中央経済工作会議:2023年は安定成長重視、内需拡大を最優先課題に

 経済情勢を分析し、翌年の経済運営方針を策定する「中央経済工作会議」が12月15-16日に北京で開かれ、指導部は国内経済の安定成長を重視するとの強いメッセージを発した。市場の信頼感の改善や経済運営の安定化を目指す方針を繰り返し強調している。

 政府指導部は同会議で、「需要の萎縮」「供給サイドの混乱」「先行きへの弱気見通し」といった問題は依然大きく、足元の景気回復基盤はいまだ強固ではないとの認識を示し、外部環境の激変による影響の深化にも言及した。半面、2023年の国内経済に対しては回復見通しを示し、そのために経済対策に注力する必要があるとしている。

 地政学的な紛争や国内の新型コロナ感染の拡大、不動産不況が重しとなり、中国の2022年の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比3%前後と、年初の予測を大幅に下押しする見通しとなった。2020-22年の年率平均では約4.5%と、コロナ前を大きく下回る見込み。ただ、ゼロコロナ政策の事実上の撤回を受け、中国経済は2023年に段階的に、パンデミックの影響を乗り越える可能性が高い。BOCIは市場の信頼感の回復に向け、できるだけ早期に国内経済を安定化させる必要があるとの見方。2023年の政府の経済成長目標は、「前年比5-5.5%」前後に設定されるとみる。

 市場が注目していた「民営経済」「プラットフォーム経済(ネット大手企業)」「不動産」に関しては、政府指導部はこの会議で、より緩和的、かつ支援色の強いシグナルを発した。うち「民営」部門に関しては、国有企業との法的・制度的な同一待遇を保証すると強調。「プラットフォーム経済」に関しては、監督システムを改善しつつ、積極的な発展を促し、雇用の創出や国際競争力の向上を支援する方針を表明した。「不動産」に関しても緩和姿勢を示し、関連リスクの予防と市場の安定的な発展を維持する姿勢を強調。業界再編を推進するとともに、優良デベロッパーの債務リスクを防止するとした。需要面では、地域ごとの状況に即した柔軟な住宅購入支援策を行うとしている。

 一方、世界的な景気後退懸念が高まる中、政府指導部は「内需の拡大」を最優先課題とする方針を確認した。中でも低迷する個人消費の回復に優先的に取り組み、まずは消費マインドの改善と所得向上を目指す。BOCIによると、2023年も社会生活保障や雇用の安定、物価の安定に向けた施策が続く見通しという。

 2023年の政策基調は、積極財政、穏健金融策であり、財政政策の効率を高めるとともに、的確かつ強力な金融政策を行う方針。BOCIは一般財政赤字と地方政府の特別債発行規模の双方が4兆元を超える可能性を指摘している。

 このほか◇エネルギー・食糧の安定供給や科学技術の自立を目指し、現代的な産業システムを構築する、◇複雑な国際情勢の下、再び外国投資の誘致と活用に向けて努力し、高レベルの経済貿易協定への加入に積極的に取り組む――などの方針を固めている。