4月のビットコインイベント
4月12日 | ETH上海アップデート |
4月19日 | SEC委員長、下院公聴会で批判集まる |
4月24日 | ファーストリパブリック銀行決算発表で1,000億ドルの預金流出判明 |
4月25日 | コインベース、SECを提訴 |
*2023年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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4月の振り返り
4月のビットコイン価格(円)とイベント
3万ドル回復
4月のBTC(ビットコイン)は小幅上昇。
3月の金融不安を受け、景気が悪化し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに転換するとの観測が浮上。4月初時点では5月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの有無の織り込みも五分五分だった。
その後、雇用統計など経済指標が思ったほど悪化していなかったことから、5月利上げが確実視されていく中、BTCは2万8,000ドル近辺でのもみ合い推移が続いた。
しかし、イースターの連休明けに米投資家が市場に戻ってくると、それまでのもみ合いレンジを上抜け、一気に3万ドル乗せに成功。懸念されたCPI(消費者物価指数)やETH(イーサリアム)の上海アップデートも波乱なく通過すると、BTCは3万1,000ドルにワンタッチした。
BTC/JPY週足
しかし、この水準はちょうど2021年にもみ合った水準で、当時作成したロングポジションの「やれやれ売り」(下落後、相場が戻るのを待って売ること。やれやれと胸をなでおろす動作に由来する)に押され、上値を抑えられた。その後、英CPIが予想を上回ると、米欧の金利も連れ高となり、リスクオフの流れの中で急落した。
3月のもみ合った2万7,000ドル台で下げ渋っていると、ファーストリパブリック銀行の決算発表で、同銀行から1,000億ドルの預金流出があったことが判明。金融危機が再燃するとBTCは反発。3万ドルにワンタッチした。しかし、またしてもこの水準で上値を抑えられると、同銀行をJPモルガンが買収することでいったん危機が収まり、BTCはじりじりと値を下げている。
3万ドルで上値を抑えられた理由
利下げのタイミング
結局、4月のBTC相場はアノマリー通り上昇するにはしたが、3万1,000ドルに跳ね返されて、おおむね2万7,000~3万ドルのレンジ取引に終始した。理由の一つに、米金利の見通しが方向感を失ったことが挙げられる。3月の金融不安を経て、FRBが年内利下げを否定しても、市場は利下げの可能性を織り込み始めた。
上グラフがFF先物に織り込まれた金利水準だ。5月の利上げ後の水準が5.125%で、足元では9月利下げ開始を織り込んでいる。BTCが3万ドルを上抜けしていた4月前半は、7月開始が有力視され、相場が低迷していた4月後半は9月でなく、11月開始が有力だった時期もある。
今の数字はともかくとして、その頃になれば金融不安が景気悪化につながり、FRBは利下げに踏み切らざるを得なくなるという見方だ。しかしこれは。その頃になってみないとどうなるか分からない。答えが出ないので、金利市場は7月利下げ開始と11月利下げ開始との間でレンジ相場を形成し、BTCも2万7,000ドルから3万ドルでのレンジ相場を形成する訳だ。
BTC/USD週足
3万ドルでの「やれやれ売り」
もう一つは、少しテクニカルな要因もあるが、3万ドル近辺が2021年に形成したヘッドアンドショルダーのネックラインにあたる点である。円建てで見ると感覚的に分かり易いのだが、2020~2021年の相場は、200万円から400万円まであっという間に駆け抜けた。その後、400万円台で何回ももみ合っており、その近辺でのポジションが多い。
その後の相場の低迷で、塩漬けになっていたロングポジションの「やれやれ売り」が3万ドル、400万円台に乗せて、出てきている可能性がある。実際、オンチェーン(ブロックチェーン上に記録される取引、もしくはその仕様のことを指す言葉)分析などで、長い間動いていなかったウォレットからの移動が報告されている。
半減期サイクルでの先高感
一方で、下方向には強い押し目買い意欲が観察される。小職は一貫して。半減期サイクルによる「BTC-4年周期説」を唱え、2022年初頭には、そのサイクルから、次回ピークは半減期翌年の2025年ごろになると予想してきた。
小職がこの説を唱え始めた2019年ごろは、同様の主張をする人はあまり見られなかったが、2024年4月辺りと予想される次回半減期まで1年を切り、半減期に向けてBTCは上昇すると予想する声が大きくなっている。
5月見通し
材料面から見た5月見通し
こうした中、材料面から5月の相場を展望すると、まず、金融不安はなかなか鎮火はしそうにない。自主清算を選んだシルバーゲート銀行を含め、これまで破綻、買収された米地銀は、シリコンバレー銀行、シグニチャー銀行、そして最後にJPモルガンに買収されたファーストリパブリック銀行の4銀行だ。
最後の買収の翌日に、次の候補先として、パックウエスト銀行、ウエスタンアライアンス銀行株が急落した。JPモルガンによる買い推奨や空売り規制の動きを受けて、相場は持ち直しているが、根本的な問題は何も解決していない。
すなわち、破綻した地銀の経営陣を非難しようが、空売り規制をしようが、急激な利上げにより膨らんだ銀行の含み損は変わらないし、調達金利の上昇による逆ザヤで、銀行の体力は日に日に衰えている。
また、銀行の経営陣は、進退をかけて自己資本比率の向上、すなわち資産の圧縮に励み、結果的に信用収縮で経済は萎縮していく。こうした中、FRBは早晩、利下げに方向転換せざるを得なくなるだろう。そして、パウエルFRB議長がFOMC後の会見で口にした「幾つかの(a few)」後悔の中には、急速な利上げで銀行経営を苦しめたことも入っているだろう。
しかし、こうした方向展開がすぐに訪れるかどうかは疑問だ。例えば、市場で有力視されている、9月時点での利下げの有無が議論されるのは、早くても7月辺り。7月の利下げに至るには5月の数字はそれほど悪化していないことが確認されつつある。そのため、6月の数字が急速に悪化する必要がある。いずれにせよ5月内では判断が難しく、相場の上抜け材料にはなり難いか。
もう一つ、5月に注目される材料として、米債務上限問題がある。イエレン米財務長官によれば、早ければ6月1日にも支払いが滞る見通しだ。仮に、本当に足りなくなると、2019年以来の米政府閉鎖となりかねない。
あまりデータがないので何ともいえないが、過去2018年1月、2018年末~翌年1月の、2度の政府閉鎖に、BTCはあまり反応していない。あまり長引くと米景気を冷やし、ドルの信認を失うという面で、BTCにポジティブかもしれないが、リスクイベントとしてファーストアクションはBTC売りかもしれない。
また、広島G7(主要7カ国)サミットで、暗号資産に関する規制が首脳宣言に盛り込まれる可能性が指摘される。しかし、これまで暗号資産関連規制派G20(主要20カ国・地域)を中心に、すでに議論されてきており、BRICS諸国が参加しないG7における「グローバル」な規制にどれほど意味があるかはやや疑問だ。
こうして5月のBTCは決め手に欠ける中、2万7,000ドルから3万ドルのレンジでの取引が続きそうだ。
テクニカル面から見た5月見通し
BTC/USD一目均衡表
テクニカル的に見ても、5月のBTC相場は方向感をなくしている。一目均衡表では転換線(黄)が基準線(赤)を下回り、遅行線(緑)がローソク足を下回り、ローソク足が雲の上限を下回り、1カ月以上続いた3役好転の三つの買いサインが全て消滅した。
基準線が横ばいで、ローソク足が雲の中に入り、相場はもみ合いを示唆している。5月末には雲が薄くなり、上下どちらかに抜ける必要があるが、もし下に抜ければ3役逆転の売りサインとなる。1年以上続いた雲の下から、今年1月に上に抜け出し、トレンド転換を見せた経緯から、上抜けの可能性が高いと考える。
BTC月別パフォーマンス
アノマリー的には、5月は7勝5敗と4月よりやや弱めだが、過去4カ月連続の陽線となった7回中7回とも、翌月は陽線となっている。すなわち、1~3カ月連続陽線の場合は気迷いもあるが、4カ月連続で陽線となるような場合は強いトレンドが出ており、5カ月連続陽線となる可能性が高い訳だ。
5月見通し
まとめると、5月のBTC相場は、2万7,000ドルから3万ドルのレンジ内で横ばい推移。3万ドル近辺での「やれやれ売り」圧力に上値を抑えられそうだが、月末にかけて若干の上抜けを予想する。ただし、これまで陽線は5~6カ月連続で続いた辺りで、一度調整が入る傾向にあることから、6月か7月辺りに反落もあり得るかもしれない。
2023年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)
3月27日 | CFTC、Binanceを提訴 |
3月22日 | コインベース、SECから訴追予告受け取る |
3月22日 | SEC、ジャスティン・サン氏らを起訴 |
3月12日 | シグニチャー銀行が経営破綻、閉鎖へ |
3月8日 | シルバーゲート銀行清算を持ち株会社が発表 |
2月23日 | ゲンスラーSEC委員長、BTC以外は証券に該当する可能性 |
2月13日 | パクソス、Binance USD(BUSD)発行停止 |
2月9日 | クラーケン、ステーキング停止 |
1月19日 | ジェネシス・グローバル・ホールドコ、チャプター11申請 |
1月17日 | 香港拠点のBitzlatoのCEOを米当局が逮捕 |
*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。
**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。
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