※このインタビューは2021年1月30日に実施し、2021年2月19日に初回掲載したものです。

 2020年秋に出版した『10万円から始める!割安成長株で2億円』(ダイヤモンド社)という書籍が話題の弐億貯男さんのインタビュー、中編をお届けします。

 弐億さんは、「割安成長株」を購入し、株価が高騰したら売却するという方法で資産を築きました。中編では、その割安成長株投資の詳細を伺いました。

「成長銘柄」をプールしておき、割安になったら購入する

──ここからは、割安成長株投資についてさらに詳しくお伺いします。
 まず、どうやって割安成長株を探すかという点です。単に「株価が安い銘柄」なら、株価をチェックすればいいですが、「本来の実力より株価が安い銘柄」はどうやって探すのでしょうか。

「PER(株価収益率)」や「PBR(株価純資産倍率)」など、割安かどうかを知る指標があるので、難しいことではありません。

 どちらも企業情報などに出ていますが、そのうち僕は「PER」を参考にしています。簡単にいうと、その会社が稼ぎ出した収益に対して株価が安いか高いかを示す数値で、「10倍」「20倍」などと表されます。

──もうかっているのに株価が安い銘柄はいずれ上がるはずだから買っておいて損はない、ということでしょうか。

 はい。収益に対して株価が安いとPERは低くなります。

──PERが低いほど狙い目ということですね。弐億さんはPER何倍以下で購入を検討するのですか。

 僕は15倍以下の銘柄を目安にしています。そこは人にもよると思います。

──なるほど。証券会社のサイトなどにはスクリーニング機能があり、「PER15倍以下」などと入力して簡単に探すことができますよね。

 僕も前はよく使っていました。

──今はあまり使わないのですか。

 最近は「成長性」から入ることが多いです。投資サイトや投資関連のツイッターなどを見ていると、こういう会社が好調だとか、急成長しているとか、いろんな情報を目にします。僕はブログをやっているので、読者から「面白い会社がありますよ」と教えられることもあります。

 そういう情報を入手したら、とりあえず業績を調べてみます。それでよさそうだったら、プールしておくんです。具体的には、ある投資サイトに登録しておきます。それで、PERが15倍以下になったら購入を検討します。

──成長が期待できる会社が見つかったとしても割安とは限らない。だから、とりあえずプールして割安になったら買う、ということでしょうか。

 そういうことです。成長企業ともなればそれなりにPERが高いものです。PER15倍以下の企業なんてゴロゴロ転がっているわけではありません。だから、よさそうな銘柄はプールしておいて、割安になったら購入します。

──今は何社くらい登録されているのですか。

 50社くらいです。

──「予備軍」ですね。

 そうですね。ただし、50社登録しても購入するのはごくわずかです。いつまで経っても割安にならず、一度も買うことなくリストから外すこともよくあります。

2、3年後に株価が2倍、3倍になりそうな銘柄を狙う

──保有銘柄は10銘柄ほどと伺いました。

 前はもっと持っていました。投資を始めた頃って、よさそうな銘柄があると、つい買いたくなるんです(笑)。だから、少しずついろいろな銘柄を買ってみたり。

──長く経験する中で、10銘柄程度に絞られていったのですか。

 はい。自分がコレだと思う銘柄に集中投資したほうが利益を生みやすいので、あまり分散しすぎるのは効率的ではないように思います。かといって3つ、4つに集中させるのはリスクが大きいです。

──弐億さんは割安な銘柄を買い、高騰したら売却するという方法を取っていらっしゃいます。どのくらいのスパンで売却を考えるのですか。

 基本的には2~3年です。2~3年で株価が2倍か、3倍になったらうれしいかなと。逆にいえば、2~3年後に2倍、3倍になりそうな銘柄を狙うということです。

 ただし、予想以上に早く株価が上がり、数カ月で売却して利益を確定させることもあります。一方で、3年で2倍になったけど、もっと上がりそうなので、そのまま持ち続けるということもあります。

──10銘柄を平均2~3年保有するとなると、あまり頻繁には売買されないのでしょうか。

 はい、投資家というと頻繁に売り買いしているイメージがあるかもしれませんが、誰もがそうしているわけではありません。僕の場合、1年を通しても数えるほどです。

──なるほど、それなら会社に勤めながらでも支障はなさそうですね

 はい、まったくありません。

──デイトレードとか、数日、数週間で取引を完了させる短期トレードだと、そうはいかないかもしれません。

 短期トレードだと、常に株価の動きを追う必要があるので、会社勤めの人だと厳しいかもしれません。中長期トレードの場合は、毎日何かしなければならないとかそういうことはないので、会社勤めの人でも何ら問題はないと思います。

──毎日チャートをチェックしたりするのですか。

 僕は日々ブログを更新しているので、必ずパソコンは開きます。その際、証券会社のサイトにアクセスしたり、投資関連のツイッターを見たりすることはありますが、そのくらいです。

──本業に支障が出るようなことはないでしょうか。

 正直いうと、投資を始めた頃はちょっとだけあったかもしれません。自分が保有する株価がどういう動きをしてるか、気になって仕方なかったんです。中長期トレードの場合、1日の動きを追ってもあまり意味はないんですが……。

 それで、仕事中トイレの個室にこもって株価をチェックするなんてこともありました。まあ、大昔の話です(笑)。

損切りは早めに、利益確定は遅めに

──2~3年で株価が2倍か3倍になる銘柄を狙うとのことですが、買った銘柄がすべて2倍、3倍になるわけではないと思います。

 もちろんです。待てども待てども上がらないこともあれば、買ったらいきなり下がり、仕方なく売却することもあります。

──損切りすることもありますか。

 あります。

──例えば、10銘柄買ったとすると、何銘柄くらいが思惑通り上がるものでしょうか。

 どうでしょう、半分いかないくらいじゃないでしょうか。

──勝率は5割以下、ということでしょうか。

 そうだと思います。

──勝率5割以下で2億円を稼ぐとなると、とても大変そうに思えてきました。

 平均負け額より平均勝ち額のほうがはるかに大きいので、達成できたと思います。

 株価が下がって損切りすることはよくありますが、1つひとつのマイナス額は少なく済んでいて、一方、株価が上がったときには大きな利益を手にしている、ということです。

──具体的な損切り額や利益額を教えていただけますか。

 はい、これまでの損切り額の最高は220万円ほどです。それ以外に100万円以上損失を出したことが2度ありますが、あとは多くて数十万円です。

 一方、売却して利益を出した銘柄は、過去に1度、6,000万円ということがありました。僕の場合、これが突出しているのですが、ほかにも1,000万円程度利益を得た銘柄がいくつかあります。

 数百万円レベルの銘柄もたくさんあります。それで、トータルすると2億円以上のプラスになります。

──つまり、「負けは小さく、勝ちは大きく」が弐億さんの勝つ秘訣(ひけつ)ということですね。

 すべての銘柄を的中させるのは無理です。だったら、できるだけ負けを小さくし、勝ちを大きくするしかありません。

──負けを小さくする秘訣を教えていただけますか。

 基本は早めに損切りすることです。株価が下がり始めたら、大けがをする前に売るということです。

──なるほど。でも、保有していたらまた上がるんじゃないかと期待してしまいそうです。

 確かにそういうこともありますが、根拠もなく、そのうちまた上がるだろうと期待するのはやめたほうがいいと思います。そのままどん底まで下がり続ける可能性もあるわけです。早めに損切りするクセをつければ、大損は避けられます。

──損切りのタイミングは本当に難しいですね。

 投資において1番難しいことの1つだと思います。どんな経験を積んでも、何が正解かはわかりません。

──深手を負わないことを優先するのが賢い選択なのでしょうか。

 はい、僕はそう思います。

──勝ちを大きくする秘訣は何でしょうか。

 利益確定のタイミングを遅らせることです。

 僕もそうでしたが、投資を始めた頃は、ちょっとでも利益が出ると売りたくなるものです。でも、そこを何とか我慢して、もうちょっと持ってみるんです。

──持ち続けているうちに株価が下がり、せっかく得た利益を失う場合もあるのではないですか。

 もちろんそういうこともあり得ます。ただ、投資初心者は売るのが早すぎる傾向があるので、売りたくなっても少し様子を見たほうがいいと思います。

──2倍になるくらいまで待った方がいいでしょうか。

 そうですね。じわじわと上昇を始めた銘柄が2倍になるというケースは珍しいことではありません。

──ありがとうございます。
それでは後編では、これから株式投資を始める人にアドバイスをお願いしたく思います。

※このインタビューは2021年1月30日に実施し、2021年2月19日に初回掲載したものです。

>>前編:会社に勤めながら2億円稼いだ投資術を公開!
>>後編:IPOセカンダリー投資で6,000万円!銘柄選びのコツ
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