今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは141.30

下値メドは133.20

世界景気:2023年は世界同時不況。FRBは2024年に利下げ,株式市場は来年急上昇
米金利:金利市場が予想するFF金利の終着レート、4.9%まで低下
欧州:今年の冬で欧州は天然ガス備蓄の2/3を消費
ECB:インフレ制御するには3年間必要,インフレが上昇する限りECBは利上げ続ける
ECB:インフレは2023年の上半期にピーク迎える。現在の金利はほぼ中立金利
BOE:大幅利上げに慎重。住宅市場の悪化で政治的圧力も
BOE:「利上げの行程は市場が予想しているより低くなる」
NZ:タカ派RBNZ、次回は1.00%利上げか。会合は来年2月までなし 
NZ: RBNZ「消費を抑え、賃金上昇スパイラルを止める必要がある」

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は,2022年最後の会合において0.5%を決定し,FF金利を4.5%に引き上げた。しかしこれは想定内。マーケットは、リーマンショック以来最大級のFRB(米連邦準備制度理事会)の積極的な金融引き締めをほぼ完全に織り込んだ。FRBの金融政策に関して,これ以上のどのような強気材料が出てくるというのか。

 金利差拡大を背景としたドル高もほぼピークをつけた可能性がある。これ以上のドル高材料が出てこなければ、ドルの勢いは弱くなるだけだ。これまで出遅れていた他国の金利が上昇するわずかサインでもドル売りを誘発するのに十分だ。

「ドル安トレンド」に切り替わるという意味ではない。パフォーマンスが上限近くに達しているドルを減らして,他通貨に振り分ける動きが活発化ということだ。とはいえ,2022年はドル一択だったから,昨夜の海外市場でECB(欧州中央銀行)の会合後にユーロが急上昇したように,政策のわずかな変化が大きな動きにつながる可能性がある。

 12月15日(木曜)のドル/円は「円安」。
 1日のレンジは135.24円から138.17円。値幅は2.31円。 

 2022年249営業日目は135.43円からスタート。安値は東京時間朝につけた135.24円。135円台で下げ止まる。この日政策金利を発表したECB(欧州中央銀行)が非常に「タカ派」だったことを受けユーロ/円が買われるなかで円安が急速に進み,未明には138.17円の高値をつけた。強さを保ったまま,終値は137.80円(前日比+2.31円)。米CPI(消費者物価指数)で下落した分をすべて取り戻した。

 ECBはこの日0.5%の利上げを発表したが,理事会の1/3が0.75%の利上げを主張するなど,インフレ抑制のために一段の利上げが必要であるとの考えを共有していた。さらに来年3月からの量的引締めの開始も告知。ECBは金融引き締めに向かって急速に進み始めた。この日はSNB(スイス国立銀行)やBOE(イングランド銀行)も利上げを発表した。取り残された円が売られるのはある意味当然だ。

レジスタンスは、
138.17円(12/15)
139.90円(11/30)
141.61円(11/23)

サポートは、
136.55円(200時間移動平均)
135.24円(12/15)
134.49円(12/14)

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

「失敗したくない」と思うと、直感力は鈍り、むしろ間違った判断をしがちになる。
「失敗しても大丈夫」と鷹揚に構えていれば、直感力を活かしてよりよい判断をしやすくなる。

Ordinary World

FOMCを侮るな!

 FOMCは12月13、14両日に開催した2022年最後の会合において、主要政策金利であるFF金利を0.5%利上げすることを決定した。前回まで4会合(6月,7月,9月,11月)連続で続けてきた0.75%から利上げペースを減速させた。今回の利上げによって,1月に0.0-0.25%だったFF金利の誘導目標レンジは,わずか1年で4.25-4.5%になった。これは2007年以来の高水準である。

 FOMCは今回,利上げペースを0.75%から0.50%に緩めた。来年2月の会合ではさらに0.25%まで減速する可能性が高い。しかし,利上げペースの減速とは裏腹にFOMCメンバーが予測する金利予測(ドットチャート)は,「強気」である。2023年の予測中央値では,4.875%はわずか2名だけで,5名が5.375%,さらに2名は5.625%だった。

 メジアンは5.125%。つまり,さらに0.75%の追加利上げを考えているということだ。パウエルFRB議長は,金融政策は「まだ引締め水準に達していない」と記者会見で述べている。0.25%刻みの利上げとすれば,2023年は2月,3月,5月の3回の利上げということになる。その後,FRBは休止モードに入り,残りの期間のFF金利は,終着レートとなる5.00-5.25%で推移する。しかし2023年の利下げはない。

 2024年は4.125%,2025年は3.125%で,FF金利水準は利下げを示唆しているが,いずれも9月時点での予測から引き上げられた。

 パウエルFRB議長は,労働市場があまりにも過熱していることに懸念を示している。米国の労働市場は「構造的人不足」に悩まされている。それがインフレ高止まりの原因となっている。この問題を解消するためには,需要減退によって真の雇用喪失を発生させるしか方法はないとFRBは考えているが,株式市場はFRBの政策意図に比べてまだ楽観的である。米2年債と10年債の逆イールドは,今後さらに深まることが予想される。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目通貨:ユーロ/ドル

予想レンジ ↑1.0863ドル  ↓1.0303ドル

 今週のユーロ/ドルのピボット(ブルベア判断の分かれ目)は1.0583ドル。
1.0583ドルより上ならばドル買い優勢、1.0583ドルより下ならばドル売り優勢。

2022年現時点の高値は1.1495ドル,安値は0.9536ドル。平均値は1.0515ドル。
1日の最大値幅は0.02870ドル,平均値幅は0.0150ドル。
2022年の値幅は0.1959ドル。
2021年の終値(1.1378ドル)に比べて0.1060ドルのユーロ安。

1.0970ドル    : 第4レジスタンス(HBO)    
1.0863ドル    : 第3レジスタンス    
1.0756ドル    : 第2レジスタンス    

1.0736ドル    : 12月 高値
1.0723ドル    : 第1レジスタンス        

1.0583ドル : ピボット

1.0565ドル    : 12月 平均値
1.0481ドル    : 11月 高値

1.0443ドル    : 第1サポート    
1.0410ドル    : 第2サポート    

1.0393ドル    : 12月 安値 
1.0303ドル    : 第3サポート    
1.0196ドル    : 第4サポート(LBO)    

0.9730ドル    : 11月 安値 

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2022年 ユーロ/ドル データ