今週の予想

配当権利落ちを控える一方、金融システム不安への警戒感は残る

 今週も引き続き、金融システム不安への警戒は解くことができませんが、FOMC(米連邦公開市場委員会)を通過したことで、追加の0.25%を最後に打ち止めとなる可能性が高まっています。ただ、連鎖的な破綻の懸念が完全に払拭(ふっしょく)されたわけではありませんので、投資には慎重さが必要です。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の急激な利上げで生じた金融機関の米債の含み損は大きく、深刻な業績・財務悪化が突然表面化する可能性があります。

 今週は、29日が3月末配当の権利付き最終日にあたるため、トピックス先物への買いもあってバリュー株が買われることが考えられます。しかし、その後は権利落ちの影響や月末の日経平均株価採用銘柄の入れ替えに絡んだ売り物が出てくることになりますが、一方で配当の再投資もあり期待できるところです。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、30日に配当権利落ちを控え、250円ほどの配当落ちが予想されていますが、配当再投資が支えになるとみられています。一方で先週に続き、金融システム不安への警戒感は残り、神経質な展開が想定され、2万7,000円水準でのもみあいとなりそうです。

先週の動き

 3月9日に2万8,734円まで上昇した結果、下げる時は先物主導で16日に2万6,632円まで下げました。これにより短期的な値幅調整が行われたとみて、底打ちしてもおかしくなく、3月彼岸底の可能性もあるとしました。

 週始めの3月20日(月)は、金融不安への警戒感から▲338円の2万6,945円と大幅反落、21日(火)は休場、22日(水)は日本が休日の間に米国ではNYダウが20日(月)+382ドル、21日(火)+316ドルと2日連続の大幅上昇となったことで、22日(水)は、買い戻しと先物買いで+520円の2万7,466円と大幅反発しました。

 23日(木)は、前日のNYダウが▲530ドルの3万2,030ドルと3日ぶりの反落となったことで、▲290円の2万7,175円まで下げましたが、底堅い展開となり▲47円の2万7,419円と小反落で引けました。週末24日(金)は、朝方は一時▲162円の2万7,257円まで下げるものの、後場の下値は限定され▲34円の2万7,385円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週末は、ドイツ銀行の経営悪化の状況の中、売り一巡後はFRBが利上げを継続できないとの見方や利下げ観測も浮上したことで、ダウ工業株30種平均はプラスで引けました。FRBの方向性がハッキリすれば米株価は再度、戻りを試す方向の動きとなりそうです。

 ただし、これによって金融システム不安が完全になくなるわけではないので、何かキッカケがあれば再燃することになり、しばらくは要注意といえます。

先週の動き

 先週は、地方銀行の経営破綻や業績悪化が相次ぎ、金融当局やFRBの素早い対応もあり、相場は大きな上下動となりました。

 週始めの20日(月)は、クレディ・スイスをスイス最大手UBSが買収するとの報道で最悪な結果が後退し、NYダウは+382ドルと反発、21日(火)も+316ドルと続伸。22日(水)は、イエレン財務長官の「預金補償を無制限に拡大するつもりはない」というコメントを受けて、▲530ドルの大幅反落。23日(木)は、下げすぎの反動もあって主要3指標は反発し、NYダウも+75ドルでした。

 週末の24日(金)は、欧州でスイスに続きドイツ銀行の経営悪化懸念でNYダウは大きく下げて始まるものの、米国の利上げスタンスの後退観測が支援材料となり、NYダウは+132ドルの3万2,237ドルと続伸しました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、米長期金利が低下する中、FOMCでは2023年末の政策金利見通しの中央値が5.1%で据え置かれたことで、あと0.25%の利上げで達成される水準となり、利上げのピークアウト期待が膨らみました。

 そうした中、市場では5月のFOMCでは金利は据え置かれ、年後半に向けての利下げを予想する見方も増えており、それとともに米長期金利は低下基調にあります。この流れが一段のドル安・円高を進行させそうで、129円台へ進むのか注目となります。予想レンジは129~131円を想定。

先週の動き

 先週は、前週から引き続き金融不安からドルが売られ、1ドル=132円台後半からドル安・円高基調となりました。3月23日(木)は、米国で新規失業保険申請件数が減少し、追加利上げ観測からドル買いが再燃し、130円台前半となりました。

 週末24日(金)は、ドイツ銀行の経緯状況悪化懸念で欧州金融危機懸念からリスク回避の円買い・ドル売りが継続しましたが、米3月製造業・サービスPMIが予想外に改善し、ドル/円は129.40円から130.90円までドルが買われ130.72円で引けました。

先週の結果

先週は16日の2万6,632円で目先の底打ちからの反発。2万7,000円台でしっかり

 先週の予測では、下値確認のあと2万8,000円水準に向かって、もみあいになるとしました。

 前々週の米国市場は、大幅下落したものの、日経平均は週始めに2万8,000円台を回復し、7日のパウエル議長の証言を受けて、ドル買い・円売りとなって、日経平均は米株とは逆行高となって9日(木)には、2万8,734円まで上昇しました。

 これはメジャーSQに絡んだ先物主導での上昇でした。その結果、SQが終わると需給関係から日経平均は売られる状況となり、16日(木)には2万6,632円まで下げました。目先はここが彼岸底も考えられました。

 さらに、前週末の金曜日から日曜日にかけて大手の地銀が連続して破綻したことで、週始めの20日(月)の日経平均は、大きく下げましたが、日本が21日(火)の休日を挟んでいる間にNYダウが2日間大幅続伸し、日経平均も22日(水)は、+520円の2万7,466円となりました。

 23日(木)は、前日の米国市場でイエレン財務長官の発言を嫌気してNYダウは▲530ドルの3万2,030ドルと大幅下落となっていましたが、日経平均は底堅く▲290円の2万7,175円まで下げると下げ渋り▲47円の2万7,419円で引けました。

 週末の24日(金)は、米国の長期金利が低下していることで、ドルが130円台まで売られましたが、一時▲162円の2万7,257円で下げ止まり、売り一巡後はしっかりした動きとなりました。それは3月期末の配当取りの買いが入っているためで、来週は配当の再投資の買いも入ることで、需給面からは株価の支えになると思われます。後場は弱含む場面もありましたが、下値は限定され▲34円の2万7,385円の大引けとなりました。

 結局、先週の日経平均は、22日のFOMCでは0.25%の利上げが決まったものの、UBSによるクレディ・スイスの買収を受け、金融システム不安は一息つきました。ここで日経平均は2万7,500円水準まで回復するものの、上値は重く週末24日(金)は2万7,385円で引けました。

 週末の米国市場は、朝方はドイツ銀行の大幅安を受けた金融システム不安で300ドル安まで下落するものの、米地銀株が軒並み上昇すると+132ドルの3万2,237ドルと上昇して引けました。シカゴ日経先物は▲65円の2万7,115円でした。