2月16日から2022年分の確定申告の相談および申告書の受付が開始されます。会社員の方は確定申告なんて自分には関係ない、子どもが生まれて出産費用がかかったけどよくわからないからもういいや!と思っている方も多いのではないのでしょうか?
そんな方は要注意! 実は、確定申告は払い過ぎた税金が戻ってくるだけではなく、児童手当の所得制限や保育料の金額、高校無償化の基準に影響してくるのです。
全ては所得によって決まる!所得を減らすために控除を漏れなく申告しよう
税金が返ってくるかどうかはもちろん、児童手当の所得制限や保育料の金額、高校無償化の基準も収入から各種控除を差し引いた所得をもとに決まります。
所得=収入-控除 |
児童手当は所得制限限度額未満であれば
- 0~3歳未満 一律1万5,000円
- 3歳~小学校修了まで 第1子・第2子:1万円 第3子以降:1万5,000円
- 中学生 一律1万円
が支給されますが、所得が所得制限限度額以上になった場合、一律5,000円の特例給付になってしまいます。また、所得上限限度額以上になった場合は特例給付も受けることができません。
保育料も所得によって金額が変わることはご存じでしょうか? 保育無償化については所得制限がありませんがこれは3歳児クラス以上の話。0~2歳の保育料は世帯住民税の所得割額によって決まります。
4月から8月までの保育料は前年度の所得、9月から3月までの保育料は当年度の所得によって決まります。所得割額による保育料の区分が一つ変わることによって月額保育料が2,000円変わるということもあります。
高校無償化は高等学校等就学支援金制度のことです。全員が無償となるわけではなく、通う学校や世帯所得によって支援金の金額が変わります。目安としては年収590万円未満世帯が無償となり、年収910万円未満の世帯が支援の対象ですが、各世帯の扶養人数や控除などが加味された上での課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除の額によって判定されます。
このように全て収入から各種控除を差し引いた所得をもとに判定されます。ただし、自身が該当する控除がある場合は年末調整や確定申告で自分で申告しなければならず、自動で控除してもらえるわけではありません。控除を申請し忘れていても会社や税務署が忘れていますよと教えてはくれません。該当する控除がないかどうか、よく確認し、漏れなく申告することが大事です。
育休中・産休中は配偶者控除・配偶者特別控除の対象になるかもしれません!
産休中・育休中で配偶者の所得が48万円以下なら配偶者控除の対象に、133万円以下なら配偶者特別控除の対象となります。(ただし納税者本人の所得が1,000万円以下であること)出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金をもらったから超えているなと思われた方もいるかもしれませんが、これらは所得に含める必要はありません。
共働きで通常は配偶者の扶養に入っていないという方であっても、産休中・育休中の場合は対象となるかもしれませんので確認の上申告しましょう。
生命保険料控除は3種類ある!契約者が妻の分も入れられます!
生命保険料控除は生命保険に加入している場合、所得控除してくれるというものです。
年末調整で会社が手続きをしてくれるので多くの方が利用していると思います。
ここで漏れがちなのが、3種類ある生命保険料控除のうちそれぞれの上限まで申告ができていないというケースです。
生命保険料控除は保険の契約時期や内容によって一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料に分類され(新制度の場合)、それぞれに控除額の上限が設定されています。3種類あるということを知らず、一般生命保険料分しか申告していないといったケースがよくあります。きちんとそれぞれの種類を申告しているかもう一度確認してみましょう。
また、2011年12月31日以前の契約は旧制度、2012年1月1日以降の契約は新制度として計算され、新制度では控除額が拡大しています。新制度の契約があるにもかかわらず旧制度のみで申告している場合にも控除枠を使い切れていない可能性がありますので確認してみましょう。
また、配偶者が契約者である生命保険料も控除対象となるということを知らずに申請していないケースも多いです。例えば妻の契約であっても夫が保険料を払っている場合、夫の生命保険料控除の対象となります。
配偶者や子どもの社会保険料も控除される!
自分の社会保険料については年末調整で会社が計算してくれますが、生計を一にしている配偶者や子どもの社会保険料を払ったときにも社会保険料控除の対象とすることができます。確定申告で申告しましょう。
iDeCoや企業型確定拠出年金も対象!
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、企業型確定拠出年金への拠出金が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。企業型確定拠出年金に加入している人は会社にマッチング拠出の制度がないか確認してみましょう。マッチング拠出とは加入者が掛金を上乗せできる制度です。上乗せすることで控除を増やすことができます。
ふるさと納税や住宅ローン控除は保育料、児童手当、高校無償化判定の対象外…
ふるさと納税や住宅ローン控除はもちろん税金の控除の対象ではありますが、実は保育料、児童手当、高校無償化の判定における控除には該当しません。しかし、税金の控除はありますので必ず申告してください。
年末調整で控除し忘れた!ワンストップ特例制度でミスをした!確定申告をすれば大丈夫
年末調整で申告し忘れた場合やふるさと納税でワンストップ特例制度を利用するつもりだったのに書類提出が間に合わなかったり、6団体以上に寄付してしまったという方も確定申告をすれば大丈夫です。
このコラムを読んで、今まで申告していなかった!という方も5年以内であればさかのぼって申告し、控除をうけることができますのであきらめずに申告してください。
(ただし、さかのぼって保育料が返還されるということはないようです…。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。)
今はスマホでも簡単に確定申告をすることができます。確定申告の期間には税務署などに相談会場が設置され、担当者に教えてもらいながら申告書を作成することもできますので、ぜひチャレンジしてみてください。
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