景気の「冬」入りで円高局面に
ドル/円の為替相場は10月に151円台後半を付けて以降は円高に振れ、12月16日時点では136円台と円安のピーク比で15円程度、円高ドル安となっています。
米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)はこの先も政策金利を引き上げる見通しの一方、米長期金利は低下してきており、今後、円安に動くのか、円高になるのかで意見が分かれるところかと思います。
投資家の立場から考えると、一時期より円高になっているのでドルを買うべきか、逆に、さらに下がるかもしれないとみて売るべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか?
また、10月までの円安局面で、さらなる円安を見込んでドルに投資をしたものの、その後の円高で含み損を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
この先、為替はどう動くのか、景気循環をベースとしている私の視点からどうみえるのかについて、今回、お伝えしていきたいと思います。
まず、私はマーケットの動きを景気循環と関連付けてみていて、景気循環に伴う株価の動きを次のようにイメージしています。
(図1)景気循環に伴う株価のイメージ
不況の中で株価が上昇し始め、景気回復から好況にかけて大きく上昇しますが、好況の中で既に株価は下げ始め、景気後退で下落し、不況を迎えるという循環で、おおむね3年半のサイクルを繰り返しています。
この景気循環について、(図1)のように、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえています。
ここまでは株価の話ですが、この「春」「夏」「秋」「冬」とドル/円の為替の動きには関係性がみて取れ、次のようになっています。
(グラフ1)ドル/円為替と景気循環の関係
(グラフ1)から、2013年からの推移をざっくりと捉えると、「春」「夏」「秋」という3シーズンを通して円安になっていて、「冬」においては円高になっていることがみて取れます。
特に、2013~2016年にかけては動きが顕著で、「春」「夏」「秋」を通して大きく円安になり、その後の「冬」には大きく円高に動いています。
直近においても、「夏」「秋」に大きく円安に動き、11月4日に「冬」入りして以降、146円台だったドル/円は、12月16日時点では136円台と10円程度円高方向に動いています。今回も、ここまでにおいては「冬」の時期に円高という動きになっています。
では、なぜ「冬」の時期に円高になるのかというと、これには米国の金利動向が関連しています。米国債券10年の金利と景気循環の関係をみてみましょう。
(グラフ2)米国債券10年 年利回りと景気循環の関係
(グラフ2)から、「冬」の時期は、米国債券10年の金利が下がっている局面であることがみて取れます。
景気悪化を織り込む形で米国債券10年の金利が下がることによって、日米の金利差が縮小するため、円高になっているという構造です。
足元においても、米国債券10年の金利は4%台から3.5%程度に下がっていて、このことが要因の一つとなって、円高に振れていると理解できるでしょう。
外貨投資は「春」となる2023年11月以降か
では、この「冬」の期間はどのくらい続くのでしょうか? 過去をみると、おおむね1年程度続いています。
「冬」入りしたのが11月4日なので、1年程度というと、2023年10月ぐらいまでは「冬」が続き、その間は円高傾向にあるということになります。
結論として、景気循環からは、まだ円高局面が始まったばかりと言えます。このため、現在、円を外貨に交換するか、外貨を円にするか、どちらなのかというと、円に交換する時期です。外貨に投資をするとしたら「冬」の時期は避け、「春」になってから(今から予測すると来年11月以降か)と私はみています。
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