運用の一番の敵は一喜一憂の心理

 ワクワクドキドキしながら投資をしている方も多いのではないでしょうか?それも投資における楽しみの一つともいえますが、私は運用する上での一番の敵は、そのワクワクドキドキの一喜一憂の心理だと思っています。

 一喜一憂はざっくりと二つに分けると「欲望」と「恐怖」になります。「欲望」はもっと増やしたい、もっともうけたいというもので、「恐怖」は資産が減ってしまって青ざめる、あの感覚です。

 この一喜一憂に支配されてしまうと、株式などの資産価格が上がれば上がるほど「もっともっと」となって高いところで買ってしまう、逆に下がると怖くなって下がったところで買えない、もしくは、「もうやめたい」と思って売ってしまうということをするようになります。これを繰り返していると、資産をどんどん減らしてしまうのです。

「恐怖」のほうは皆さんも、特に過去に経験がある方はよく分かると思います。しかし、「欲望」のほうは、自分はそんなに「もっともっと」とはなっていないと否定される方も多いのではないでしょうか? 

 ただ、私からすると、実際には多くの方が結果としてこの「もっともっと」となってしまっているように見受けられます。その構造がどのようなものか、みていきましょう。

「もっともっと」の構造と成功の鍵

 皆さん、自分が投資を始めたときのことを振り返ってみてください。どのような考えで始めましたか?「投資とはどのようなものだろう。まずはちょっと試してみよう」と金額を抑えて始めてみたのではないでしょうか?

 そして、慎重に始めた投資がうまくいくと、「やっぱり投資っていいね。まだ手元に現金があるから、これも投資に回そう」と考えて、投資額を積み増していったのではないでしょうか?さらにうまくいくと、人によってはボーナスが入ったときに「これも投資に!」と増やしていったのではないでしょうか?

 この行為が、「もっともっと」になっているのです。その結果、相場が一番高いところで最も多くの額を投資につぎ込んでしまう構造にはまってしまい、大きなマイナスに青ざめることになってしまうのです。

 この、投資をしてうまくいったら投資額を増やしていく行為が、結果として「もっともっと」という欲望に駆られてしまうことにつながるのです。多くの方があまり意識しない中で、行ってしまっているのではないかと思います。

 資産を減らさないためには、このわなに陥らないようにしなければなりません。相場が一番高いところで一番大きな投資をしている状態にならないように心掛けなければなりません。そのためにも、相場が上がっているところで、いかに現金化できるかどうかが成功の鍵だと私は考えています。