2023年3月本決算は20%減益、予想下振れもすでに最悪期脱却

現地コード 銘柄名
01929

周大福珠宝集団

(チョウ・タイフック・ジュエリー)

株価 情報種類

13.80HKD
(6/9現在)

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 香港系の宝飾品製販大手、周大福珠宝の2023年3月通期決算はコロナ禍での行動制限が響き、市場コンセンサス予想を20%下回った。既存店の業績は続く4月以降に底入れしたものの、BOCIは先行きに対する経営陣の慎重見通しを受け、市場の懸念が続く可能性を指摘している。半面、同社はマイナス要因をカバーするため、特別配当を実施する方針。これで2023年度の年間配当は1株当たり1.22HKドルとなり、6月8日終値に基づく配当利回りは8.8%に達する見通しとなった。BOCIは短期的に、この配当方針が株価をある程度下支えする可能性に言及するとともに、同社の長期見通しを楽観。投資家に対し、より良い投資のタイミングを待つよう助言している。

 2023年3月通期決算は、売上高が前年比4.3%減の947億HKドルと、BOCIの予想から6%下振れた。純利益は同20%減の53億8,400万HKドルと、BOCIの予想を15%、市場コンセンサス予想を20%それぞれ下回った。主に年度下期のロックダウンによる営業レバレッジ面のマイナス影響や、為替差損、ヘッジ損失、金利コストなどの増大という営業外項目の変動が響いたため。年度下期に限れば、純利益は前年同期比37%減少した。ただ、BOCIは「すでに最悪期は過ぎた」との見方だ。

 同社は続く2024年3月通期について、前年比10%台後半の増収を見込む。既存店売り上げ伸び率については、中国本土で1桁台半ば、香港・マカオ・その他市場で50%の伸びを予想。コア営業利益率に関しては、前年比で30-50ベーシスポイント引き上げるとの目標を設定した。BOCIは前年実績の低さから、この目標はかなり控え目であるとの見方。半面、中国のマクロ経済が減速する中、この目標を達成できれば、多くの消費セクターの同業銘柄をアウトパフォームすると指摘している。

 2023年3月通期の期末配当は1株当たり0.28HKドル、特別配当は0.72HKドルを予定しており、年間配当は1.22HKドルとなる見込み。BOCIは短期的に、これが株価を下支えする可能性に言及しながらも、10億HKドル規模の債務による配当金の捻出が、逆に投資家の懸念を招く可能性もあるとみる。また、経営陣は2024年度末までのネットキャッシュへの転換(現金収支のプラス化)を見込む。宝飾品業況が回復すれば、この目標は達成可能だが、中期的に投資家の不安を招く可能性があるという。

 BOCIは2023年度決算の下押しと経営陣の慎重見通しを受け、2024年度、2025年度の予想EPS(1株当たり利益)を20-22%減額修正。引き続き2025年度予想PER(株価収益率)18倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、市場競争の激化による大幅な製品値引きの可能性や、店舗網の拡大計画の遅れ、金価格の変動による予想外のヘッジ損失などの可能性を挙げている。