※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「かぶミニ」で「ダウの犬」5万円で手作り!利回り3.8%の高配当株ファンド

日本株を1株から買えるようになりました

 楽天証券では、4月17日から、日本株を1株から売買できる「かぶミニTM」(単元未満株取引)を開始しました。4月17時点で対象銘柄は、東京証券取引所に上場している473銘柄です。

かぶミニTM(単元未満株取引)取扱銘柄一覧

 日本株は通常100株からしか買えません。そのため株価1,000円で買える銘柄ならば、最低でも10万円(1,000円×100株)ないと投資できません。単元未満株取引ならば、1株1,000円から売買が可能です。

 1株保有しているだけでも、株数に応じて配当金を受け取ることもできます。いろいろな高配当利回り株に分散投資することができます。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)や新NISA口座で、投資することもできます。

 詳しくは、以下を参照してください。

かぶミニTM(単元未満株取引)

かぶミニTMでできること

「かぶミニTM」ができて、私はとても喜んでいます。これで、私が25年間のファンドマネージャー時代にやってきたことを、皆さまにそのままお伝えできるようになったからです。

 私はファンドマネージャー時代、公的年金・投資信託・海外ファンドなど、1,000億円以上の日本株運用を担当してきました。その経験に基づいて、「私がもし今も日本株ファンドマネージャーだったらやりたいこと」を、この「3分で分かる」の月曜日から木曜日まで原稿で、レポートを書いて皆さまにお届けしています。

 ただし、いつも違和感を覚えていたことがあります。私は100億円以上のファンドを運用するときは、だいたい100銘柄くらいに分散投資していました。大型バリュー株(割安株)・小型グロース株(成長株)などに分散投資して、ベンチマーク(競争相手)であるTOPIX(東証株価指数)を大幅に上回るパフォーマンスをあげてきました。

 ところが、個人投資家の皆さまは、投資資金の制約があるため、日本株で100銘柄も保有できる人は、これまでほとんどいませんでした。120万円のNISA口座でも、5銘柄程度しか保有できませんでした。

 かぶミニTMで、1株単位で売買できるようになったことで、少額でも100銘柄への分散投資ができるようになりました。1株を1,000円で買える銘柄100銘柄に投資しても、必要資金は10万円だからです。10万円くらい用意できれば、私がやってきたポートフォリオ運用ができるようになります。

 

 今日は、皆さまに「かぶミニTM」を使った、手作り「高配当利回り株ファンド」の作り方を解説します。米国で有名になった「ダウの犬」戦略を日本株に応用します。

「ダウの犬」戦略とは

 米国で有名になったことのある投資手法です。投資方法は極めてシンプルです。

【1】NYダウ(ダウ工業株30種平均)採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等金額投資します。
【2】1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。
【3】1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

 これだけです。このシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスをあげられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。

「ダウの犬」を日本株に応用

 この方法は、日本株にも応用可能です。NYダウは米国に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されます。日本では、時価総額上位30社は「コア30」といわれる指数です。コア30に入る30銘柄から、配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略をとることができます。

 10万円以下で10銘柄のポートフォリオを作れるようにするために、今回は株価1万円以下の銘柄から選びます。また、楽天証券と資本関係のあるみずほフィナンシャルグループは除外して選びます。

 4月26日時点で、上記の方法でコア30から選んだ配当利回り上位10銘柄は、以下の通りです。この10銘柄でポートフォリオを組めば、「ダウの犬」とほぼ同じ戦略を取ったことになります。

東証プライムコア30採用銘柄のうち、配当利回り上位10社(株価1万円以下):2023年4月26日時点

コード 銘柄名 業種 配当
利回り
株価
:円
4月26日
1株
当たり
配当金
:円
9434 ソフトバンク 通信 5.6% 1,529.0 86
8316 三井住友FG 銀行 4.2% 5,513.0 230
4502 武田薬品工業 医薬品 4.0% 4,517.0 180
8306 三菱UFJ FG 銀行 3.8% 843.2 32
8766 東京海上HD 保険 3.7% 2,669.0 【注】100
8058 三菱商事 商社 3.6% 4,974.0 180
7267 本田技研工業 自動車 3.5% 3,476.0 120
9433 KDDI 通信 3.2% 4,164.0 135
8031 三井物産 商社 3.2% 4,173.0 135
8001 伊藤忠商事 商社 3.2% 4,424.0 140
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(23年3月期会社予想)を4月26日株価で割って算出
注:東京海上HDの1株当たり配当金は2022年10月1日付で1株→3株の株式分割を行ったことを考慮して修正

実際にポートフォリオを作ってみる

 それでは、利回り上位10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。10銘柄にほぼ等しい金額ずつ投資することが求められます。完全に同じ金額にすることはできませんので、なるべく等金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。

 全体の金額は約4万6,000円です。このポートフォリオの平均配当利回りは3.8%です(実際に買い付ける場合にかかるスプレッドを考慮しないベース)。

東証プライムコア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り3.8%)

出所:楽天証券経済研究所が作成。上記はダウの犬戦略に基づいて機械的に構成したポートフォリオで必ずしもすべてが推奨銘柄ではない

 上記ポートフォリオの構成銘柄は、業種別に並べ替えてあります。景気敏感株は赤色で、景気変動の影響が相対的に小さいディフェンシブ株は水色で表記しています。ディフェンシブ62%、景気敏感38%で良いバランスにできあがっていると思います。