個人投資家の皆さんの悩みは共通している

 筆者のところには、個人投資家の皆さんからの相談がよく来ます。そして、個人投資家の困りごとというのはかなり共通しています。

 その中で圧倒的に多いのが「塩漬け株に困っている」というものです。残念ながらこれに対する対処法はなく、今後塩漬け株をつくらないようにしましょう、としか言いようがないのが現実です。

 これに関連して最近よく聞くのが、「安くなった株を買ったのに全然上がらない」とか「さらに下がってしまった」という悩みです。

 確かに株式投資で成功するためには「安く買って高く売る」のがポイントです。ただ、この言葉を額面通りとらえていては、逆に失敗する可能性が高い点に十分注意が必要です。

株が安くなるのには2パターンある!

 確かに株を高く買うより、安く買う方がその後利益を得る可能性が高まるのは事実です。しかし、全てのケースにおいてそれが当てはまるわけではないのです。

 実は、株が安くなるのには2パターンあり、それぞれのパターンにおいて、利益を得る可能性が高まるのか、あるいは損失を被る可能性が高まるのかが異なります。

 パターンAは、ある特定の銘柄のみが大きく値下がりして安くなるパターンです。他の銘柄はそれほど下がっていない、もしくは上昇しているにもかかわらず一部の銘柄は大きく値を下げている状況です。

 パターンBは、例えば2020年2月~3月の「コロナ・ショック」のときのように、ほぼ全ての銘柄が一斉に大きく下がり、株価が安くなるパターンです。

なぜパターンAで安くなった株を買うと失敗しやすいのか?

 ここまで書けば、どちらが利益を得やすく、どちらが損失を被りやすいかお分かりいただけるのではないでしょうか。

 パターンAで値下がりしている銘柄というのは、他の銘柄に比べて相対的に弱い銘柄です。

 そして、なぜ弱いかといえば、その多くが「業績の悪化をプロ投資家が察知して株を売却しているから」と推測できます。

 ですから、パターンAで値下がりしている銘柄を買うということは、業績が悪化している可能性が高い銘柄を買うことにつながります。

 そのため、買った後も株価が上がらなかったり、業績の下方修正などがその後発表されてさらに株価が大きく下がってしまったりするのです。

企業実態に変化がないのに株価が下がるシチュエーションは狙い目になる

 一方のパターンBでは、株式市場全体が売られ、「株を持っていること自体がリスク」と多くの投資家が感じている状況です。時には半ばパニック的な投げ売りも多く生じます。

 このような状況では、普段だったらなかなか株価が下がらない優良な株を安く買えることになります。

 おそらくパターンAの状況では、優良な株は値下がりしなかったり、上昇を続けていることが多いと思われますが、パターンBでは、業績が良かろうが悪かろうが一緒くたに売られます。

 実は、このようなシチュエーションで、普段はなかなか値下がりしない優良な株を買うことが、まさに「安く買う」という意味なのです。

株価だけに注目するのではなく企業実態の変化の有無に着目を

 もし5,000円の株が3,000円に値下がりした時、株価だけをみれば確かに40%値下がりしているので、安く感じるかもしれません。

 しかし5,000円から3,000円に値下がりした理由が、業績悪化を織り込んでいるのであれば、これは企業の状況に変化が生じた結果の株価下落ですから、実際に割安にはなっていない可能性が高いのです。パターンAの場合、このような株価下落となる銘柄には要注意です。

「株価が割安になった」というのは、単に株価が下がったからという理由ではなく、企業の実態に何も変化がないにもかかわらず株価だけが下がっている状態であることをぜひ理解してください。

 そして、企業実態に変化がないのに株価が大きく下がることは通常ではあまりなく、株価が急落する「〇〇ショック」の時に生じやすいということも押さえておきましょう。

 もし株を安く買ったつもりなのに利益につながらない、という方は、パターンAの状況で買っている可能性が高いと思います。必ずしも「株価が下がった=株が割安になった」というわけではありませんから、今後は十分留意して、買うかどうか検討するようにしてくださいね。

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