株式投資で最も重要なことは?

 筆者は、依頼を受けて外部講師としてセミナーをしたり、時には独自にセミナーを企画・運営して個人投資家の方へ株式投資についての有益な知識・情報の提供に努めています。

 その際、株式投資で最も重要なことは何かを常にお伝えしています。

 株式投資で最も重要なことは何だと思いますか? それは、銘柄選びの精度を高めることでも売買のテクニックでもありません。「大きな損失を出さないようにすること」です。

 これまでも、過大なリスクを取って上昇相場で大きな利益を上げた個人投資家が、その後の下落相場で利益を吐き出した上、一文無しになって退場させられるケースを何度も見てきました。

 いくら利益を上げていたとしても、それを上回るような大きな損失を出してしまえば、下手をすると「一発退場」のリスクすらあります。

 そして、大きな損失を出してしまう可能性が高い行動の一つが、「単一銘柄への集中投資」なのです。

突然株価が大きく急落することは決して珍しくない

 先日の決算発表で、業績予想の下方修正を発表した結果、株価が連続ストップ安となり、決算発表前の株価からあっという間に半値以下に下がってしまった銘柄がありました。

 これとは別の事例では、期待されていた新薬開発の中止により、株価が一気に5分の1になったこともあります。

 このように、決算発表での業績予想下方修正や、新製品・商品開発の中止、事故や不祥事といった理由により、株価が短期間で40%、50%、時にはそれ以上の急落を見せることは決して珍しくありません。

 そして、こうした株価急落により、一気に多くの財産を失ってしまう個人投資家も少なくないのです。

 特に危険なのが、信用取引を使ってレバレッジをかける手法です。信用取引は約3倍のレバレッジをかけることができますが、もし特定の銘柄にフルレバレッジで投資し、その銘柄の株価が一気に30%値下がりすると、資金はほぼゼロになります。

 さらに、ストップ安の連続で値が付かずに一気に50%値下がりしたならば、証券会社に差し入れている証拠金だけでは足りず、借金が残ってしまうこともあるのです。

大きく負けないためには「1銘柄10%以内」を目指そう

 単一の銘柄だったり、2~3銘柄に絞って資金を集中的に投資した方が、大きな利益を得られる可能性が高いのは確かです。

 しかし、「大きな利益を得られる」ということは、裏目に出れば「大きな損失を被る」ということであり、極めてハイリスク・ハイリターンな投資手法です。

 無論、大きな損失を覚悟で大きな利益を目指したいというのであれば止めはしませんが、それではギャンブル的な要素が高くなってしまいます。

 ではどうすれば大きな損失を被るリスクを低減できるのでしょうか? 筆者がお勧めしているのは、1銘柄につき投資する資金を、投資可能資金の最大10%以内にする、というものです。

 もし1銘柄に集中投資して、決算発表などで株価が60%下落してしまえば、自身の資産も60%減少してしまいます。もし、その後業績悪化が続き、株価が10分の1になれば、資産も10分の1になってしまいます。

 これは、1銘柄に集中投資していれば大いにあり得ることです。

 でも、1銘柄につき投資可能資金の10%にとどめておけば、その銘柄の株価が10分の1になっても、資産トータルでみれば9%の減少にとどめることができます。この程度なら十分挽回は可能です。

もし数銘柄に絞って投資するならこんな点に注意!

 さすがに単一銘柄ではリスクが高すぎるということで、3銘柄程度に分散することを勧める専門家の方もいます。

 そして実際、そのような投資手法で大きな利益を上げている方がいるのも事実です。

 しかし筆者としては、数銘柄に絞って投資して成功するかどうかはかなり運の要素が強いと思います。

 運が悪ければ、数銘柄全てが大きく値下がりしてしまうこともあるからです。

 そこで、筆者は勧めませんが、もし数銘柄に絞って投資する場合どのような点に注意すべきかをお伝えしたいと思います。

 まず、銘柄数が少なければ少ないほど、ファンダメンタル分析による銘柄分析の精度を高める必要があります。数銘柄であれば、プロ並みの分析力をもって臨まなければ危険です。

 もう一つ、バイ・アンド・ホールドではなく損切りをルール化して遵守するということです。

 最悪の場合、数銘柄全て株価が80%、90%下がってしまうという可能性も否定できません。実際、成長株に投資して成長が止まれば、それくらいの下落は頻繁に生じます。

 ですから、「買値から〇%下がったら損切りする」というルールを作り、それを実行することで損失が不用意に膨らまないようにしておくのが重要です。

 集中投資をすると、たった1度の失敗で大きな損失を被るリスクを背負ってしまいます。それよりは、ある程度銘柄を分散して投資する方がそこまで莫大(ばくだい)な利益は望めないものの、大きな損失も回避できます。

 その方が個人投資家の行う株式投資として望ましいのではないか、と筆者は思っています。

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