今週の予想

今週は、2万7,000~2万8,000円のレンジの中で、下値水準では買ってみるところ

 先週の米国相場の動きをみると、マーケットの関心が金融システム不安から雇用指標の鈍化を受けて、世界景気の後退不安へと実体経済に移行しています。米長期金利は低下し、ドルが売られて円高が進み、株式市場でも景気敏感株の上値が重く、ディフェンシング株に資金が逃避していました。これが続くようですと日本株も当面は楽観できなくなります。

 日本株は、3月期末企業の本決算発表を前に外部環境に不透明感が強まったという状況ですので、主力株を中心に買いが手控えられやすい状況が続くことになりそうです。

 先週は、2万7,500~2万8,500円のレンジを想定し、結局、4日(火)に2万8,287円まで上昇後、急落して6日(木)は2万7,427円まで下げ、週の終値は2万7,518円となりました。

 今週は、米国では12日(水)に3月CPI(消費者物価指数)、14日(金)に3月小売売上高の発表があり、内容によっては、手控えられて下値を試す場合もあります。そのため想定レンジを2万7,000~2万8,000円とします。

 下値はFRB(米連邦準備制度理事会)の引締めスタンス後退も同時に意識されるので下限は限定的と思われます。目先は200日移動平均線(2万7,370円水準)までがスピード調整の範囲ですが、2万7,000円水準まで下げると戻りに時間を要するかもしれません。4月に入ってからの米国の動きをみると気がかりとなります。

 それは、株式市場が金利低下に反応しないような状況になっているからです。10年債利回りは3月2日の4.06%を戻り高値に4月5日には3.3%台まで低下しており、1~3月の下限(3.37%)を割り込んだことで、チャート的には、さらに低下を示唆します。この低下にナスダック総合指数が反応しているのが気になるところです。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、米国の景気後退懸念に加え、米中ともに重要な経済指標が発表されることで、手控えムードが強まり、また先週は一時2万7,500円を割り込んでおり、経済指標の内容次第では下値を試す可能性もあり、2万7,000~2万8,000円のレンジを想定します。

先週の動き

 先週は、3月期末配当の終わり、新年度入りとなりましたが、3月16日の2万6,632円の底打ちから急速に2万8,000円台まで戻したことで、先週は一服場面となって2万7,500~2万8,500円のレンジの中で高値をつけて一服する可能性が高いとしました。

 結果的に、4月4日(火)に2万8,287円の高値をつけ、その後、反落となって6日(木)には▲340円の2万7,472円まで下げました。

 週末の7日(金)は、前場は前日の米国株高と前日の大幅続落の反動で+118円の2万7,591円まで上昇するものの、その後は上値重く+40円の2万7,512円でした。後場は、いったん下げに転じ2万7,456円まで売られましたが、その後、再びプラス圏に浮上し、終値は+45円の2万7,518円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、決算シーズンに入り、金融関連の第1四半期決算が注目となります。また、今週発表される重要インフレ指標があり、結果次第でFRBが利上げ軌道を見極めることになりそうです。

 3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公表もあり、指標では、3月CPIやPPI(卸売物価指数)などの重要インフレ指標に加えて3月小売売上高の発表が予定されており注目となります。

 金融不安に加えて、経済と力強いと見られていた労働市場までもが悪化した可能性が強まっているにもかかわらず、インフレが急速に鈍化する兆候はまだ見られませんが、FRBは依然追加利上げが必要との姿勢をみせています。そのような状況で上値を抑えられる神経質な相場が続きそうです。

 一方で、4月は季節的に税還付金が相場に流入するため、年を通じて相場は強い傾向にあります。金利低下はハイテク株の買いを支援すると思われます。

 今週は重要な経済指標の発表がありますので相場の値動きに一喜一憂せず、下げたら買い、上がったら手を出さない、という心に余裕を持った投資を心がけたいところです。

先週の動き

 前週からの金融システム不安が後退したことを受け上昇が継続し、4月3日(月)は原油高も加わってエネルギー株が上昇し、+327ドルの3万3,601ドルと4日連続の大幅続伸となりました。

 4日(火)は、2月雇用動態調査で求人件数が予想を下回ったことで、NYダウは▲198ドルと5日ぶりに反落。その後は5日(水)+80ドル、6日(木)+2ドルと3連休前に小幅な値動きとなりました。7日(金)は、グッドフライデーで休場。

今週の指標:ドル/円

 今週は米国経済の先行き不透明感が広がり、FRBによる金融引き締め方針の後退を見込んだドル売りが見込まれる一方で、5月のFOMCに向け、利上げ停止の観測は根強いと思われます。

 3月米雇用統計で失業率は低下しましたが、2月JOLTS求人件数は1,000万件の大台を割り込み、3月ISM(米サプライマネジメント協会)景況感指数で雇用の伸びが鈍化するなど、労働市場の収縮が懸念されています。FRBはこれまで強い雇用情勢を背景に引き締め政策を進めてきましたがその土台が崩れ始めています。

 また、タカ派寄りのクリーブランド連邦銀行メスター総裁は、「金利はもう少し上昇してから維持すると見込む」と述べ、その一方で、5月のFOMCで利上げを決定するかどうか「まだ言及できない」と慎重な姿勢を示しています。4月12日に公表されるFOMC議事録で利上げ休止に関する議論の詳細が判明すれば、ドル安となります。

 5月のFOMCで0.25%の利上げの予想ですが、今週、発表される3月CPIや小売売上高が市場予想を下回った場合は、5月利上げを想定したドル買い・円売りは大幅に縮小する可能性があります。予想レンジは、129~133円とします。

先週の動き

 先週は、米国での4日(火)の2月JOLTS求人件数が予想を下回り、引き続いて5日(水)の3月ADP雇用者数や3月ISM非製造業や3月PMI(購買担当者景気指数)も予想を下回ったことで、1ドル=130.62円まで売られました。しかし、週末の7日(金)は、10年債利回りが一時7カ月ぶりの水準まで低下したことで反発し、132.14円で引けました。

先週の結果

先週は、2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、2万8,287円をつけて2万7,427円まで下落

 先週の予測では、前週(3月27日~31日)は、16日に2万6,632円まで急落して彼岸底をつけてからの急激な戻りで31日(金)には終値で2万8,041円と2万8,000円台を回復したことで、先週は2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、いったん高値をつけて一服する可能性があるとしました。

 先週は名実ともに新年度入りとなりましたが、目先の急速な戻りは買い戻しを中心とした大きな上昇であり、2万8,500円水準を前に一服するとしました。

 ここでの一服は、次の再上昇で2万8,500円を突破すれば、3月9日の高値2万8,734円を目指すことを想定しました。

 結果的に週前半は4月4日(火)の2万8,287円を高値に、この水準でもみあっていましたが、5日(水)は、前日の米国株式が3指標そろって反落し、ドルが売られて円高方向となったことも重しとなり、▲474円の2万7,813円と4日ぶりに大幅反落となりました。 

 米株の上昇が止まり、為替が円高に傾き、利益確定売りが膨らんできました。

 市場の解説では、これまでに日経平均は2万8,000円を超えると調整のパターンを繰り返しており、前日が目先のピークだったとみられるとしています。

 6日(木)も引き続き、為替が円高方向となって、一時130円台後半となっており、7日(金)に米国の3月雇用統計の発表があり、労働市場の悪化が景気への影響が懸念されて利益確定売りが優勢となり、日経平均は一時▲385円の2万7,427円まで下げて、終値は▲340円の2万7,472円となりました。

 週末7日(金)は、朝方は前日の米国株高で買いが先行し、前日、大幅続落の反動もあり、寄り付き後まもなく+118円の2万7,591円まで上昇するも、その後は伸び悩み、一時+11円の2万7,484円まで押し戻され、前引けは+40円の2万7,512円でした。

 後場は、いったん下げに転じ2万7,456円まで売られましたが、その後、再びプラス圏に値を戻し、終値は+45円の2万7,518円で引けました。米国の週末は、グッドフライデーで休場でした。

 先週の米国市場の動きは、2月JOLTS求人件数や3月ADP雇用者数など労働市場の減速が示され、米景気の先行き不安が高まり、10年債利回りは一時7カ月ぶりの水準まで下げました。