今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは142.35円
↓下値メドは137.25円
米経済:ソフトランディングを超え「ノーランディング」の期待
米インフレ:インフレ2.0%に低下と引き換えに150万人の雇用喪失
米利下げ:利下げの目的が引締めの解除から、緩和政策を提供することにかわる
米銀:SVBショック後、融資の伸びが急ストップ。ソフトランディングに対する深刻な脅威
米経済:ロックハート前アトランタ連銀総裁「米経済のソフトランディング達成は難しい」
人民元:海外投資家は地政学リスクを懸念、中国への投資に慎重に
ECB:「やりすぎる政策よりやらなすぎる政策のコストの方が大きい 」
ECB:シュナーベル理事「インフレがピークを越えただけでは、勝利宣言には不十分」
RBA:「インフレ対策に一刻の猶予も許されない」日銀「数年かけて政策を見直すつもり」
市況
今日の最大の焦点は、日銀が現在開催中の金融政策決定会合における、YCC(イールドカーブ・コントロール)政策の見直しの有無だ。
今回は、緩和政策の現行維持というのがメインシナリオである。しかし一部には、植田総裁が男気を見せてYCC政策の変動幅を拡大するとの期待もある。
日銀が今回の会合で物価見通しを1.8%から2.5%程度まで大幅な上方修正をすると見られている。そうなればウルトラ緩和政策の継続と整合性がとれなくなるからだ。IMF(国際通貨基金)が日銀に対してYCC政策の廃止を促したことで、海外投資家の期待も高まっている。
しかし「インフレは持続しないから政策は現状維持」というのが日銀のスタンスだ。日本のインフレが持続する確固たる証拠が不足していることを理由に、方向性は示しながらもYCC変更の最終判断を先送りすることも考えられる。
2年前はFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長も、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁も、「インフレは一過性」で「予防的に利上げすることはない」と大言壮語していた。そして今どうなっているか? FRBが1年半で5.25%も金利を引き上げても「インフレ率は高止まりしている」。
日銀は、緩和終了を遅らせるほど、いったん始まったときの利上げは急激で大幅になるというFRBの例に学ぶべきだろう。
7月27日(木曜)のドル/円は、前日比「円高」。24時間の値幅は2.56円。
2023年149営業日目は140.20円からスタート。
東京市場は140円を中心に上下に荒い動きを続けた。NY市場では、米国の第2四半期GDP(国内総生産)の速報値や雇用関連の経済データが強く、FRB再利上げの見方が強まるなかで米長期金利が上昇、夜遅くに141円を超え141.32円まで上値を伸ばした。
ところが、日銀が現在開催中の金融政策決定会合で、YCC政策における金利上昇幅拡大の容認方向で議論しているとの報道を受け急落すると、明け方には138.76円まで円高に動いた終値は139.55円(前日比▲0.69円)。
2023年 ドル/円 データ
レジスタンス:
141.32円(07/27)
141.73円(07/25)
141.83円(07/24)
141.95円(07/21)
サポート:
138.76円(07/27)
137.68円(07/18)
137.24円(07/14)
136.29円(05/17)
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
想像力のない奴に、翼は持てない -モハメド・アリ
Heart of Glass
日本のインフレが止まらない。2023年の飲食料品の値上げ品目数が3万品目を突破した。今バブル崩壊以後の30年間でも異例で、記録的な22年(2万5768品目)を上回り、過去最大級の値上げラッシュとなっている。10月には酒類や調味料などを中心に、さらに3716品目が値上げの予定がある。
企業は、原材料価格や物流費の高騰、円安で値上げは仕方ないと消費者を説得する。しかし、実際はどうか。原油価格はウクライナ戦争前の水準まで下がり、インフレどころかディスインフレ状態である。ウクライナ戦争で小麦不足が言われているが、実は欧州連合(EU)欧州委員会は、割安な価格のウクライナ産穀物の大量流入がEU農家に痛手を与えているとして「輸入制限」をしている。
つまり、現在の値上げの多くは便乗値上げなのだ。原材料費、エネルギーコストの上昇など合理的な理由によって値上げを行う際に、その差額以上の値上げをすることである。消費者に気づかれる前にできるだけ多くマージンを上乗せする「企業努力」をしているのだ。
インフレに対応する日銀の政策について聞かれた植田総裁は次のように語っている。「金融政策の引き締めの遅れで2%を超えるインフレ率が持続するリスクより、拙速な引き締めで2%の物価安定目標を実現できなくなるリスクの方が大きい。」つまり、何もしたくないということである。ECBは「やりすぎる政策よりやらなすぎる政策のコストの方が大きい 」と警告する。
植田総裁は、日本のインフレが十分に育つ前に萎れてしまうことを心配しているようだ。しかし、どうぞ安心してほしい。FRBのパウエルFRB議長も、2年前の21年6月の議会証言では「インフレは一過性」で「FRBは予防的に利上げすることはない」と語っていた。同時期のECBのラガルド総裁も「政策対応は時期尚早である」と大言壮語していた。
FRBとECBの予測が正しければ、現在の米国と欧州のインフレ率はすでに2%以下になっているはずだ。しかし現実は、米国のインフレは瞬く間にFRBの目標値の2%を超え、一時は9%まで上昇した。FRBが5.00%以上も金利を引き上げても、なお目標の2倍の水準で高止まりしている。欧州のインフレ率も一時10.0%を超えた。2年後の日本のインフレ率がどうなっているか楽しみである。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
Winners & Losers
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