皆さま、新年あけましておめでとうございます。

 本年も引き続きよろしくお願いいたします。

 3年ぶりに行動制限がない年末年始をいかがお過ごしでしたでしょうか?

 久しぶりの帰省や家族旅行などで日本国内の各交通機関の混雑が見られました。

 中国はこれから旧正月休暇(1月21~27日)を迎えます。ゼロコロナ政策緩和後の初めての大型連休。中国全土で実家への帰省や春節休暇に伴う旅行などが一斉に行われる「春運」、世界で最大規模の大移動は今年復活していくのでしょうか?

波乱万丈な一年を記録した米国株式市場を振り返り!

<直近1年のNYダウ指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 2022年12月の米国株式市場は11月の上昇基調を維持できず、下落相場に転じました。FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの長期化や景気後退による業績懸念の強まりが下落の原因として挙げられます。主要指数であるダウ工業株30種平均は年間で8.78%下落し、下落幅は2008年リーマンショック以来の大きさとなりました。

 2022年1月4日に終値3万6,799.65ドルと史上最高値を更新したNYダウ指数ですがウクライナ情勢の緊迫化に伴い、下落に転じました。その後、一時的に相場が回復したものの、米国国内で急速なインフレを記録した影響で、FRBは約3年ぶりの利上げに踏み切ることを発表しました。市場参加者による米国景気の冷え込みへの懸念から株式市場はふたたび下落しました。

 残念ながら、クリスマスから新年の1月にかけて株価が上昇するという「クリスマスラリー」は2022年末に実現できませんでした。

 2023年1月6日に発表された「12月ISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数(総合)」はネガティブサプライズの49.6と、市場予想の55.0を大幅に下回り、2年7カ月ぶりに好不況の節目である50を割り込みました。当該指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示すといわれています。

 2023年の米国株式市場はどんな年になるでしょうか。米国経済指標および世界情勢を引き続き注目しましょう!

ゼロコロナ政策緩和後の中国経済と株式市場はどうなる?

<直近1年の香港ハンセン指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 2022年12月の香港株式市場は、11月の上昇基調を維持し、主要指数であるハンセン指数は2万ポイント台まで回復しました。

 2022年2月に北京冬季オリンピックが行われ、パンダをモチーフにした大会公式マスコット「冰墩墩(ビンドゥンドゥン)」は、トップアスリート級の注目を集めていました。グッズは、開催前の売れ行きが伸び悩みましたが、開会式終了後に爆発的に売れ始めました。

 オリンピック開催を機に、中国当局はゼロコロナ政策を掲げ、2022年3月からの半年間、帰国者の陰性証明や隔離政策を一部緩和したものの、主要都市のロックダウンを継続的に実施していました。

 中国の金融・経済の中心である上海は2カ月間のロックダウンを経て、4-6月期のGDP(国内総生産)は前年同期比▲13.7%と大幅なマイナスに転落したことで、株式市場も下落基調に転じました。

 11月中旬から海外入国者の隔離政策のさらなる緩和や、12月上旬にゼロコロナ政策の撤廃が実行されたことで、中国本土での感染急拡大が懸念される一方、それを乗り越えた後の中国経済の本格的な回復が期待されます。

 中国本土でゼロコロナ政策をやめた後の初めての「春節」休暇は、中国当局の見通しでは、2023年春節期間中に約21億人が国内移動するとの予測を発表し、2022年からほぼ倍増となる見込み。

 世界で最大規模の大移動と知られる「春運」によるさらなる感染拡大を恐れて、これまでに中国の隔離政策の緩和を求めてきた日米や欧州諸国など各国は昨年末から、中国からの渡航者への新型コロナの水際対策を強化することを次々と発表しました。今後の動きを引き続き注目していきましょう!

2022年度の個人投資家に人気だった外国株式銘柄は!?

2022年度 米国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低購入金額(円) 関連するテーマ
1 VTI バンガード・トータル・ストック・マーケットETF 25,805 ETF、米国株式
2 AAPL アップル 17,239 スマホ、PC
3 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF 5,453 ETF、高配当株式
4 TSLA テスラ 15,037 電気自動車
5 VYM バンガード・米国高配当株式ETF 14,732 ETF、高配当株式
6 SOXL Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF 1,446 レバレッジETF、半導体
7 VOO バンガード・S&P 500 ETF 47,422 ETF、S&P500
8 QQQ インベスコQQQ 信託シリーズ1 35,750 ETF、ナスダック100
9 MSFT マイクロソフト 29,916 ソフトウェア、PC
10 KO コカ・コーラ 8,432 飲料大手、個別銘柄
※楽天証券内買付者数ベース。2022年1月1日~12月31日、国内約定日ベース。

2022年度 米株積立設定人数ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低購入金額(円) 関連するテーマ
1 VTI バンガード・トータル・ストック・マーケットETF 25,805 ETF、米国株式
2 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF 5,453 ETF、高配当株式
3 VYM バンガード・米国高配当株式ETF 14,732 電気自動車
4 HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETF 14,186 ETF、高配当株式
5 VOO バンガード・S&P 500 ETF 47,422 レバレッジETF、半導体
6 VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF 11,753 全世界、無料ETF
7 VIG バンガード・米国増配株式ETF 20,546 増配、ETF
8 KO コカ・コーラ 8,432 飲料大手、個別銘柄
9 EPI ウィズダムツリー インド株収益ファンド 4,382 インド、無料ETF
10 AAPL アップル 17,239 スマホ&PC、個別銘柄
※楽天証券内米株積立設定人数ベース。2022年12月31日時点。
※株価は2023年1月6日の終値、最低購入金額は1米ドル=133円で試算。
※最低購入金額は手数料を考慮しておりません。

 楽天証券における2022年度の米国株式買付者数ランキングでトップとなったのは、バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)、米株積立でも設定件数および設定人数が圧倒的な1位を誇っています。また、個別銘柄として、キャッシュフローが安定している「アップル(AAPL)」や「コカ・コーラ(KO)」がランクインしています。

 波乱相場こそ、個別銘柄ではなく、各セクターへ分散投資することでリスク回避ができる施策が重要視されています。同様に、アクティブ投資とパッシブ投資を組み合わせることでリスク分散を図ることもできます。

 パッシブ投資ではディフェンシブ志向を念頭に置いて、高配当銘柄や高配当株式ETF(上場投資信託)など株価が比較的に安定な銘柄を積立設定で長期投資し、アクティブ投資ではキャピタルゲインで勝負したい個別銘柄やレバレッジETFをスポット取引で短期投資することをお勧めします。

 相場が急落すると、だれでも手出しするのを迷いますが、分散投資できているETFや財務指標が健全な高配当銘柄なのであれば、一時的な下落を買い時として狙うことができます。買い物時の時間限定セールだと思えば怖くないかもしれません。

2022年度 中国株式買付者数ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 最低購入金額(円) 関連するテーマ
1 2800 トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン 182,750 ETF、ハンセン指数
2 9988 阿里巴巴集団控股(アリババ・グループ・ホールディング) 187,680 ネット通販最大手
3 0700 騰訊控股(テンセント・ホールディングス) 615,400 インターネットサービス大手
4 1810 小米集団(シャオミ) 41,140 スマホ大手・IoT家電
5 2801 iシェアーズ・コアMSCIチャイナETF 76,092 ETF、MSCI中国
6 3988 中国銀行(バンク・オブ・チャイナ) 49,470 金融(銀行)
7 2836 iシェアーズS&P BSEセンセックス・インディア ETF 112,812 ETF、BSE SENSEX指数
8 1398 中国工商銀行 (インダストリアル・アンド・コマーシャル・バンク) 70,210 商業銀行最大手
9 1211 比亜迪(BYD) 1,711,900 自動車・電池メーカー
10 3087 Xtrackers FTSE Vietnam Swap UCITS ETF (Xトラッカーズ・FTSE ベトナム・スワップ UCITS ETF) 36,193 ETF、FTSE ベトナム
※楽天証券内買付者数ベース。2022年1月1日~12月31日、国内約定日ベース。
※株価は2023年1月9日の終値、最低購入金額は1香港ドル=17円で試算。
※最低購入金額は手数料を考慮しておりません。

 楽天証券における2022年度の中国株式買付者数ランキングでトップとなったのは、トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン(2800)で、香港ハンセン指数のパフォーマンスに連動するETFです。

 中国銘柄に興味があっても、当局の政策発表で影響されやすい個別銘柄に投資するのが怖い場合、ハンセン銘柄をパッケージ投資するなら、銘柄やセクターへの分散投資ができ、比較的に影響を受けにくいです。

 個別銘柄では、中国二大ネット巨頭である「アリババ・グループ(9988)」と「テンセント(700)」、中国テスラと呼ばれる「BYD(1211)」、スマホの世界大手と知られる「シャオミ(1810)」は引き続き人気銘柄としてTOP10入りとなっています。

 日本株や米国株、いつも同じ投資地域ばかりに投資するよりは、14億の人口を抱え、これから経済復活が期待される中国株への投資は、地域のリスク分散という観点でいい選択になるかもしれません。

注目セクターをピックアップ!

 現在中国主要都市において2023年の第1波の感染ピークは終わりを迎えており、街や観光地では徐々に人出が増え、にぎやかになってきています。

 ランタン祭り開催中の「豫園」や新年イベント開催中の上海ディズニーリゾート、ライトアップ中の上海外灘などの上海観光名所も活気が徐々に戻ってきています。

 これから迎える旧正月での若者の里帰りにより、旧正月後には地方を中心に第2波の感染ピークがくるといわれておりますが、2023年の夏ごろには新型コロナ流行以前の生活水準に戻れるのではと推測されています。

 3年ぶりに海外との往来を再開した中国、国内から海外旅行への需要も高まっていて、旧正月休暇における海外旅行の予約数は前年同期比で6.4倍に増えたといいます。

 海外旅行先ではタイやシンガポール、マレーシアなど入国政策が友好的な目的地は好まれています。その中、観光資源の豊富なタイは一番人気で、中国人のみを対象とした入国規制を行っていません。

 2019年の中国国民の海外旅行者数は1億6,900万人に達し世界一となり、今回の政策緩和で、世界各国の観光業者は奮い立ちました。中国人観光客の力を借りて、観光産業の振興および世界経済の回復に期待を寄せています。