減速感の強まる米国経済

 米国経済は高いインフレとFOMC(米連邦公開市場委員会)の急ピッチな利上げを受けて減速感が強まっています。実際、12月に発表されたFOMC参加者の実質GDP(国内総生産)成長率見通しは、9月時点から大きく下方修正されました(図1)。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が積極的に金融引き締めを行ったことでインフレ自体はピークアウトしたとの見方もありますが、高インフレ状態が続いていることで企業業績が悪化し、経済活動に弱さが見られ始めています。

 そのため、2023年はFRBが米国経済を減速・後退させることなく、⾦融引き締めの出⼝を模索できるかが焦点になるでしょう。

図1:FOMCの参加者による実質GDPの予測(前年比)

下落相場を乗り越える米国株は?S&P500配当貴族指数

 先行きに不透明感が見られる投資環境では、比較的景気に左右されにくいセクターや銘柄で構成された米国株指数が注目されます。

 例えば「S&P500配当貴族指数(以下、配当貴族指数)」は、25年以上連続で増配している米国の優良大型株で構成される指数です。

 構成銘柄で時価総額が大きい銘柄は、ヘルスケアメーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンや、石油メジャーで世界大手のエクソンモービル、世界最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートなど、生活に密着した分野の銘柄が多く含まれています。

 配当貴族指数の長期的なパフォーマンスはS&P500指数を大きくアウトパフォームしています(図2)。

 この要因は相場全体が下落する時、配当貴族指数が相対的に底堅く推移する傾向があるためです。

 1990年以降、S&P500指数の年間騰落率は7回マイナスとなりましたが、同時期の配当貴族指数の年間騰落率はいずれもS&P500指数を上回っています(図3)。

図2:パフォーマンス推移

図3:年間騰落率の推移

 米国の連続増配銘柄は米国企業としての成長性に加え、強固なブランド力やマーケットシェアを背景に安定した収益基盤・財務体質を有しています。

 そのため、配当貴族指数は不安定な相場環境でも相対的に下落に強く、長期投資に適した投資対象と言えるでしょう。

S&P500配当貴族ETFが東証に上場!

 2023年1月13日に「グローバルX S&P500配当貴族ETF(2236)」が東証に上場しました。連続増配に着目した米国株ETF(上場投資信託)としては東証で初めてです。

 当ETFはS&P500配当貴族指数(円換算)に連動した投資成果を目指し、為替ヘッジは原則として行いません。

 当ETFは年6回(1、3、5、7、9、11月)決算を実施することで、投資家に対して定期的な分配金の提供を目指します。

 また、東証ETFであることも魅力の一つです。海外資産に投資する外国ETFで分配金が出た場合、一般的には外国と日本の両方で課税されます。

 確定申告をすれば一定額控除されますが、東証ETFであれば自動的にETF内で二重課税の調整が行われます。そして、1口あたりの株価が約1,000円と非常に低く少額から投資できるため、つみたてや複数銘柄との分散投資に活用できます。

 また、以下の図は配当貴族指数とS&P500指数のセクター内訳です(図4)。S&P500指数の構成銘柄で時価総額が大きい銘柄は、アップルやマイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなどの情報技術セクターが中心です。

 二つの指数はセクター・銘柄構成が大きく異なることから、既にS&P500指数に連動する商品に投資をしている方は、分散先として配当貴族指数は一考に値するのではないでしょうか。

図4:セクター内訳

 最後に、動画でグローバルX S&P500配当貴族ETF(2236) のポイントと詳細を解説していますので、ぜひご覧ください。