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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】「かぶミニ」で半導体関連6銘柄、8万円のまとめ買い。2024年にブーム復活見込む

半導体不況でも、半導体関連株が上昇

  半導体不況が続く中、半導体関連株が上昇し始めています。2024年の半導体ブーム復活の織り込みが始まっていると考えています。半導体関連株を買い始めて良いと思います。

半導体関連5社(合成指数)と日経平均株価の比較:2016年末~2023年(5月17日)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。2016年末の値を100として指数化。半導体関連5社は、東京エレクトロン・アドバンテスト・信越化学・SUMCO・ルネサスエレクトロニクスの合成株価

 上のグラフで、シリコン・サイクル(ブームと不況を繰り返す半導体産業のサイクル)と、半導体関連株の動きを説明したのが、以下の表です。

シリコン・サイクルと半導体関連株の動き:2017年~2023年5月

出所:楽天証券経済研究所が作成

 表の説明をよく読んでいただくと気付くと思いますが、半導体関連株はこれまでシリコン・サイクルを1年くらい先取りして動いてきました。

【1】半導体ブームの中で関連株が急落した2018年

 シリコン・サイクルでは上昇局面なのに、株価が急落したのが2018年です。厳密にいうと半導体業界が大ブームに沸いていたのは2018年前半まででした。

 この年後半は、ブームの中心にあったフラッシュメモリ(データセンターやスマホの記憶媒体に使われる半導体)やDRAM(一時的なデータ保存に使われる半導体)の需給が緩み、市況が下落し始めていました。さらに、「米中ハイテク戦争」の影響を受けて、中国での需要鈍化が鮮明になりました。

 半導体ブームの終息を先取りして、日本の半導体関連株は、2018年は1年間にわたり、大きく下がりました。

【2】半導体不況の中で関連株が急騰した2019年

  2019年になり半導体不況が始まると、株価は逆に急騰を始めました。次のブームを織り込む動きが始まっていました。

【3】半導体ブームの中で関連株が急落した2022年

 2022年はまだブームが続いていましたが、メモリ市況が下落するなどブーム終息を思わせる事象があらわれていました。次の不況を織り込んで、株価は急落しました。

【4】半導体不況の中で関連株が上昇し始めている2023年

 今年は「半導体不況の年」ですが、半導体関連株は既に上昇を始めています。2024年からのブーム復活を先取りした動きと考えることができます。

 今、半導体関連株が急反発しているのは、2024年の回復先取りと判断しています。世界的に第四次産業革命(AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータを活用した技術革新)が進む中、その基幹部品である半導体への需要は増加の一途をたどっています。

 足元では一時的に供給過剰となった半導体メモリも、データセンターな向けなど需要は増加一途なので、在庫調整が進めば、来年にかけて再び供給不足になると予想しています。

半導体関連、投資の参考銘柄

 日本の半導体産業は衰退し、半導体メーカーで世界のメジャープレイヤーと言える会社はありません。ただし、半導体製造装置や半導体材料では世界のメジャープレイヤーと呼べる会社があります。従って、投資の参考銘柄としては製造装置や材料を中心に選びます。

半導体関連、投資の参考銘柄:2023年5月17日時点

コード 銘柄名 半導体
関連
事業
株価 PER
:倍
配当
利回り
8035 東京エレクトロン 半導体製造装置 17,420 27.2 1.8%
6857 アドバンテスト 半導体製造装置 13,260 31.3 1.1%
4063 信越化学工業 シリコンウエハ 4,000 13.2 2.6%
3436 SUMCO シリコンウエハ 1,859 8.9 3.7%
6723 ルネサス エレクトロニクス 自動車用半導体 2,046.5 12.9 0.0%
6758 ソニーグループ 画像センサー 12,895 18.9 0.6%
出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成。
PERは5月17日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期利益予想を公表していない信越化・SUMCO・ルネサスはQUICKコンセンサス予想を使用。配当利回りは、今期1株当たり配当金(会社予想)を5月17日株価で割って算出。今期配当予想を公表していないアドテスト・信越化・SUMCO・ルネサス・ソニーはQUICKコンセンサス予想。今期1株当たり予想配当金は、東エレク320円、アドテスト146円、信越化106円、SUMCO68円、ルネサス0円、ソニー81円

 過去には、日本の半導体産業の黄金期もありました。1980年代半ば、日本の半導体産業は世界トップの座を米国から奪いました。当時、 東芝(6502)NEC(6701)日立製作所(6501) がトッププレイヤーとして世界に君臨していました。でも、そこが日本の半導体産業の最盛期でした。そこからどんどん衰退していきました。

 半導体製造装置や半導体材料では世界的に高い競争力を有する企業があります。そこで、投資の参考銘柄として、半導体製造装置2社(東エレク・アドテスト)と、半導体シリコンウエハで世界シェア1位・2位の2社(信越化・SUMCO)を入れました。

 半導体メーカーとしては、自動車用半導体大手の ルネサスエレクトロニクス(6723) と画像センサー最大手 ソニーグループ(6758) を加えました。

 ソニーグループ以外の5社は、前段で半導体関連5社の合成株価を作る際に選んだ5社です。ソニーは、半導体事業が全体に占める比率が低いので半導体関連5社には含めていませんでしたが、画像センサーで世界最大手であること、今後ゲーム・音楽・映画など総合エンターテインメント企業として成長を期待しているので、投資の参考銘柄に加えました。

 ご参考までに、半導体関連5社(合成指数)とソニーグループ、日経平均の過去の動きを比較したのが、以下のチャートです。

半導体関連5社(合成指数)とソニーグループ株、日経平均の比較:2016年末~2023年(5月17日)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。2016年末の値を100として指数化。半導体関連5社は、東京エレクトロン・アドバンテスト・信越化学・SUMCO・ルネサスエレクトロニクスの合成株価

かぶミニで半導体関連6社をまとめ買い

 1株単位で売買できる「かぶミニ」を使うと、上記の半導体関連6社を、約8万円でまとめて投資することができます。以下、ご参考ポートフォリオです。

かぶミニで作る、「半導体関連6社」ポートフォリオ

コード 銘柄名 株価 株数 金額 構成比
8035 東京エレクトロン 17,420 1 17,420 22.0%
6857 アドバンテスト 13,260 1 13,260 16.8%
4063 信越化学工業 4,000 3 12,000 15.2%
3436 SUMCO 1,859 6 11,154 14.1%
6723 ルネサス エレクトロニクス 2,046.5 6 12,279 15.5%
6758 ソニーグループ 12,895 1 12,895 16.3%
  合 計   18 79,008 100%
出所:楽天証券経済研究所が作成

過去25年の半導体サイクル振り返り

 1998年以降の25年間のシリコン・サイクルを振り返ります。過去25年の世界半導体出荷額の推移をご覧ください。

世界半導体出荷金額(3カ月移動平均):1998年1月~2023年3月

出所:SIA(米国半導体工業会)より作成  ご覧いただくとわかる通り、世界の半導体産業は右肩上がりの成長産業です。ただし、シリコン・サイクルといわれるブームと不況の大きな波を作る産業であることもわかります。 この特色ゆえ、半導体関連株は、長期的には大きく上昇しているものの、短期的には激しく乱高下します。米国の半導体関連株指数である、SOX指数の動きで見てみましょう。

SOX指数(米国半導体株価指数)の推移:1998年1月~2023年5月(16日)

出所:ブルームバーグより作成

 ITバブルと言われた1999年にも、半導体の大ブームがありました。この頃の半導体の主用途は、パソコン(PC)でした。20世紀には、PCの成長とともに半導体産業も成長しました。PC買い替えサイクルが、シリコン・サイクルを形成していました。

 1999年には、インターネットの登場でPCの成長期待が異常に高まり、株式市場でIT関連株や半導体関連株が、異常な高値まで買われました。ところが、後から振り返ると、それはバブルでした。2002年には、IT需要が大きく落ち込み、ITバブル崩壊不況が起こりました。

 その後、半導体産業は、長期停滞局面に入りました。PCの成長がなくなったことが影響しました。2008年にリーマンショックが起こると、さらに落ち込みました。

 ただ、後から振り返ると、そこから、半導体業界の大復活・急成長が始まっています。今も、第四次産業革命の進展とともに、需要は増加の一途をたどっています。

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