今週の予想

今週は、為替の円高基調で25日移動平均線を切ったことに注意

 先週は名実ともに12月相場入りとなり、師走相場に突入することになりましたが、軟調な地合いとなり、週末は米11月雇用統計を控え波乱含みとなり、一気に円高が進行したこともあり、▲448円の2万7,777円で引けました。

 先週までは、為替のこれほどの下げが予想されていなかったことで、足元では急速に進む円高を織り込みながらの取引となりそうです。11月30日のパウエル議長の発言で、早ければ12月にも利上げ幅縮小の可能性を受け、ドルが下落し為替は135円水準まで下げています。日足チャートは「円高方向」へと基調を鮮明にしています。

 日本の3月決算企業の下期の為替レートは平均で「138円」となっています。下期は「為替差損」の懸念が出てきますので、円高によって輸出企業は上昇しにくいことになります。12月9日は、日本市場はメジャーSQ(特別清算指数)となり、これまでの経験則では、その前に戻り天井を打つというものがあります。

 テクニカル的には日足の25日移動平均線(1日時点で2万7,830円)が目先の調整入りのポイントの一つですが、先週末は2万7,777円となって割り込んでいます。要注意です。

今週の指標:日経平均株価

 先週末は、急速な円高となっており、これまで円安を前提に輸出関連株が買われ相場の上昇を支えてきました。当面は足元の円高を織り込みながらの動きとなりそうです。また米景気減速懸念が強まっており、経済指標が注目となります。

 日経平均の目先の下限は週足の移動平均線が集中している2万7,400円水準となります。ただし、25日移動平均線(2万7,800円水準)を切って引けましたので注意が必要です。

先週の動き

 週半ばまでは、中国のコロナ感染拡大や抗議活動の活発化を受け、28日(月)は▲120円、29日(火)は▲134円、30日(水)は▲58円の2万7,968円と前週末から4日続落となりました。

 12月1日(木)は、前日のダウ工業株30種平均の利上げ幅縮小見通しから+737ドルの大幅上昇となったことで、日経平均も一時+454円の2万8,423円まで上昇し、終値は+257円の2万8,226円でした。

 しかし週末は、NYダウ安と急速な円高を受け、▲563円の2万7,662円まで下げ、終値は▲448円の2万7,777円でした。先週は2万7,800~2万8,600円のレンジを想定していましたが、下限を切って引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、インフレ抑制のための利上げ継続の必要を表明し、その一方で利上げ幅の縮小の可能性に言及しており、また、インフレのピークアウト期待も強まっていることで、金利やドルの先高感は大きく後退しています。

 そうなると株式市場は上値が重いと思われます。FOMC(米連邦公開市場委員会)を13日に控えており、相場の変動は限定的になるといえます。

先週の動き

 週始めの11月28日(月)は、中国でのコロナ政策に対する抗議活動の拡大を嫌気し、NYダウは▲497ドルの3万3,849ドルと急落となりました。しかし30日(水)には、パウエル議長が12月にも利上げペースを緩める可能性に言及したことで、+737ドルの3万4,589ドルと急反発となりました。

 その後は景気減速懸念が重しとなってもみあいとなり、週末は強い雇用統計を受けて一時▲355ドルまで下げましたが、終値では+34ドルの3万4,429ドルで引けました。

今週の指標:ドル/円

 FRBは、米国の景気後退を想定して、利上げペースの減速を計画しているとの見方が広がっており、目先的にリスク選好的なドル買い・円売りは抑制される見通し。ただし、インフレ高進を抑制するための利上げは来年も続く可能性があるため、ドル売り・円買いが強まる可能性は低い。

先週の動き

 先週の半ばまでは、138~140円のレンジの中でのもみあいが続いていました。

 しかし、11月30日(水)には、パウエル議長の議会講演で「12月にも利上げ幅のペースを緩める可能性がある」という発言を受け、1ドル=137.66円までドルが売られ、12月1日(木)になると11月ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況指数が予想を下回り、長期金利がさらに低下したことで、一気に1ドル=135.21円までドルが下落しました。

 週末2日(金)は、ドルが一時1ドル=133.64円まで下げ、終値は134.32円で引けました。ドルの下値模索となっています。

先週の結果

先週は、週後半の12月1日には2万8,200円台に戻すものの、週末は急速な円高進行で2万8,000円割れ

 先週の予測では、NYダウが堅調なら日経平均は2万7,800~2万8,600円のレンジの中での動きとしました。

 先週の日経平均は、週始めは中国のコロナ抗議行動の拡大を受けて、NYダウが大幅下落し、11月30日(水)には2万7,802円まで下げましたが、30日(水)にはパウエル議長が議会講演で12月にも利上げペースを緩める可能性を示したことで、NYダウは+737ドルの3万4,589ドルまで上昇しました。

 これを受けて12月1日(木)の日経平均は、一時2万8,423円まで上昇し、+257円の2万8,226円と5日ぶりの大幅反発となりました。

 週末2日(金)のNYダウは、米11月ISM製造業景況指数がパンデミック以来の最低水準となったことで、▲194ドルの3万4,395ドルとなりましたが、長期金利がさらに低下したことで、ハイテク株には買い戻しが入り、ナスダック総合指数は+14Pの1万1,482Pでした。

 しかし、為替が2.28円の急落となって135.31円をつけ、これを嫌気して輸出関連株中心に先物主導で売られ、一時▲563円の2万7,662円まで下げました。終値では▲448円の2万7,777円となり、想定した2万7,800~2万8,600円のレンジの下限を切って引けました。下げ要因は米景気後退懸念と急速な円高進行といわれています。

 週末の米国市場では、注目の米11月雇用統計が予想を上回ったことで、FRBによる利上げ幅縮小への懸念が広がり、NYダウは一時▲355ドルまで下落したものの、いったん上昇していた長期金利が上げ幅を縮めるとNYダウも戻りに転じ+34ドルの3万4,429ドルと小幅反発で引けました。

 為替は一時、1ドル=133.64円まで円高が進み、引け値は134.32円でした。シカゴの日経先物は▲50円の2万7,710円でした。