不動産開発業務の低調を賃貸部門がカバー、2023年上期に5-10%のコア増益見通し

現地コード 銘柄名
01109

華潤置地

(チャイナ・リソーシズ・ランド)

株価 情報種類

32.20HKD
(7/21現在)

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 中国政府系の不動産デベロッパー、華潤置地の2023年6月中間決算について、BOCIは不動産開発部門の減収を見込み、部門粗利益率も前年同期の22.8%から約20%に悪化するとみている。ただ、不動産投資部門の賃貸収入の伸びと粗利益率の改善(65.5%から70%強への改善を予想)が、開発部門の低迷をカバーするとの見方。結果的に、同社全体の売上高は前年同期比横ばいで、粗利益率は前年同期の26.9%から小幅に上昇、コア純利益は前年同期比5-10%増加すると予想している。同社の力強い経常収益基盤に加え、積極的な開発用地の取得や、同業他社を上回る物件販売成績を高く評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社の物件成約額は2023年上期に1,700億元で、前年同期比では41%増。不動産セクターでトップクラスの好成績だった。通期の成約目標は明らかにしていないが、BOCIは前年比10%増を予想。仮に下期の成約額が前年同期比11%減の1,610億元にとどまっても、この通期予想は達成可能だとしている。ちなみに下期に分譲対象となる開発物件は推定3,600億元規模。上期の分譲対象だった4,200億元のうち1,700億元は成約済みであり、下期に新たに1,100億元分を上乗せする見通しという。

 同社は上期の土地市場において、最も積極的な動きを見せたデベロッパーの1社。上期には35区画(延べ床面積800平方メートル規模)を新たに取得した。取得代金は総額1,020億元で、持ち分換算では710億元。うち複数の区画で、商業ビルを含む総合開発プロジェクトを進める予定となっている。

 一方、同社が保有する投資不動産の賃貸収入は上期に122億元と、前年同期比で50.2%増加した。コロナ禍にあった22年6月に、テナント賃料の一部減免を行ったことが増収率を押し上げた要因。6月単月の賃料収入は前月並みだったが、上期の賃料収入は1-5月の前年同期比20.4%増から急加速した。経営陣によれば、保有投資物件(ショッピングモールなど)における小売売上総額は上期に39%増と好調で、6月単月では24%の伸びを示したという。ただ、月次報告に記された賃料収入の50.2%増は非連結部分を含む数字。BOCIは連結ベースではこの伸び率を下回る可能性があるとしている。

 BOCIによると、同社株価は現在、2023年予想PBR(株価純資産倍率)0.8倍で取引されており、1株当たり予想NAV(純資産価値)の46.78HKドルに対して31.2%のディスカウント水準。2023年予想PER(株価収益率)では7.5倍に当たる数字となる。強固な経常収益基盤や堅実なバランスシート、業界トップクラスの物件販売伸び率などを考慮すれば、かなりの低バリュエーションにあると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面でのリスク要因としては、中国不動産市場の回復の鈍さが、収益成長の重しとなる可能性を挙げている。