外食需要の回復は飲料に有利、即席麺は値上げを通じた利益率拡大がカギに

 2023年1-3月期の中国食品・飲料セクターでは、ゼロコロナ終了後の経済・社会活動の再開を受けた外食需要の回復が飲料部門の追い風となる半面、即席麺は需要の停滞に直面した。ただ、即席麺にとってはパーム油価格の軟化を受けた利益率の改善がプラス。BOCIは即席麺最大手の康師傅控股(00322)が製品値上げを実施したことを前向きに評価し、増収率と利益率の改善幅が同業銘柄を上回る見通しを示している。また、ミネラルウオーター最大手の農夫山泉(09633)については、屋外活動の正常化に伴う需要増の恩恵を真正面から受けると予想。両社の株価の先行きに対し、強気見通しを継続した。一方、飲料・即席麺大手の統一企業中国(00220)には、中立見通しを付与している。

 飲料部門は活動再開の効果を追い風に、1-3月期の復調が鮮明。統一企業中国の飲料部門は前年同期比1桁台の増収だったが、BOCIは康師傅控股(四半期決算を公表していない)について、より高い増収率を予想。主に即席(RTD)茶飲料や果汁飲料、ボトルウオーターがけん引したとみている。飲料メーカーにとって、業績回復を目指す上では外食チャネルの復調がカギとなっており、屋外活動の継続的な再開が今後も消費の伸びに寄与する見通し。ただ、収益性の点では、砂糖価格の高騰がPET価格の低下による恩恵を打ち消し、利益率の回復を阻害する可能性がある(BOCIの推計では砂糖が飲料事業の売上原価に占める割合は10%台半ば、PETは約20%)。さらにこの分野での市場競争の激化がメーカー各社の投資コストの増大につながる可能性があるという。

 一方の即席麺部門は1-3月期にやや苦戦し、売れ行きの後退と製品構成の低価格化が見られたが、半面、パーム油価格の下落が収益性の改善に寄与した。統一企業中国の即席麺部門は1-3月期に10%台前半の減収。ただ、BOCIは値上げを実施した競合の康師傅控股について、平均販売価格の上昇による増収効果と利幅の改善が、統一企業中国よりも鮮明だったとみている。また、旅行などの屋外活動の復調による販売へのプラス効果と、パンデミックの収束を受けた今後の市場の正常化を予想。そうなれば、この先は利益率の引き上げが即席麺部門の利益成長のカギを握るとし、2社の中では康師傅控股がより有利な立ち位置にあるとしている。

 BOCIは康師傅控股と統一企業中国にそれぞれ2023年予想PER(株価収益率)23倍、17倍を当てはめ、目標株価を設定した。両社のヒストリカルPERはほぼ同水準にあるが、製品値上げという康師傅控股の戦略面の履行を高く評価した形。さらに急回復を遂げる即席茶市場などでのリーディングポジションに言及し、プレミアムに値するとした。農夫山泉については2023年予想PERで55倍をあてはめたが、これは急成長市場でのリーディングポジションや同業銘柄を上回る収益性に加え、収益回復力の高さを示す同社の実績が理由。康師傅控股と農夫山泉の株価の先行きに対して強気見通しを継続している。