安値で、その後は上昇を続けた。欧州市場で145円に乗せるとさらに夜遅くには145.96円まで上値を伸ばして高値をつける。終値は145.85円(前日比+0.99円)で、前日に下げた分をほぼ全て取り戻した。

レジスタンス:
145.96円(08/24)
146.40円(08/22)
146.40円(08/21)

サポート:
144.60円(08/24)
144.53円(08/23)
144.39円(08/11)

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がジャクソンホール会合で、金融政策の見通しについてタカ派的な発言をするとの見方が強く、米国金利の上昇がドルを押した。これがドル高につながった。

 米国の雇用市場は堅調で、小売売上高も予想以上に伸びた。その一方でNY連銀製造業景況感調査は全般的な経済活動の大幅な悪化を示し、PMI(購買担当者景気指数)は予想を下回った。米国金利上昇期待と景気減速懸念が交錯するなかで一方的なドル高も抑えられている。

 ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「景気後退の証拠はない」として、利下げはまだ先だと明言している。ボストン連銀のコリンズ総裁は、さらに強気で「追加的な利上げが必要」かもしれないと述べるが、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、「年内に追加利上げを実施する必要はない」との認識だ。FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録は、年内にあと25bpの利上げを実施する可能性を示しているがFRB内部でも意見がわかれている。今夜のパウエルFRB議長の講演にマーケットは強い関心を持っている。

出所:楽天証券作成

主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング

今日の一言

銀行とは、金を借りる必要がない事を証明できる者にだけ金を貸すところである

Highway to Hell

 FRBが金融政策の運営にあたって課せられている法的使命は「物価の安定」と「最大限の雇用」を達成することであり、FRBのデュアル・マンデートと呼ばれる。

 このデュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCEが2%の水準だ。PCEとは個人消費支出の略で、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。

「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4%と見積もっている。

 パウエルFRB議長の理想は、失業者を出さずにインフレ目標を達成することである。失業率は自然な人口動態と労働力の変化によって上昇させる。しかし、この理想の実現は非常に困難である。

 FRBは「雇用の最大化」を達成した。あと残るのは「物価の安定」、すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることである。

 CPI(消費者物価指数)は、昨年6月のピーク時から1/3に低下した。しかし、下落の大部分はベース効果とエネルギー価格の下落のおかげだ。ベース効果は1年後には消えているし、エネルギーが今後も低価格で推移するという保証はない。

 一方、6月のコアPCEは前年比4.1%で、1年前の4.8%と比べてほとんど下がっていない。賃金上昇率は4.0%以上で高止まり、賃金と物価のスパイラルの脅威にも直面している。FRBはインフレとの戦いに勝利したのか?もしFRBがコアPCEに注目しているならば、決してそうではない。

 CPIの低下を受けて、利上げ終了との見方が強まっている。たしかに政策金利はピークに達したと思われる。注意しなくてはいけないのは、利上げ終了と利下げは全くの別物であるということだ。長期間にわたる高金利の維持と、労働市場の大幅な調整の必要性が残っている。FRBの仕事はまだ終わっていない。

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今週の注目経済指標

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今日の注目テクニカルレベル

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Winners & Losers

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