上海ガスの持ち分売却で不透明感払拭、2023年に業績回復へ

現地コード 銘柄名
01083

港華智慧能源

(タウンガス・スマート・エナジー)

株価 情報種類

3.83HKD
(3/17現在)

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 BOCIは都市ガス事業を主力とするタウンガス・スマート・エナジーの2022年12月本決算が予想を33%下回ったとしながらも、不確実要素はほぼ払拭(ふっしょく)されたとみている。2022年の利益下押しの主因は、上海燃気(上海ガス)に絡む多額の損失だが、タウンガスはすでに上海ガスへの投資から手を引く方針を明らかにしており、関連損失の計上はこの先長くは続かない。また中核事業では、2023年にはガス販売量の伸びが加速するとともに利幅が改善し、新規のガス管接続件数も増加する見込み。分散型太陽光発電事業の進展も加速する可能性が高い。BOCIは不確実性の払拭を理由に目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 2022年通期の純利益は前年比23%減の9億6,500万HKドル(コア利益は37%減)と、BOCIの予想を33%下回った。上海ガスの下期の持ち分損失が5億8,900万HKドルと1億HKドルとの予想を大幅に超えたため。ただ、タウンガスは申能集団(Shenergy Group)との間で、上海ガスの持ち分25%を譲渡する覚書(2月末発効)を締結済み。BOCIは投資額47億元の全額ではないにせよ、大半を回収できるとみている。

 中核の都市ガス事業に関しては、新型コロナに絡む悪影響の払拭がプラス。同社経営陣は2023年のガス販売量が前年比12%増と、2022年の同5%から加速する見通しを示している。さらに、1立方メートル当たり利益は前年の0.50元から、0.52元に上向く見込み。金壇ガス貯蔵タンク(江蘇省)の容量拡大や、曹妃甸LNGターミナル(河北省)と威遠シェールガス液化プラント(四川省)の稼働により、国内石油メジャー以外からのガス調達量が20億立方メートルへ倍増する見通しがその背景にあるという。同社はまた、2023年のガス管新規接続件数について、前年比7%増の90万件を見込む。

 一方、分散型太陽光発電事業は2023年3月末までに設備容量1GW分を導入するとの目標を達成する見通し。新型コロナ関連の混乱で、本来の予定から3カ月遅れたが、同社は偶発事態が起きないとの前提の下、年内に3GWとの目標を維持している。

 BOCIは2022年のコア利益の下押しを受け、2023年、2024年の利益見通しをそれぞれ6%、9%下方修正したが、上海ガスの持ち株売却で、もともと予定していた株式交換・第2弾に伴う上海ガス向けの新株発行の必要性が消え、同社に絡む不透明感が払拭されたことを前向きに評価。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げ、株価の先行きに関する見方を強気に引き上げた。現在株価は2023年予想PER(株価収益率)で約9倍。向こう2年間のEPS(1株当たり利益)成長率が年率23%に達する見通しを考慮すれば魅力的な水準にあるとしている。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、主力のガス事業が予想外に低成長にとどまる可能性や、分散型太陽光事業の進捗(しんちょく)が遅れる可能性を挙げている。