企業業績の悪化後、日経平均は下落する傾向に
日経平均株価(225種)はこの1年、2万5,000円から2万9,000円の前後のレンジ相場となっていて、世界的な景気後退が懸念される中で、比較的値を保っています。
独自分析においては、昨年11月4日に企業業績悪化のシグナルが出た後、いったんは持ち直す動きをみせていました。しかし、今年1月27日に再度、悪化のシグナルが点灯してきています。
この企業業績悪化のシグナルは、分析上、売りシグナルとして捉えているもので、過去においてはその後、日経平均が下落する展開となっています。このため、今後の参考として、過去にどのような動きをしていたのかについてお伝えをしていきたいと思います。
私は運用を考える上で、おおむね3年半でサイクルしている景気循環をベースに置いています。その景気循環において、現在どの位置にいるのかをまず見ていきたいと思います。
(図1)景気循環に伴う株価のイメージ

景気循環のそれぞれの局面を「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていますが、昨年11月4日に1回目の企業業績悪化のシグナルが出ました。独自分析による日経平均の予想EPS(1株当たり利益)が4週前比でマイナス転換になったことにより、「秋」から「冬」に変わり、現在は「冬(前半)」に位置しています。
この「冬(前半)」において、過去、日経平均がどのような動きをしていたのかを見ていきましょう。
(グラフ1)日経平均株価と企業業績、景気循環の関係

出所:日経平均株価は日本経済新聞社の公表データを基に作成。予想EPSはIFIS提供データを基にマネーブレインが独自分析し作成。景気循環についてはマネーブレインが独自分析し作成
グラフ1においてグレーで示した箇所が「冬」で、2015~2016年、2018~2019年を見てみると、ともに「冬(前半)」に大きく下がっていることが分かります。
それぞれについて、より詳しく確認していきましょう。
(グラフ2)日経平均株価と予想EPSの前年比増減率(2015年7月~2016年6月)

グラフ2をみると、2015年8月に企業業績が悪化(予想EPS 4週前比がマイナス転換)した後、いったん持ち直して、再度2016年1月に悪化しています。1段目よりも2段目の方が悪化の度合いが深くなっていて、その動きに沿う形で日経平均も2段下げをしています。
(グラフ3)日経平均株価と予想EPSの前年比増減率(2018年7月~2019年6月)

2018年から2019年にかけても、2018年9月に企業業績が悪化(予想EPS 4週前比がマイナス転換)した後、いったん持ち直して、再度11月に悪化しています。2015~2016年と同じように、2段目の方が悪化の度合いが深く、日経平均も2段下げをしています。
今は景気の「冬」前半、大きな値崩れに警戒する時期
では、今回はどうなのか、読み解いていきましょう。
(グラフ4)日経平均株価と予想EPSの前年比増減率(2022年7月~)

今回においても、昨年11月4日に1段目の企業業績悪化のシグナルが出た後、いったん持ち直し、1月27日に再度、悪化のシグナルが出た形となっています。そして、この再度出たシグナルをもって、おそらく2段目の悪化局面に入ったものと考えています。
2015年、2018年と今回との違いは、2015年、2018年においては日経平均が直近のピークあたりで1段目の企業業績悪化のシグナルが出たのに対し、今回は、日経平均のピークから1年以上経過し、かつ、1割程度下げたところで出ています。
このため、先々の業績悪化がある程度は既に織り込まれているとも言えますが、景気循環から考えると、少なくともどんどん上がっていくことは難しいと考えています。
「冬」の時期は過去においてはおおむね1年程度で、日経平均が上がり始めるのは冬の終わりごろとなっています。現在は「冬」入りをしてまだ4カ月で、これから、2段目の企業業績の悪化局面に入ってくると思われる時期にいます。先々の景気回復を考えて今から買う向きがあるにしても、日経平均が上がっていくには早すぎるという印象を持っています。
景気循環を考えた際に、「冬(前半)」は大きく下げやすい傾向があり、かつ、2段目の企業業績悪化のシグナルは分析上、最も警戒しないといけないシグナルとして捉えています。実際には、企業業績が今後どれくらい落ち込むかによると思いますが、良くて横ばい、企業業績悪化の度合いが深まれば大きく下がることもある要警戒の時期と考えています。
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