1.海外投資家は日本株を11週連続で買い越し

海外投資家が日本株を11週連続で買い越し、日本株を押し上げている

 バブル崩壊後の高値を更新するなど勢いづいている日本株ですが、海外投資家による買い付けが押し上げているようです。図表1は、財務省が公表している「非居住者による対内証券投資(株式版)」で、海外投資家による日本株への資金流出入動向を週間ネット売買と年初来累計で見たものです。

 今年序盤の1~2月は特段大きな動きはありませんでしたが、3月の米地方銀行破綻ショック時には、年初来累計で3.6兆円程度の大幅な資金流出(売り越し)となりました。

 しかし、米銀破綻の影響が大きく広がらなかったことなどから、今年度に入った4月以降は大きく買い戻され、その後も買い増しが続き、3月のボトムからみると約9.4兆円、年初来累計でも5.8兆円程度の買い越しとなっています(6月9日までの集計)。

 こうした海外投資家による旺盛な日本株需要が日本株を強力に押し上げているようです。

[図表1] 非居住者による日本株への投資動向の推移

  期間:2023年1月6日~2023年6月9日、週次
(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成

2.バフェット効果で米投資家は日本株買いへ

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏の言動が、米国人の日本株買いに大きく影響している模様

 今年4月、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が来日し、投資先の大手商社の経営陣と面談したほか、メディアのインタビューに応じて、「日本株への追加投資」を示唆するなど、日本株への強気な見方を披露しました。こうしたバフェット氏の言動が海外投資家の日本株買いを誘ったものと推察されます。

 バフェット氏は帰国後、5月6日に自身が経営するバークシャー・ハサウェイ社の年次株主総会を開催、そこでも日本株への強気の見方を披露しました。図表2は、米国上場の主な日本株ETF(上場投資信託)への資金流出入動向とTOPIX(東証株価指数)の推移ですが、同社の株主総会以降、資金流入が急増していることが分かります。

 バフェット氏を信奉するバークシャー社の株主などが、日本株買いに動いたものと思われます。

 このように、バフェット氏の言動が海外投資家による日本株買いに火をつけたことは容易に推察され、今後もバフェット氏の言動には注目が集まりそうです。

[図表2] 米国上場の主な日本株ETFへの資金流出入動向とTOPIXの推移

期間(TOPIX):2023年1月4日~2023年6月13日、日次
期間(ETF売買):2023年1月4日~2023年6月12日、日次
(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成

3.日本株は適正レンジの上限に迫る

昨秋には売られ過ぎだった日本株が適正レンジの上限に近づいている

 バフェット効果などで急騰している日本株ですが、果たしてどこまで上がるのでしょうか? 図表3は、TOPIXとTOPIXの予想EPS[1株当たり利益](向こう12カ月予想ベース)を13、14、15倍したデータの推移です(これら3本のラインの間を「適正レンジ」と呼ぶことにします)。

 表示の期間は、第2次安倍政権誕生以降の「アベノミクス」と呼ばれる期間から直近までを示していますが、この期間の株価はおおむねこの「適正レンジ」内に収まりながら、EPSの成長とともに上昇してきました。

 時々「適正レンジ」をはみ出して、買われ過ぎては反落し、売られ過ぎては反発することを繰り返してきましたが、直近では昨秋の売られ過ぎ水準から一気に回復しており、「適正レンジ」上限(約2,300ポイント)に接近しています。このままの勢いで上限を突破するのでしょうか?

 過去を振り返ると、「適正レンジ」が上昇基調にある間は株価は堅調に推移しました。一方、買われ過ぎて「適正レンジ」上限を突破してしまうと、なぜか、その後に「適正レンジ」が下方屈折し、株価はそれを予見したかのように、オーバーシュート後は調整局面に入っていました。

 今後は、まずは株価がオーバーシュートするか否か、「適正レンジ」つまりは企業業績のトレンドがどうなるかに注目する必要がありそうです。

[図表3] TOPIXと企業業績の推移

期間:2012年12月3日~2023年6月13日、日次
(出所)野村證券データ、および、Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(証券コード:1306)
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(証券コード:1321)

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