今週の予想

今週の後半は、日米ともに手控えムードが強まると想定

 先週末の3月3日(金)は、前日に米国で次回FOMC(米連邦公開市場委員会)の大幅利上げに対する警戒感が後退したことで、米国株の主要3指標が反発し、これを受けて日経平均株価は1カ月以上続いたもみあいから大きく反発し、+428円の2万7,927円となりました。

 昨年12月15日以来(終値2万8,051円)ほぼ2カ月ぶりの高水準に浮上しました。売り方の買い戻しも加速したようにみえます。今週(6~10日)は、買い方有利の状況が継続するのかどうか注目となります。

 米金利上昇が抑えられたことが確認できれば、上昇は継続する可能性があります。先週末の米国市場は景気後退懸念が緩和し、ソフトランディング期待から主要3指標そろって大幅続伸となり、ダウ工業株30種平均は+387ドルの3万3,390ドルとなりました。シカゴ日経先物は+305円の2万8,205円となっています。

 今週の日経平均は、先週末の+428円の2万7,927円で今年の高値を更新し、積み上がってきていた信用売り残の買い戻しも加速化してきているので、目先は先物買いも入って買い方有利に展開しそうです。3日(金)の動きは、これまでの上値の重さが一気に取り払われ2月以降は必ず上値のフシになっていた2月6日の高値2万7,821円を突破しました。

 ただし、2万8,000円台は再び上値のフシになる可能性があるところですので、当面は2万7,500~2万8,500円のレンジ内の動きとなる可能性があります。昨年の11月24日の2万8,502円が上値目標となります。

 日足チャートをみると、2月22日に2万7,046円まで下落しましたが、24日にはすかさず切り返し、集中する移動平均線(25日線、75日線、200日線)をクリアーして、その後、これらの移動平均線を割ることなく推移し、先週末の3月3日に急騰し、上昇への方向感が出ました。2万7,046円をつけて陰線を暗示しましたが、これは「ダマシ」だったということになります。

 今週の週始めは、2万8,000円をぬけて上値を試すことになりそうですが、日本銀行金融政策決定会合が9~10日に予定されています。10日(金)にはメジャーSQがあり、米国では2月雇用統計の発表が控えていますので、日米ともに週後半は手控えムードが強まることが予想されます。

今週の指標:日経平均株価

 チャートからは、週末の米国市場でシカゴ日経先物は+305円の2万8,205円となっていることで、日経平均は昨年11月24日の2万8,502円を目指すことになりそうです。積み上がっていた信用売り残のポジションの巻き返し(買い戻し)が加速すれば、目先は買い有利となります。柴田罫線でも3月3日の2万7,961円は「ろく買」という買い方有利の買法則がでています。

先週の動き

 先週は、2万6,900~2万7,500円のもみあいを想定しました。週半ばの3月1日(水)までは米国経済の不透明感を受けて神経質な動きとなり、下値は2月27日(月)の2万7,292円、上値は28日(火)の2万7,585円の中のもみあいとなっていました。

 2日(木)にザラ場で2万7,617円の高値をつけて、上を試す動きとなりました。3日(金)は、前日の米国の景気後退への懸念が和らぐと米国株式が大幅反発しました。これにより日経平均は先物と売りの買い戻しで急上昇し、2万7,961円まで上昇、終値は+428円の2万7,927円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、パウエル議長の上下両議会での証言や、重要な経済指標の発表が控えており、ドル/円は一進一退の動きとなりそうです。

 半年に一度開催される金融政策を巡るパウエル議長の上下両議会での証言や雇用統計など金融政策決定で重要なイベントが注目となり、インフレや経済への不透明感は依然強く、方向感のない状況が続きそうです。

 次回のFOMCでは前回に引き続き0.25%の利上げが見込まれており、市場では0.50%の利上げも若干織り込み始めているようです。

 なお、アップルは10日に年次株主総会を予定しており、内容がハイテク関連に影響を与える可能性もあり注目となります。経済指標では、1月製造業受注、1月卸売売上高、2月ADP雇用統計、1月貿易収支、2月雇用統計などの発表が予定されており、結果が株価にどう影響するのか注目となります。

先週の動き

 2月21日の▲697ドルで柴田罫線が三角保ち合いの下放れとなったことで、下値を探る動きが続くとしていました。

 2月27日(月)は、前週の大きな下げの反動で買い戻し優勢から+72ドルの3万2,889ドルと反発。28日(火)は、根強い金利先高懸念で▲232ドルの3万2,656ドルと大幅反落、3月1日(水)は、3万2,500ドルまで下げるものの、月初めの新規買いでプラス圏を回復し、+5ドルの3万2,661ドルで引けました。

 2日(木)は、アトランタ連邦準備銀行総裁が「次回FOMCでは0.25%の利上げを支持」と発言したことで、0.5%以上の大幅利上げに対する警戒感が後退し、主要3指標は反発しました。

 NYダウはセールスフォース・ドットコムの決算を受け大幅高となったことで、+341ドルの3万3,003ドルと続伸しました。週末の3日(金)は、長期金利の上昇が一段落した安心感から買いが先行し、2月ISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数が予想を上回った一方で、金利低下がハイテク株の買い戻しにもつながり、NYダウは+387ドルの3万3,390ドルと続伸しました。

今週の指標:ドル/円

 先週は、3月1日発表の2月米ISM製造業景況指数を受けてドル/円は135.26円まで下落するものの、インフレ緩和の期待も後退したことでドル買いが優勢となりました。またミネアポリス連銀総裁が政策金利のピークは5.4%を上回る可能性があるとの見方を示したことで、ドル買い優勢となりました。

 新規失業保険申請件数は減少したことから、米長期金利が一段と上昇したこともドル買い・円売りを促し、2日のNY市場でドル/円は昨年12月以来となる137.09円まで買われました。

 3日のNY外為市場で、ドル/円は、136.42円まで上昇後、135.75円まで反落しました。アトランタ連銀総裁が小幅な利上げを推奨したため、長期金利は低下し、ポジション調整に絡んだドル売り・円買いが優勢となりました。

 今週は、9~10日に開催される日銀金融政策決定会合で、現行の緩和政策を維持する公算で、そうなると円売り優勢となりそうです。

先週の動き

 前週は、経済指標が予想を上回るものが多く、インフレ圧力が高止まりしていることで、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げの長期化見通しから、金利先高感が高まり、NYダウは大きく下げました。ドル/円は135円台後半から137円台前半の中でのもみあいが続きました。

 週末の3日(金)は、アトランタ連銀総裁が次回のFOMCにおいて0.25%の小幅な利上げを推奨したことで、金利が低下し、ドルが反落しました。3日のNY市場ではドル/円は136.42円まで上昇後、135.75円まで下落し、135.83円で引けました。

先週の結果

先週は、米国経済での金利先高感が不透明だったが、週末に不透明感後退し2万8,000円水準まで上昇

 先週の予測では、米国では経済指標が予想を上回るものが多く、インフレ圧力が高水準のままなので、金利先高感が強く、米国の動き(特に為替とNYダウ)に注意としました。特別に大きな動きがなければ、当面のレンジを2万6,900~2万7,500円としました。

 結果的には、2万7,500円をはさんだもみあいとなりました。そのもみあいでは、日経平均の指数を動かすのは、東京エレクトロン、アドバンテスト、ファナックなど半導体関連の輸出関連株の2~3銘柄だけで動いていました。指数に関わらない中小型の好業績銘柄は買われていました。

 2月27日(月)は、前週末の米国株の主要3指標が大きく下げたことで、日経平均は、一時▲160円の2万7,292円まで下げましたが、為替がドル買い・円売りとなっていたことで、輸出関連株はしっかりした動きになり、一時+2円の2万7,456円とプラス圏を回復しましたが、終値では▲29円の2万7,423円でした。

 28日(火)は、前日の米国市場で金利低下を好感し、主要3指標がそろって反発したことで、日経平均は一時+161円の2万7,585円まで上昇しましたが、上値が重く終値は+21円の2万7,445円となりました。

 3月1日(水)は、前日の米国市場では、根強い金利先高感が重しとなり、主要3指標そろって反落しましたが、日経平均も朝方は一時▲140円の2万7,305円まで下げるものの、円安にサポートされ+70円の2万7,516円と反発しました。

 2日(木)は、先物主導で2万7,617円まで上昇するものの、すぐに2万7,408円まで反落し、その後は2万7,500円中心にもみあいへ。

 3日(金)は、前日の米国でアトランタ連銀総裁が「次回のFOMCでは0.25%の利上げを支持」との発言を受け、0.5%以上の大幅利上げに対する警戒感から経済の不透明感がありましたが、後退し、主要3指標そろって反発しました。これを受けて日経平均は急騰となり、+184円の2万7,683円で寄り付くと、先物買いを交えて上げ幅を広げ、2月6日の今年の高値2万7,821円を上回ると2万8,000円を目指す動きとなりました。

 結局、+462円の2万7,961円まで上昇し、その後は上値が重くなるものの、大引けにかけて高値圏を保ち+428円の2万7,927円で引けました。

 3日(金)の米国株式は、FRBによる景気後退懸念が引き続き和らぎ、主要3指標は大幅上昇となり、NYダウは+387ドルの3万3,390ドルと続伸しました。ただ市場では労働市場の逼迫(ひっぱく)やインフレ率の高止まりを受け、利上げは長期化するとの観測はそのままですが、金融引き締めが続く中でも、「穏やかな景気後退にとどまる可能性」が示唆されています。

 つまり、景気を維持しながらインフレを抑制する「ソフトランディング」への期待が高まりました。シカゴ日経先物は+305円の2万8,205円となっています。