2024年からスタートの新NISAの内容は?
いよいよ2024年からスタートの新NISA。すでにご存じの方も多いと思いますが、ここで主な特徴をおさらいしておきましょう。
〇つみたて投資枠と成長投資枠(それぞれ現行制度のつみたてNISAと一般NISAに該当)の両方を同時に使えるようになる
〇非課税投資枠はつみたて投資枠、成長投資枠合わせて1,800万円まで拡大(うち成長投資枠は1,200万円が限度)
〇非課税期間(現行制度では一般NISA5年、つみたてNISA20年)の縛りがなくなり無期限に
〇非課税投資枠いっぱいに投資していても、売却して投資枠が空いたら、再び非課税で再投資が可能
このように、現行制度に比べると改善されている点が多く、個人投資家にとってかなり有利な改正といえるでしょう。
NISAのメリット、デメリット
なんといってもNISAのメリットは、売却益や配当金・分配金といった利益が非課税になることです(配当金・分配金については受け取り方法として株式数比例配分方式を選択していることが前提)。
非課税期間の縛りもなくなりましたから、長期間保有を続け株価が大きく上昇したところで売却しても税金がかからないのは大きなメリットです。
例えば成長投資枠いっぱいの1,200万円を個別株に投資し、10年後に3倍の3,600万円になったところで売却したとすると、通常口座では(3,600万円-1,200万円)×20.315%=487万5,600円の税金が非課税となります。これは極めて大きな節税効果になります。
しかし、NISAが語られる時はメリットばかりが強調されますが、デメリットもあることも忘れてはなりません。
NISAのデメリット、それは売却損が発生したとき、利益と相殺できず切り捨てられてしまうという点です。
株価が大きく下がると節税効果が得られなくなる
上の例で、成長投資枠いっぱいの1,200万円を個別銘柄に投資して、10年後に5分の1の240万円になってしまったらどうでしょうか。
もし通常の口座であれば、1,200万円-240万円=960万円の売却損を売却益や配当金と損益通算できますから、最大で960万円×20.315%=195万240円の節税効果があります。
しかしNISA口座にて生じた売却損は切り捨てになってしまいますから、この200万円弱の節税効果を享受することができません。
個別銘柄であれば、見込み違いの場合10年後に5分の1以下に下がってしまう可能性もあります。上がる可能性も下がる可能性もあると考えておく必要があります。
新NISAでの個別銘柄投資は早めの見切りが吉か
そして上記の例では、200万円弱の節税効果が得られないだけでなく、そもそも株価そのものが5分の1になり、960万円の損失が生じてしまっています。
現行NISAでは、一度売却したら非課税枠は復活しませんでしたので、株価が下がってもどうしても売ることができず、結果として多額の含み損を抱えてしまった…というケースが想像以上に多いです。
でも新NISAでは、売却すればその分非課税枠が復活するので、見込み違いの株を買ってしまったら、株価が大きく下がる前に早めに見切り売りをすることができます。それにより、多額の含み損を抱えた塩漬け株の発生を回避することができます。
また、早めに見切り売りをすることで、節税効果のロスも最小限に防げますし、何より損失の額そのものの拡大を未然に防ぐことができます。
空いた枠でより有望な銘柄を買えば、損失も十分取り戻せる可能性が高いですし、株価上昇による利益の非課税効果も享受することができます。
新NISAで個別株投資をする際の、節税効果をより高め、損失を最小限に抑えるポイントは「見込み違いの株は早めに処分して有望な株に入れ替える」ことだといえるでしょう。
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