2025年までに年率平均33%の増収・増益見通し、三つの要因がけん引へ

現地コード 銘柄名
02269

薬明生物技術

(ウーシー・バイオロジクス)

株価 情報種類

53.30HKD
(3/9現在)

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 バイオ医薬品の開発受託会社、薬明生物技術について、BOCIは2022-25年の増収率および増益率(調整後)が、いずれも年率平均33%に達するとみている。◇医薬品製造受託(CMO)業務の飛躍的成長、◇世界規模での新規プロジェクトの取得、◇業務処理能力の増強――の三つがけん引役になる見通しという。半面、海外業務比率の低下と高利幅の新型コロナ関連ビジネスの縮小で、粗利益率は2023年に前年(47%強)比約2ポイント低下し、2026年まで45-46%で推移すると予想。経営陣が示した業績見通しを踏まえ、2024年までの予想純利益を減額修正した。ただ、現在株価の2023年予想PEGレシオは1.0倍と、同業銘柄のロンザ、サムスン・バイオロジクスの2.4倍、4.2倍を下回ると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。(PEGレシオは将来的な利益成長率を基準に株価水準を測る指標:PER(株価収益率)÷1株当たり利益成長率)。

 まずCMO事業について、同社は短期的に既存の21プロジェクトの年間売上規模が138億元強に上る見通しを示している。さらに2025年までにはCMO案件総数が「32件以上」に増えると予想。従来の「28件以上」から上方修正した。BOCIは1件当たりの年間売上高を平均6億6,400万元強と想定し、2025年までに総額213億元規模に達するとみる。また、CMOの売上構成比が2022年の50%から2025年には60%、2026年には70%に上向くとする経営陣の見通しを基に、全体の売上高が2025年には358億元を上回ると予想。2022-25年の年率平均で33%強との増収見通しを導き出している。

 もう一つの高成長要因は、プロジェクト取得数の増加による世界シェアの拡大。同社は2023年に統合プロジェクト120件超を取得するとの目標を掲げるが、この数字は世界の新規プロジェクト総数の30%強に相当する。BOCIは欧米、日本からの受注が相対的に高い伸びを示すとみて、資金環境の冷え込みによる中国国内での取得数の縮小を補うとの見方。また、新型コロナ関連以外の売上高が2023年には前年比60%以上増加すると予想している。コロナ関連ビジネスの比重が2023年以降低下するとみられる中、同社はロンザ(2022-25年の予想増収率、増益率は年率平均11%、15%)やサムスン・バイオロジクス(同15%、同17%)を上回る収益成長を達成する見通しという。

 一方、業務処理能力の向上も高成長を支える見込み。2022年に26万2,000リットルだった業務能力を2024年には42万リットルに引き上げる計画。BOCIはこうした新規設備も2026年までにはフル稼働し、この時点のプロジェクト売上高を420億元と見込む。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、設備増強が予想より遅れる可能性、バイオテック部門の資金環境がさらに冷え込む可能性を挙げている。