S&P500種指数はハイテク銘柄の影響を受けやすい

 米国株の投資先として、S&P500種指数(以下、S&P500)に連動する投資信託やETF(上場投資信託)に投資している方は多いでしょう。

 この指数は時価総額が大きい銘柄の構成ウエートが大きくなる「時価総額加重平均」指数で、ウエートの大きい5銘柄で指数ウエートの20%超を占めています。そのため投資する際には時価総額が大きい少数のハイテク銘柄の影響を受けやすい特性を理解することが大切です。

 実際に2021年末からS&P500と構成上位5銘柄(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、テスラ)の推移を比較すると、これらの銘柄が指数全体を押し下げていることが分かります(図1)。2023年に入って以降、米国の利上げ停止期待から株価は回復傾向にありますが、2022年初の水準に戻るのは時間がかかりそうです。

図1:S&P500と構成上位5銘柄の推移

米国株の分散投資アイデア~クオリティ高配当、配当貴族~

 S&P500のハイテク銘柄のウエートが大きい特性を踏まえると、米国株に投資する上で別の特性を持つ指数への組み合わせ投資が有効だと考えられます。例えば「S&P500クオリティ高配当指数(以下、クオリティ高配当)」や「S&P500配当貴族指数(以下、配当貴族)」などがあります。

 クオリティ高配当とは、S&P500構成銘柄のうちクオリティスコアと配当利回りの両方で上位200銘柄に入る銘柄、すなわち健全な収益・財務基盤を持つ配当銘柄で構成される指数です。構成銘柄数は77銘柄で、各銘柄のウエートは時価総額に関係なく均等にします。

 配当貴族とは、S&P500構成銘柄のうち25年以上連続で増配している優良な大型銘柄で構成されます。構成銘柄数は64銘柄で、こちらも同様に各銘柄のウエートは均等にします。

 この二つの指数とS&P500のパフォーマンスを2022年の年初から比較すると、クオリティ高配当と配当貴族が底堅く推移しています(図2)。三つの指数で大きく異なるのは、指数を構成するセクターのウエートです。

 図3をみると、クオリティ高配当と配当貴族は生活必需品セクターのウエートが最も大きくなっており、情報技術セクターが25%超を占めるS&P500とは対照的です。足元の相場では、このような指数のセクターウエートの違いがパフォーマンスに影響を及ぼしています。

図2:クオリティ高配当、配当貴族、S&P500の推移

図3:指数の構成セクター比較

「指数の構成銘柄数が少ない=リスクが大きい」は勘違い!

 S&P500より銘柄数が少ないとリスクが高いと思う方もいると思います。指数のリスクについて数値化して考えてみましょう。

 まず、投資の世界におけるリスクとはリターンの振れ幅を指します。リスクの大きさは標準偏差で数値化できます。標準偏差の詳しい説明は割愛しますが、標準偏差の値が大きいほどリスクが大きいということです。

 図4は三つの指数のリスク(標準偏差)を比較したものです。短期と長期どちらを見てもS&P500のリスクが最も大きい結果となります。

 つまり、必ずしも銘柄数とリスクは比例しないのです。また、リスク調整後のリターンをみると、クオリティ高配当と配当貴族の方がS&P500より優れています。クオリティ高配当と配当貴族は共に配当に注目した指数のため、配当がリスクの低減やリターンの底上げに寄与していると考えられます。

図4:指数のリターン、リスク比較

 米国の株式市場の大部分をカバーするS&P500に投資するのも良いですが、他の特性を持った指数と合わせて投資することで、より長期的なパフォーマンスの向上が期待できるのではないでしょうか。

 具体的な投資対象としては、S&P500クオリティ高配当に連動する米国上場のグローバルX 高配当・優良・米国株 ETF(QDIV)や、S&P500配当貴族に連動する東証上場のグローバルX S&P500配当貴族ETF(2236)があります。

 ETFでは構成銘柄から獲得した配当を決算毎に分配するため、投資家は定期的にETFから分配金を受け取ることができます。また、配当貴族ETF(2236)のような東証上場の外国株式ETFは、日本時間に円で売買できることに加えて、分配金にかかる外国と日本の二重課税がETF内で自動調整されるなど、投資家にとって利便性に優れています。

 この二つのETFについてもう少し知りたい方は、ぜひ以下の動画をご覧ください。