今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは138.90円
↓下値メドは137.60円
ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間):カネ余り時に生じた債務膨張や過剰投資が限界を迎え、その反動として資産価格の急落や流動性の急低下などが始まるポイント
ドル:脱ドル化が恐ろしいスピードで進行中
生活コスト:米家庭の35%が「生活が苦しくなった」- FRB調査
ECB:ビルロア理事「政策金利は高さより長さが重要」
日銀:7月にYCC政策修正の期待
市況
先月6月の安値は138.40円、昨日の終値は138.07円。1カ月間かけてコツコツと貯めこんだ円安貯金の6.50円を、ドル/円はたった1週間で全て溶かしてしまった。
7月13日(木曜)のドル/円は、前日比「円高」。24時間の値幅は1.04円。
2023年139営業日目は138.44円からスタート。高値は、夜遅くつけた138.96円。米雇用関連のデータが強かったことに反応して円安に動いた。しかしすぐに売り戻されると、未明には138円を割り137.91円まで下落した。終値は138.07円(前日比▲0.38円)。6営業続落となった。
下値のメドは137.50円、その下は136.30円。
上値のメドは138.95円、その上は140.35円。
このドル安/円高の理由は、6月のNFP(非農業部門雇用者数)の増加数が予想を下回ったことがきっかけだった。就業者数の伸びはこの1年で初めて予想を下回る「ダウンサイドサプライズ」となった。
そして、今週された米国のCPI(消費者物価指数)は、1年前の1/3の水準である前年比3.0%まで下落。下落傾向がはっきりしてきた。この日発表された6月PPI(卸売物価指数)も下落した。卸売物価指数は小売業者のマージン上乗せが含まれていないので、インフレの実態をより正確に反映する。FRBはインフレの高止まりを過度に心配する必要はなくなり、いよいよ利上げサイクルに終了が近づいてきた。
対照的に、日銀の作業はこれからが本番だ。マーケットは日銀が今月の会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)政策を引締め方向に調整すると期待している。これによってドル売りと同時に円買いが発生している。大きく積み上がった円売りポジションのストップロスも円高を加速させているようだ。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
偉大な人間はアイデアについて話し、凡庸な人間は出来事について話し、狭量な人間は人々について話す
Go Your Own Way
インフレ期待とは、物価の行方を人びとがどう見るかの予想だ。「インフレ期待が安定」しているときは、物価の上昇が続かないと予想する人が多く、物価上昇の抑制効果がある。しかし、「インフレ期待が不安定」になると、物価の上昇が続くと考える人が多くなり、買い占めや売り惜しみ、あるいは賃上げ要求といった行動が発生しやすく、現実の物価を押し上げ加速させることになる。
中央銀行の仕事は、金利を調節することによってインフレ期待を安定させ、物価高との悪循環を防ぐことだ。まさに今、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)が行っていることである。
FRBは1年間で述べ5%を超える利上げを続けることで、ようやくインフレ率をピーク時の半分まで下げることはできた。それでも、依然としてFRBの目標値2%より高い水準にとどまっている。ここままインフレと利上げのデッドヒートが続けば、いずれかの時点で経済が耐えられなくなり、深刻な景気後退が発生するリスクが高まる。
FRBは6月のFOMCでは利上げを見送ったが、パウエルFRB議長は、利上げペースを緩めたのであって、利上げサイクルの終了ではないと強調している。FRBが利上げを続けるのは、今を逃してしまうとインフレ期待が暴走してしまうからだ。RBA(豪準備銀行)やカナダ中銀は、インフレが再燃して再利上げに追い込まれている。
世界の中央銀行にとって、インフレ期待の定着は悪夢でしかない。しかし、日銀は何十年もの間、そうなることを望んできたのだ。
日銀は逆にインフレ期待を刺激することに集中している。円安を煽って輸入インフレに火をつけ、日本人に物価上昇を長く経験させることで、インフレ期待を形成させようとしてきた。
そして、ついに日銀はインフレの離陸に成功した。日本の消費者のインフレ期待は急激に上昇している。(2023年7月13日)
植田日銀総裁は「長期的に2%のインフレ目標が達成された暁には、インフレ予想も大体2%になる」とインフレ期待が定着することを期待している。しかしインフレが都合よく2%で止まるはずないのは、他国が証明している。
もっとも、日銀は利上げしたくても、絶対にできない理由がある。将来税収で返済する必要がある国の長期債務残高、いわゆる「国の借金」は昨年6月末時点で1,255兆1,932億円だったと財務省が発表した。国民1人あたりで単純計算すると、初めて1,000万円を超えた。慢性的な財源不足が続いているほか、新型コロナ対策の巨額支出も借金増に拍車を掛けている。債務残高はここ10年で1.5倍に急増した。
金利が上昇した場合の利払い費負担が財政運営にとって重大なリスクとなる。
日銀が利上げによって円安を抑える、あるいはインフレを抑制することは、ほぼ不可能な状態になっているのだ。
今週の注目経済指標
今日の注目テクニカルレベル
Winners & Losers
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