今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは138.90

下値メドは134.85

金融政策:経済学者でない総裁が中央銀行を運営する問題点は、政策に経済哲学が欠けていること
米住宅金利:30年住宅ローンの金利は平均7.2%。今年1月は3%。20年ぶり高水準
米インフレ:賃貸料上昇率が大幅減速、半年から1年後のCPI低下を示唆 
英国:英政府、成長路線から緊縮財政に転換 
欧州:ドイツとフランスの良好な関係は終わりへ。EUの意志決定の障害に
ロシア:肥料輸出に23.5%課税。欧州の食料品インフレが悪化のおそれ
FOMC:SF連銀総裁「FF金利のピーク水準は、4.75%から5.25%」
米議会:共和党が下院過半数で「債務上限問題」再浮上。米リセッションの深刻化も 
英インフレ:過去41年で最大の上昇率 
FOMC:ウォーラー理事、12月会合で0.5%利上げを支持

 人々がロックダウンを平和的に受け入れることができるのは8週間が限界で、それ以上になると社会不安を引き起こすといわれている。長引くロックダウンに対する激しい抗議活動がついに中国で発生した。

 中国政府も、SNSの時代に30年前のような弾圧をするわけにもいかず、ゼロコロナ政策の出口戦略を探し始めている。しかしロックダウン撤回は中国指導部の過ちを認めることであり、衛生面だけではなく政治的にも難しい。一方でゼロコロナ政策は中国経済に深刻な影響を及ぼしている。米アップルは、ロックダウンによる度重なる操業停止リスクを回避するためiPhoneの生産拠点の一部を中国以外の国へ移す計画を進めている。

 上海市は公共交通機関を利用する際の陰性証明の提示義務を5日から撤廃するなど、段階的緩和は進んでいるが、現時点での全面解除の可能性は低い。中国では年配者の6割以上が3回目ワクチン未接種の状況である。行動制限を解除した途端に感染拡大で医療崩壊になるといわれている。中国政府は来年1月までに接種率90%を目指す方針で、これが達成された時点で行動制限は解除されるとの期待がある。

 中国の行動制限解除はリスクオン。今週のドル売りの一因となると同時に中国の経済再開のメリットが大きい豪ドル、そして円が買われやすい。なお、豪ドル/円の上下のテクニカルポイントは今日の注目通貨をご覧ください。

 今週からFOMC会合まではブラックアウト期間で、FOMCメンバーは金融政策に関する発言が禁止される。FRB方面から新情報がない分、マーケットは中国の動向が相場材料になりやすいだろう。

 12月06日(火曜)のドル/円は「円安」。
 1日のレンジは135.96円から137.43円。値幅は1.47円。 

 2022年242営業日目は136.66円からスタート。東京時間はドル買い優勢で、昼前に前日の高値(136.86円)を超えると夕方には137.43円まで上値を伸ばしてこの日の高値をつけた。

 黒田日銀が現行の異次元緩和政策を変更する考えは毛頭ないことを改めて強調したことも円売りを支援した。(ただし黒田統治時代が終わった後には、政策変更の可能性があることも示唆している。)

 夜遅くに135.96円まで下げる場面もあったが、再び円安に戻して終値は137.04円(前日比+0.26円)。

レジスタンスは、
137.30円(200時間移動平均)
137.43円(12/06)
138.10円(12/01)

サポートは、
135.96円(12/06)
134.13円(12/05)
133.62円(12/02)

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

偉大な魂は目的を持ち、そうでないものは願望を持つ

Beat's So Lonely

雇用コスト指数とスタグフレーション

 雇用市場のデータに関して、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「雇用コスト指数(ECI)」の重要性について触れている。ECIとは、賃金と、賃金以外で雇用にかかわる福利厚生費などの費用を含めた、企業が実際に負担する雇用コストを示した指数だ。

 ECIは全体の約7割を賃金が占めている。インフレを目標値の2%まで引き下げるためには、賃金上昇ペースの減速が不可欠だ。しかし、パウエルFRB議長の期待に反して第2四半期のECIは1.3%と、第1四半期につけた過去最高の1.4%からほとんど下がらなかった。

 労働者を確保するためには、競合相手よりも高い給料やボーナスを支払う必要がある。米国の平均労働賃金は、過去1年で+5.0%以上も上昇した(ちなみに同時期の日本の平均賃上げ率は半分以下の+2.1%)。最近の調査によると、転職者の半数が10%以上の収入アップ、そのうち9%は50%以上もアップしたということだ。

 これら労働コストの大幅上昇は価格に転嫁され、インフレ率を高止まりさせている。米企業の7割以上が、コストの一部または全てを価格転嫁しているなかで、FRBが「物価の安定」の使命を達成するためには、まず雇用市場の熱を冷ます必要がある。

 しかし、米労働市場における人手不足は依然として深刻だ。米国では毎月10万件以上の新規雇用が発生していて、新入社員の数を上回っている。

 賃金上昇とインフレ上昇が止まらなければ、FRBは利上げを続けるしかない。パウエルFRB議長は米経済を犠牲にしてもインフレを終わらせるつもりだ。米経済が来年リセッション入りすることはほぼ確実といわれている。しかしリセッションよりも心配なのは景気後退と同時にインフレが進行する「スタグフレーション」の危険性が高まっていることだ。

 最悪のシナリオを回避するには、労働市場に労働者が戻ってくることだ。物価高など生活費の上昇による実質所得の減少が、FIREなどでいったん引退した人々の仕事復帰を促す。その結果平均賃金が下がりインフレが低下する。これがFRBの期待していたことだ。

 しかし、いくら待っても労働者は戻ってこない。米労働市場の就業者数は、2021年の1月から9月までの月平均で55万人増加したが、2022年の同期間では、44万人しか増えていない。利用可能な労働力リソースがほぼ使い果たされてしまったのだ。つまり、雇用市場のヒートアップは続き、企業は労働力を確保するために賃金を引き上げ続けることになる。そしてインフレは止まらない。



今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成

今日の注目通貨:豪ドル/円

予想レンジ ↑94.52円 ↓89.20円

 今週の豪ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は、91.86円。
91.86円より上ならば豪ドル買いが優勢、91.86円より下ならば豪ドル売りが優勢。

2022年の高値は98.67円、安値は80.37円。平均値は89.52円。
1日の最大値幅は3.01円、平均値幅は1.20円。
2022年の値幅は18.30円。
2021年の終値(83.70円)に比べて9.93円の豪ドル高。

98.67円    : 2022年 高値
95.56円    : 11月 高値
95.53円    : 第4レジスタンス(HBO)    
94.52円    : 第3レジスタンス    
93.79円     : 12月 高値
93.50円    : 第2レジスタンス    
93.19円    : 第1レジスタンス        
92.61円    : 11月 安値
92.43円    : 12月 平均値

91.86円    : ピボット

91.08円    : 12月 安値
90.53円    : 第1サポート    
90.22円    : 第2サポート    
89.52円    : 2022年 平均値
88.19円    : 第4サポート(LBO)

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2022年 豪ドル/円データ