新社会人必見!給与明細書を構成する三つの要素
本コラムをご覧の方の多くは会社員の方だと思います。会社員の方は毎月の給与を受け取る際、「給与明細」が会社から発行されているはずです。
また、今年4月から新たに社会人になった方は、これから給与明細を初めて受け取ることになると思います。
この給与明細、毎月のようにもらうものですが、意外と中身をよく確認せずに、実際に振り込まれる金額である「差引支給額」のみを見て、あとはカバンの中にしまったり、どこかへやってしまう…という方が多いのではないでしょうか。
しかし、自分の給料がいくらで、そこからどのようなものがいくら差し引かれているかを知ることはとても重要です。これは社会人として当然知っておくべき常識ととらえ、給与明細に書かれている内容をしっかり理解しておきましょう。
それでは、給与明細書のサンプルを見ながら、内容について確認していきましょう。
給与明細書は会社によりデザインが異なりますが、記載されている内容はほぼ同じです。そして通常、「勤怠」欄、「支給」欄、そして「控除」欄の三つから構成されています。
〇「勤怠」:その月に何日出勤して何日欠勤したか、労働時間はどのくらいだったか、残業は何時間したか、といった勤務状況を記載
〇「支給」:勤怠の状況に応じて支払われる基本給や各種手当、残業代や通勤費がいくらかを記載。
〇「控除」:支給額から差し引かれる社会保険料や税金などがいくらかを記載
給与明細書サンプル
残業代、通勤手当はどこをみる?
支給欄に書かれている内容を見てみましょう。まず、「基本給」の欄に書かれている250,000円が、いわゆる基本給・固定給と呼ばれるもので、会社との雇用契約によりあらかじめ決められた、欠勤などがなければ毎月もらうことができる額です。
その下の「時間外手当」に書かれている30,000円は、いわゆる残業代です。勤怠の欄に、「普通残業 10」とありますが、これは10時間の残業をしたということです。これに対して30,000円の時間外手当が支払われているということです。
「住宅手当」の20,000円は、例えば首都圏の賃貸物件に住んでいるような人は、家賃が高いのでその一部を補助してくれる会社があります。その場合に支給されるものです。
「通勤手当」の9,000円は、会社が負担してくれている、自宅から会社までの通勤費(公共交通機関の定期代など)です。
通勤手当は所得税などの税金が課税されるものと、課税されない(非課税)ものがありますが、通常は非課税であるのが一般的です。
なお、社会保険料を計算する際の収入金額には、通勤手当も含まれることになっています。
支給から控除されるのはコレ
次に「控除」欄です。こちらは主に三つの内容が含まれています。
・社会保険料
・税金
・その他(従業員持株会の自己負担分、社宅家賃、組合費など)
社会保険料には、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険料」があります。会社員の場合、これらの保険料の一部は会社が代わりに納付するため、給料から天引きされます。
※介護保険は40歳から加入が義務付けられます。労災保険料は全額会社負担のため給料から引かれません。
全国健康保険協会に加入している東京都の会社の場合、2023年3月分(4月納付分)の健康保険料は、標準報酬月額の10.00%(40歳~64歳の方はこれに介護保険料率1.82%が加算され11.82%)となっています。厚生年金保険料は標準報酬月額の18.300%です。これらを会社と従業員とで折半(半分ずつ負担)します。
ですから、40歳未満の方であれば、健康保険料と厚生年金保険料を合わせると、標準報酬月額に対して(10.00%+18.300%)÷2=14.15%の負担が必要となります。給与明細書サンプルでは、15,000円+27,450円=42,450円が天引きされています。
このことを知らない方は、「えっ、こんなに取られるの?」と感じるのではないでしょうか。
なお、標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を計算する際の基準となる給料の額で、通常は毎年4~6月の、基本給、残業代、通勤手当など含めた総支給額の平均をもとに決められます。
(参考)全国健康保険協会HP 2023年度保険料額表(2023年3月分から)
もう一つ、雇用保険料も給料から差し引かれています。こちらも基本給、残業代、通勤手当などを含めた総支給額に対して毎月天引きされるものです。
雇用保険料の料率は年々増加傾向にあり、2017年4月~2022年9月の従業員負担割合は0.3%でしたが、2022年10月には0.5%に引き上げられ、さらに2023年4月には0.6%に引き上げられています。
給料から天引きされる税金をチェック
給料からは社会保険料だけでなく、所得税、住民税といった税金も差し引かれています。
所得税は、非課税の通勤手当などを除いた課税支給額から、社会保険料の自己負担額を差し引いた金額(給与明細書サンプルでは控除欄の「課税対象額」)につきかかります。
この税額は、課税対象額、および扶養人数などによりあらかじめ定められた「源泉徴収税額表」に基づき算出することができます。
この表をみれば、どのくらいの給料で、扶養家族が何人だと、所得税をどれだけ天引きされるかが一目で分かりますので、一度目を通してみてください。
もう一つ、住民税も天引きされます。こちらは、前年の所得の10%が、翌年6月の給料から月割りで毎月天引き(特別徴収と呼びます)されます。
新入社員の手取り額が5月から少なくなるわけ
新入社員の方が初めて給与明細を受け取るとき、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料はまだ引かれていません。引かれるのは1カ月遅れになるからです。
そのため、5月以降は社会保険料が引かれる分、一気に手取り額が少なくなりますからびっくりしないようにしておきましょう。
また、住民税については前年分が今年に課税されるという仕組みのため、実際に給料から天引きされるのは社会人2年目の6月からになります。こちらも忘れていると、2年目の6月以降給料の手取り額が減ってがっかりしてしまうので、今のうちから「そういうものだ」と頭に入れておくようにしてくださいね。
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