THE S&P 500 MARKET: 2023年6月

 6月の市場は値上がり銘柄数が圧倒的に優勢となり、S&P500指数構成銘柄のうち454銘柄が上昇し(155銘柄が10%以上上昇)、5月の124銘柄から大幅に増加しました。これにより、年初来では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を再び上回り、300銘柄が年初来で上昇(116銘柄が20%以上上昇)しています。また、6月は11セクターすべてが上昇しました。6月の市場は全体的に押し上げられ、S&P500指数の配当込みのトータルリターンはプラス6.61%となりました。過去数カ月の市場は時価総額の大きい一部の銘柄が主導権を握り、全体としては値下がり銘柄数の方が多く、足を引っ張っている状況でした。一部の銘柄が主導権を握る状況は続いており、S&P500指数の年初来のトータルリターンはプラス16.89%となっていますが、指数上昇への貢献度でトップ44銘柄を除くと年初来のトータルリターンはマイナスです。とはいえ、5月時点ではトップ44銘柄ではなく8銘柄を除くとマイナスとなっていました。Apple(AAPL)とTesla(TSLA)が6月も引き続きトップに君臨し、Alphabet(GOOG/L)と月後半にはSalesforce.com(CRM)が、月間の騰落率に大きくマイナスに寄与しました。それでも、6月の市場は幅広い銘柄がプラスに寄与しましたが、年初来で見ると、一部の銘柄が牽引する状況に変わりはありません。S&P500指数は依然として超大型株の比重が高い状態にあり、上位10銘柄で時価総額の30.5%を占めています(通常は20%台前半でした)。6月の注目点として、半導体企業のNVIDIA(NVDA)が時価総額1兆ドルクラブの仲間入りを果たし、Appleは上場企業として初めて時価総額が3兆ドルに到達し、S&P500指数に占める割合が過去最高の7.72%に達しました。現在、1兆ドルクラブには他に、Microsoft(MSFT)、Alphabet、Amazon(AMZN)が名を連ねています。
新規株式公開(IPO)市場も息を吹き返しましたが、パフォーマンスはまちまちです。地中海料理チェーンのCAVA(CAVA)はIPO価格22ドルで上場し、初値42ドル、一時は47ドルまで上昇しましたが、現在は40.95ドルとなっています。

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