2月のビットコインイベント

NEW! 2月9日 クラーケン、ステーキング停止
NEW! 2月13日 パクソス、Binance USD(BUSD)発行停止
NEW! 2月23日 ゲンスラーSEC委員長、BTC以外は証券に該当する可能性
NEW! 2月25日 G20議長総括、暗号資産にFSB・IMFの報告書に期待

*2023年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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2月の振り返り

2月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成

2月のBTC(ビットコイン)相場は小幅続伸

 BTCは2022年末をほぼ年間安値圏で迎えたが、1月は4割近く上昇し、相場の底打ちを感じさせた。上昇の主因はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ幅縮小。

 FRBが12月FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅を75bpから50bpに縮小する見通しとなるとBTCは下げ止まり、2月FOMCでさらに50bpから25bpに縮小する見通しとなり、反発した。

 2月1日のFOMCで実際に25bp利上げすると、BTCはピークアウトした。3日の米雇用統計が非常に強い数字だったことで、早期の利上げ打ち止め観測も後退し、BTCは2万4,000ドル近辺で上値を抑えられた。

 するとSEC(米証券取引委員会)から、マイニング競争ステーキングが証券契約にあたると指摘された米大手交換所クラーケンが同サービスを停止。さらに証券契約と指摘されたステーブルコインBinance USD(BUSD)の発行を、パクソスが停止すると、BTCも2万1,000ドル前半まで値を下げた。

 注目の米CPI(消費者物価指数)は事前予想を上回り、BTCは若干売られるも下げ渋ると、ソロスファンドやシタデルが暗号資産関連株を購入していたことが判明。コインベースやマイクロストラテジー、マラソン社などの株が上昇する中、BTCは2万4,000ドル台に急反発した。

 さらにBTCは昨年8月以来となる2万5,000ドル台まで値を伸ばしたが、CPIに続きPPI(卸売物価指数)も強く、メスター・クリーブランド連邦準備銀行総裁やブラード・セントルイス連銀総裁から、3月FOMCで利上げ幅を50bpに拡大する可能性が指摘され、BTCは上値を抑えられた。

 インドで開かれたG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議では、国内での暗号資産取引の禁止をもくろむインド政府が、世界的な規制強化を提唱。IMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事が、全面禁止も選択肢の一つとコメントしたが、イエレン米財務長官は、全面禁止は考えていないと否定した。

材料面から見た3月の見通し

50bp利上げの可能性

 2月はネガティブな材料が多かった。雇用統計、CPIともに予想を大きく上回り、PCEコアデフレーターに至っては、前月より上昇した。2月FOMCで25bpに利上げ幅が縮小され、市場の注目は利上げの打ち止め時期に移っていたが、逆に3月FOMCで利上げ幅を50bpに拡大する可能性が浮上した。

 今年は投票権を持たないクリーブランド連銀総裁やセントルイス連銀総裁などが、その可能性を示唆している。

FF先物に織り込まれた3月FOMCの利上げ幅(1回=25bp)

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 上グラフはFF先物市場における3月FOMCでの利上げ織り込みだが、月初は一部で3月利上げ見送り(2月で打ち止め)観測まであったのが、足元では50bp利上げを、一部織り込み始めている。

 ただし、織り込みはまだ一部で、3月21~22日のFOMC前に出てくる雇用統計やCPIの水準が強く、実際に50bpに拡大するとなれば、利上げ幅縮小でここまで戻してきたBTCにかなりの売り圧力がかかるだろう。

SECの法執行

 もう一つ、ネガティブな材料はSEC(米国証券取引委員会)の法執行だ。日本ではBTCなどの暗号資産は改正資金決済法で定義されているが、米国ではそうした明確な定義がない。

 これまでSECは、ある程度その判断をあいまいにしてきたが、2月になって、米大手交換所クラーケンが提供しているステーキングサービスを、証券契約に該当するとして罰金を科した上で停止させ、パクソスという暗号資産関連サービス会社が発行を請け負っている、Binance USD(BUSD)というステーブルコインが証券に該当するとして発行を停止させた。

 これでは、解釈によっては、発行方式をステーキングに移行した時価総額第2位のETHやBUSD以外のステーブルコインまでも、米国では証券に該当すると言われかねない。実際、SECのゲンスラー委員長は、(マイニング競争により発行される)BTC以外のほとんどの暗号資産は証券に該当する可能性があるとまで言及した。

 こうした事前の予告のないSECの「法執行」による規制強化は、暗号資産業界のみならず議会などからも批判の声が上がっているが、今のところ次に何が飛んでくるかわからない状況だ。

レジェンド投資家の暗号資産株買い

 こうしたネガティブな材料が続いた割に、BTCは下げ渋っている。その背景には投資家マインドの好転がある。以前から申し上げているように、BTCは、半減期による供給の変化から4年サイクルで動く傾向がある。

 1月の反発で、昨年11月の安値が大底であった可能性が高くなった。すると、従来のサイクルで半減期翌年に迎えるピークに向け、3年間にわたる上昇トレンドのスタート地点近辺にいることとなる。

 暗号資産業界の動揺も、長い目で見れば従来から続いている選手交代の一環だし、業界の問題とBTCとは別だ。SECは暗号資産への締め付けを強めているが、BTCは証券には該当しないという点は一貫している。

 FRBの利上げ再加速が懸念されているが、時期はともかく、いずれは景気が減速して利下げに転じることとなる。

 従って、4年サイクルで見れば、むしろ悪材料が出回っている方がポジションを仕込むチャンスだ、と見る投資家が増えてきているもようだ。

 単純に、下落トレンドで買い控えていた向きが、大底を迎えた可能性が高くなったので戻ってきたと言った方が分かりやすいかもしれない。代表的な投資家は、昨年11月からコインベース株を買増しているARK Investmentのキャシー・ウッド氏だ。

 彼女は、破壊的イノベーション投資と言って、パラダイムチェンジをもたらすような技術革新への投資で名をはせている。2月は、ジョージ・ソロス氏のプライベートファンド、ソロス・ファンドも、コインベースやマイクロストラテジーなど暗号資産関連株を購入した。

 同じく伝説的なファンドマネージャー、ケネス・グリフィン氏率いるヘッジファンド・シタデルも、暗号資産関連銀行のシルバーゲート株を購入したことが判明した。こうしたグッドネームの購入が、他の投資家の買い安心感につながっているもようだ。この結果、悪材料で売られたところでは、鋭く押し目買いが出る展開となっている。

 このように、材料的には3月のBTC相場は、上値の重い展開が続きそうだ。FOMCの結果によっては一段の下押しもあり得る。ただし、旺盛な押し目買い意欲から、下値余地も限定的と考える。

テクニカル要因で見た3月見通し

一目均衡表

BTC/USD一目均衡表

出典:TradingViewより楽天ウォレット作成

 一目均衡表を見ると、BTCは1月に雲の上限を突き抜け、3役好転の買いサインが点灯、その状態を保っている。これで上昇トレンド転換が鮮明に出ており、大きな波乱がなければ、せり上がって来る雲の上限がサポートとなりそうだ。

 一方で、一時的に雲の中に突入する可能性もある。材料面と併せて考えると、3月の指標が弱めで、21~22日のFOMCで利上げ幅が25bpに止まるのであれば横ばい推移。50bpに拡大するならば雲の中に突入するイメージか。その場合のサポートは、雲の下限の2万1,000ドル近辺か。

月別BTC騰落表

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

アノマリー

 最後に月別のアノマリーだ。2月は何とか陽線となり、2カ月連続の陽線となった。過去17回中10回が、翌月も陽線となっているが、直近3年に限れば4回中1回だけ。3回は陰線に転じている。月別で見ると10勝3敗の2月は最強で、3月は9月と並び最弱となる。アノマリー的には若干調整が入るイメージだ。

まとめ

 以上まとめると、3月のBTC相場は、FOMCでの利上げ幅次第で、25bpなら横ばい、50bpなら下がりそうだが、下値のめどは2万1,000ドル台といったところ。おそらく10日の雇用統計と14日のCPIあたりが分かれ目となりそうだ。

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