今週の予想

2023年度の株式市場を予想しながら今週はどう動くか

 昨年は年初からプーチン大統領のウクライナ侵攻に始まり、日米株式市場は波乱の展開となり、全体相場は下値模索の動きとなりました。

 コロナ対策のため打ち出された各国政府の積極的な財政出動や中央銀行による超金融緩和措置が猛烈なインフレ圧力を生み、これを抑えるためにFRB(米連邦準備制度理事会)をはじめ各国中央銀行は急激な金融引き締めにかじを切りました。それが今度は世界経済の景気後退懸念となってマーケットに重くのしかかってきました。

 2023年度の見通しは、かなりの相場分析家が「年前半はさえず、年後半から長期的な上昇相場に移る」とみています。確かに米国の大発会からの動きをみる限り、経済の実態悪が懸念(けねん)されており、当面は企業業績の行方を確認しようという動きになりそうです。

 特に米中対立における中国経済のハイテク産業への圧力が米国より高まっており、中国経済が弱ければ世界経済も厳しいことになりそうです。

 連休明けの今週は、米国の経済指標の動きに左右される展開となります。先週末の6日(金)の米国市場は、12月雇用統計が鈍化したことで、FRBの長期利上げ継続懸念が後退し、ダウ工業株30種平均は+700ドルの3万3,630ドルとなり、シカゴ日経先物は2万6,160円と2万6,000円台になっています。

 しかし、2万6,000円以上は、上値が重くなるところで重要イベントが多くあり、内容によって上下動となりそうです。国内では、11日発表の11月景気動向指数、13日のオプションSQと日米首脳会談があります。海外では12日発表の中国12月CPI(消費者物価指数)、13日の12月貿易収支が注目となります。

 日経平均株価が大きく戻るためには、為替で円安が続かなければなりません。為替のドル/円の日足のチャートは、2021年1月4日の102.9円から急角度の上昇トレンドとなっており、昨年2022年の10月21日の150.5円でピークをつけて反落となって、いったん12月5日に134.1円まで下落し、12月14日に138.1円まで戻りをつけて、もみあったあと下放れとなりました。

 今年の1月4日には130円まで下げて反発し、もみあっているところです。   

 つまりドルは、12月5日に134.1円の戻り高値をつけて下放れとなって、2021年1月4日の102.4円からの上昇トレンドを切っており、ドル高・円安基調に復帰するには12月14日の138.1円を上回らなければなりません。ここをぬけてドルが買われてくると円安が続き、日経平均も上値が軽くなります。(柴田罫線の為替チャートを参照)

今週の指標:日経平均株価

 先週末の米国市場では、12月雇用統計の就業者数の増加数が11月より鈍化したことで、長期利上げ懸念が後退し、NYダウは+700ドルの3万3,630ドルと急反発し、シカゴ日経先物は+230円の2万6,160円となっていました。

 連休明けの10日(火)は2万6,000円水準で始まると予想されますが、今週は重要イベントが多く、2万6,000円台で上値の重い展開となりそうです。戻りを試した場合でも2万6,700円水準は目先のフシとなりそうです。

新年初めの週の動きは

 1月4日(水)の大発会は、米株安、円高を受け▲259円の2万5,834円で始まり、一時▲432円の2万5,661円まで下げました。終値では▲377円の2万5,716円と2万6,000円割れとなり、昨年3月9日の2万4,681円(終値3月15日の2万5,346円)以来、9カ月ぶりの安値となりました。

 5日(木)は+103円と反発しました。週末6日(金)は、売り先行で始まるものの、円安歩調と時間外の米株先物が高く、後場には一時+213円の2万6,034円まで上昇し、終値は+153円の2万5,973円でした。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 企業決算が始まり、高インフレや景気減速により、業績低迷が警戒されており下落要因の可能性には警戒する必要があります。金利ピークアウト観測が浮上して買い材料となる一方で、年内の景気後退懸念は売り材料となるため、上昇は限定的となります。

 FRBが警戒している賃金の伸びは鈍化しつつありますが、インフレ目標である2%にはまだほど遠く、利上げが必要であるとの見方はでてきます。新年度に入って新規投資は期待できますが、全体としては上昇しづらく戻り売りの対処となります。

新年初めの週の動きは

 1月3日(火)の大発会ではIMF(国際通貨基金)が「今年の世界経済は昨年より厳しい」とコメント。これを受け3指標そろって小幅下落。NYダウは▲10ドルの3万3,136ドル。4日(水)は、経済指標は強弱まちまちだったが、3指標そろって3日ぶりの反発。NYダウは+133ドルの3万3,269ドル。

 5日(木)は、強い雇用統計を受け、FRBの利上げ継続見通しが強まり、NYダウは▲339ドルの3万2,930ドル。週末6日(金)は、12月雇用統計で雇用者数の増加が鈍化し、平均時給の伸びも前月比減少したことで、利上げ長期化に対する懸念が後退し、株価は急反発となり、+700ドルの3万3,630ドルと柴田罫線でも短期の買転換となっています。

今週の指標:ドル/円

当面の為替の見通し

 為替は2021年1月4日の102.9円からの上昇トレンド(A)をみると、この中で2022年10月21日の151.93円でピークをつけ、12月5日に134円まで下げて、138円まで戻し、もみあったあと下放れとなって、今年の1月4日に130.01円まで下げて反発しています。  

 しかし上昇トレンド(A)を下に切っており、戻しても138円水準が当面の上値のフシとなります。ドル高・円安のトレンドに戻るには、まず138円の突破が必要となります。そうであれば当面、昨年のように円安を武器に日経平均の上昇は厳しくなります。

新年初めの週の動きは

 6日(金)は、NY市場で、ドル/円は、1ドル=134.77円まで上昇後、132.00円まで反落し、132.15円で引けました。この日は、12月雇用統計の結果によって日米金利差拡大観測からドル買い・円売りが加速し、134.77円まで上昇しました。

 しかし発表された雇用統計は失業率が低下し、雇用者数は前月比より少なくなり、賃金の伸びも予想以上に鈍化したことで、132.00円までドルが売られました。

 日本銀行のこれまで進めてきた大規模金融緩和の段階的修正への思惑は意識されており、円買い圧力は強まります。そのためドルは上げ渋りとなりやすく、米国のインフレ懸念は弱まる可能性があります。つまりドルは上げ渋りで米インフレ緩和の思惑が強まりそうです。

先週の結果

2023年の大発会は、米株安、円高で大幅安スタート

 今年の大発会は、正月連休明けの1月4日(水)から始まりました。この日は、米株安、円高に加えて日銀の第2弾緩和修正が思惑となり、不透明感があることから、一時▲432円の2万5,661円まで売られ、昨年9月30日の2万5,805円(終値2万5,937円)以来、約3カ月ぶりの2万6,000円割れとなりました。終値では▲377円の2万5,716円でした。

 これは、昨年3月15日の終値2万5,346円以来、ほぼ9カ月ぶりの安値水準となりました。

 5日(木)は、前日の米国市場で主要3指標がそろって3日ぶりに反発したことで、先物主導で上昇し、一時+230円の2万5,947円まで上昇するものの、その後は戻り売りに押されて上げ幅を縮小し、+103円の2万5,820円で引けました。

 6日(金)は、前日の米国市場では、12月ADP雇用統計や新規失業保険申請件数が予想を上回り、FRBによる積極的利上げ見通しが強まったことで、主要3指標そろって反落し、NYダウは▲339ドルの3万2,930ドルだったことで、前場は売り先行となり、▲101円の2万5,719円まで下げて始まりました。

 その後は円安進行と米株先物高にサポートされ、一時+213円の2万6,034円まで上昇し、終値は+153円の2万5,973円と続伸しました。

 週末の引け後の米国市場は、12月雇用統計の就業者数が前月比で増加幅が11月から鈍化し、平均時給伸び率も前月から減速したことで、FRBによる利上げ長期化に対する懸念が後退し、NYダウは+700ドルの3万3,630ドルと急反発しました。為替はドルが売られて、▲1.32円の132.09円となり、シカゴ日経先物は+230円の2万6,160円でした。